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群青色に輝く海、静かな波、そこで暮らす人々の営み。瀬戸内は心を穏やかにしてくれる場所
旅と写真、二つの目的が循環してまた次の旅に出ている気がする
「大小さまざまの島々が形成する多島美の風景、群青色に輝く瀬戸内の海、すべてを包み込むような穏やかで静かな波、そこで暮らす人々の営み…そのどれもが他の海や島にはないもので、心を穏やかにしてくれます。今回は、『この風景を見に瀬戸内へ旅に行きたい!』と思ってもらえるような写真を選びました。瀬戸内に惹かれてもらえたら嬉しいです。心の琴線に触れた瞬間、自然にシャッターを切ることが多いのですが、瀬戸内にはそんな瞬間がたくさんあるんです。特に船が島々の間を通り抜ける瞬間は夢中で撮影しています。もしみなさんが瀬戸内の島に撮影に行かれる際は、撮影機材だけでなく必要なものは事前に買って行くことをおすすめします。コンビニやお店が少ない島が多いんです」。
Setoさんにとってズバリ旅とは?「心のリフレッシュに必要不可欠なもの。旅をするために生きていると言っても過言じゃないと思います。写真を撮ることが旅に行く原動力になっているので、そういう意味では写真を撮るために旅に出ているといえます。ただ実際に旅に出ると、風景に癒やされたり、ハプニングが起きたりと旅自体を楽しんでいますね。旅と写真、この二つの目的がうまく循環して、また次の旅に出ている気がします」。
直島 アーティーなドット柄の「フェリー」
「アートの島といわれる直島。草間彌生さんの南瓜(かぼちゃ)の作品が有名ですが、それを連想させるドット模様のフェリーが魅力的。フェリーが出港するまでの間しか撮れないので、フェリーを降りたらすぐ撮影するのがおすすめ。女の子の一人旅をイメージした作品です」
大島 「亀老山展望公園」のパノラマ展望台ブリッジ
「この展望台は隈研吾さんが設計されたもの。橋の形状になっていてユニークで素晴らしいことはもちろん、色々な方向から瀬戸内の風景を見渡せます。たくさんの観光客がいる場所なので、静かになる瞬間を待って撮影しました」。
豊島 アート作品「勝者はいない‐マルチ・バスケットボール」
「豊島もアートの島として知られています。ここに来た人はみんな夢中でゴールに向かってボールを投げています。アート作品なのに人々がそれを遊びの場として使うことができ、そうすることで作品として完成するような気がするとても面白い場所です」。
豊島 眼前の瀬戸内海へ下る「坂道」
「豊島美術館前の坂です。初めてここを訪れたときは、日本にこんな場所があるのかと思い驚き、しばらく見とれていたのを覚えています。下り坂が曲がっていて眼の前には海しかないという景色の素晴らしさは、実際に行ってみると写真で見るよりもすごいことが実感できます」。
男木島 瀬戸内の風景と男木島に別れを告げるフェリー
「瀬戸内の風景と、男木島を離れていくフェリーが印象的で。タイミングよくフェリーが出港したので、あえて人ではなくフェリーにピントを合わせて撮影しました」。
男木島 出会いと別れの「フェリー乗り場」
「フェリー乗り場で、帰りのフェリーが到着したときの写真です。印象的な色使いですごく可愛らしいです。待ちきれずに子供がかけていく瞬間は、いろんなことを想像させてくれます」。
大三島 「しまなみコーヒー」でほっと一息
「瀬戸内の風景を眺めながらコーヒーなどが楽しめる素敵なスポットです。しまなみ海道の真ん中あたりにあるので、島々に寄った後に贅沢な休憩時間を味わえます。カフェの雰囲気と瀬戸内の風景が両方伝わるような構図を考えて撮影しました」。
Seto
自営業 広島県出身。カメラマンとして働いた後、本業の傍ら趣味で写真を続ける。現在は依頼を受けて撮影の仕事をするという形で作品を撮り続けている。
愛用カメラ:Sony α7 III、KODAK EKTAR H35、KYOCERA SAMURAI X4.0
愛用レンズ:SIGMA 50mm F1.4 DG HSM Art、TAMRON 28-75mm F2.8 Di III RXD
GENIC vol.68【週末“撮影旅”プレゼン】
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.68
10月号の特集は「旅と写真と」。まだ見ぬ光景を求めて、新しい出逢いに期待して、私たちは旅に出ます。どんな時も旅することを諦めず、その想いを持ち続けてきました。ふたたび動き出した時計を止めずに、「いつか」という言葉を捨てて。写真は旅する原動力。今すぐカメラを持って、日本へ、世界へ。約2年ぶりの旅写真特集。写真家、表現者たちそれぞれの「旅のフレーム」をたっぷりとお届けします。