八木香保里
写真家 1974年生まれ、京都府出身。教育産業に従事後、東京への引っ越しをきっかけに「知らない街を知るために」と写真を撮りはじめる。現在は生活の拠点である品川区と実家のある京都市で撮影し、制作を続けている。2023年12月にフォトカノン戸越銀座店ギャラリーにて写真展を開催予定。
愛用カメラ：ARAX- 60 MLU、PENTACON Six TL、Hasselblad 500 C/M
愛用レンズ：Carl Zeiss Jena Biometar MC 80mm/f2.8、Carl Zeiss T* Planar 80mm/f2.8
Q.フィルム写真の仕上がりをイメージ通りにするには？
A.なんでもお店に伝えること。撮った環境や、希望の色の傾向などなるべく細かく
「人物が自然に見えるように、コントラストを少し強めに、とオーダー。明暗のコントラストの美しさと色合い、ガラスの反射と自然光のバランスが好きな一枚」。
サンプルをつけてオーダーするのもGOOD
「私は同じお店にお願いして15年になりますが、今でも注文時には希望をできる限り伝えます。撮影した環境、何をメインで見せたいか、明暗と基調としたい色の傾向（青にも黄色にも傾けすぎない、ニュートラルで自然な色味、など）、撮影時にトラブルがあればその内容、こんな風になるのはNG、というのも伝えます。お店の人はその情報をもとに作業するので、ちょっとしたことでも伝えることが大事です。細かい表現が難しいなら、『温かみのある色で』や『クールに』『鮮やかに』などの一言があるだけでも、イメージに近づくはずです。サンプルを見せたり、お店のカラーサンプルを利用するのもスムーズ。郵送注文の場合も気になることは書き添えておくと良いと思います」。
「花の内容がわかる明るさで、青みを控えめに。フィルムの特徴を生かしつつ、撮影時に実際に見ていた色と明るさに非常に近い自然な印象に仕上げてくださいました」。
イメージに近づけるにはフィルム選びも重要
「フィルム、と一口に言っても種類や銘柄によって色の出方や引き出せる雰囲気は異なります。だから、イメージ通りの仕上がりを求めるなら、フィルム選びもとても重要。メーカーや写真店が持っているサンプル画像を確認して理想に近いものを選んでおくと、希望する仕上がりを叶えやすくなります。ただ、イメージと合わせづらいフィルムで撮影した場合でも、あきらめずにお店に相談を！コミュニケーションが大事です。また、フィルム購入時には品質保証の期限も確認。時間が経ったフィルムは正常な色を出せないことがあります」。
「室内で撮影したものは明るくしすぎないことに気を付けて仕上げてもらっています。“コマかぶり”している右側とメインのコマとの色のまとまりが良く、一枚として見えるところがお気に入り」。
八木さんがいつも利用している「フォトカノン戸越銀座」さんにも聞いてみた！
Q.1 どのように仕上がりのイメージを伝えてもらうとわかりやすいですか？
初めての来店時は、言葉だけでは理解するのが難しいこともあるので、プリントやSNSの画像などを見せていただくとわかりやすいです。郵送注文の場合も電話やメールでご相談ください。撮影時の状況だったり感情だったり、あんまり関係なさそうな些細な情報でも役にたつことがあります。また、複数の仕上がりイメージから選べる「セミオーダー仕上げ」もあります。
Q.2 すでに現像済みのフィルムでも、好きなテイストへの仕上げを依頼できますか？
仕上がりの調整は、現像時ではなくデータ化やプリント時に行うので、現像済みのフィルムからでも仕上がりのご注文をいただくことが可能です。ただ、フィルムが劣化・変色している場合は難しいことがあるのでご注意ください。
SHOP info.
＜フォトカノン戸越銀座店＞
住所：〒142-0041 東京都品川区戸越2-1-3
TEL：03-5498-1641
営業時間：10:00〜20:00（木曜定休）
ラボとギャラリー、カメラアイテム販売ショップの3つを合わせ持つ、写真のことならなんでも気軽に相談できる写真店。オーダーは公式HPより。郵送でも受付。
GENIC vol.67【撮影と表現のQ&A】八木香保里／Q.フィルム写真の仕上がりをイメージ通りにするには？
GENIC vol.67
7月号の特集は「知ることは次の扉を開くこと ～撮影と表現のQ＆A～」。表現において、“感覚”は大切。“自己流”も大切。でも「知る」ことは、前に進むためにすごく重要です。これまで知らずにいたことに目を向けて、“なんとなく”で過ぎてきた日々に終止符を打って。インプットから始まる、次の世界へ！
GENIC初のQ&A特集、写真家と表現者が答える81問、完全保存版です。
