menu

沖縄ーーローカルな視点で巡る素の沖縄 土屋昌徳

2日休みがとれたなら、カメラを持って撮影旅に出かけたい。そんなとき、どうやって行先を決めますか?今回は、地元を知り尽くしたフォトグラファー4名が、自信を持ってプレゼンテーション!次の予定のない週末に、さっそく旅してみるのはいかが?
地元を愛するフォトグラファーたちが贈る「週末“撮影旅”プレゼン」、3人目は何気ない日常風景を優しい視点で切り取る、写真家・ビデオグラファー・デザイナーの土屋昌徳さんです。

  • 作成日:

ADVERTISING

目次

沖縄の魅力はエメラルドグリーンの海や白い砂浜だけじゃない

その光景に美を感じれば、それは自分だけの絶景となる

2013年、沖縄に移住したタイミングで、この美しい島を撮りたいと感じて本格的に写真を撮り始めたという土屋さん。「沖縄は優しい人ばかり。人と人との関わりの中で、ゆいまーるの精神を感じます。そして琉球王朝時代の中国との交流、戦後米軍統治の影響など、多様な背景が交わる食文化も魅力的です。沖縄といえば青い空、白い砂浜にエメラルドグリーンの海のイメージが強いと思いますが、それだけじゃない素の沖縄について、自分自身ももっと知りたいし伝えいていきたいという思いで写真を撮っているし、皆さんにも目を向けていただきたいです。例えば外壁に使われる様々な形の花ブロック、古い商店や食堂などの壁に直接描かれた直書き看板、外人住宅など、地理的な理由や歴史的経緯から生まれたものが沢山あります。有名なスポットや絶景と認められた場所以外でも、自分の中でその光景に美を感じれば、それは自分だけの絶景となります。自分の作品を通して、沖縄の文化や風習などに、少しでも興味を持っていただき、次の旅で楽しんでいただけたら嬉しいです」。

「読谷村・宇座海岸」の石切場跡の西日と釣り人

「2022年11月、宇座海岸の石切場跡にて撮影。西日に照らされる釣り人と、水面を照らす強い光が沖縄らしかった。写真には写っていませんが、すぐ横には明治・大正時代にかけて建築用に石灰岩を切り出した跡が広範囲にあり、どこか不思議なパワーを感じる場所」。

「金武町」にあるクラブの看板

「米軍基地キャンプ・ハンセン前の門前町として栄えた社交街。戦後の米兵向けのBARやCLUBの名残りが今も見られ、沖縄の歴史を感じる場所のひとつです。この看板と建物と電線からどことなく暗い歴史をはらんだ街の雰囲気が伝わるかなと思います」。

「糸満市照屋」にあるレトロな理容館

「台風が多いこともあってか、古くからあるお店は、壁に直接描かれた看板が多いです。こうした直書き看板を用いた古い理容室も沖縄の街で見かける普通の景色。レトロな書体とパーマのイラストがカッコいいなと」。

「与那原町」で見かけたブーゲンビリアに覆われた家屋

「ブーゲンビリアが壮大で、なんだかモジャモジャ頭みたいで可愛いくて『絶景スポットとして認定せねば』と思いました。フィルムで撮ったのですが、今にも雨が降りそうなどんよりした曇り空で、その薄暗さも沖縄らしくていいなと思っています」。

「国頭村やんばる」の山奥にある長尾橋

「国立公園にも指定されている沖縄島北部のやんばるの大自然を感じる風景。空の青と緑の世界は、海とはまた違った開放感があります。やんばるの大自然への入り口のようで、沖縄の山も悪くないなと思える場所です」。

「嘉手納町水釜」にある外国人住宅

「写真家のグレッグ・ジラード氏の『Hotel Okinawa』で見た構図。同じ位置から撮影しようと思い、どこから撮影し、どう見えるのか、何度も繰り返しました。ここまで外国人住宅が集合していて上から見下ろせる場所はあまりありません。戦後、米軍基地とともに歩んできた沖縄の歴史を感じられる、素の沖縄の風景だと思います」。

「金武町」にあるキングタコス本店のタコライス

「沖縄県民のソウルフードとしてタコライスは外せません。中でもタコライス発祥のお店で間違いない味なのでオススメしたいです。パックから飛び出そうなボリューム感、いつも食べ切れるか心配になります。ぜひチャレンジしてください」。

土屋昌徳

写真家・ビデオグラファー・デザイナー 静岡県出身。文化服装学院卒業後、アパレル業を経て、2013年に沖縄へ移住。デザイン事務所に勤務した後、2020年に独立。翌年から沖縄と神奈川の2拠点を行き来しながら、フリーランスとして主に写真・映像制作・デザインなどの仕事を中心に活動。スタジオ兼事務所「STUDIO new城」を経営。
愛用カメラ:Mamiya RZ67
愛用レンズ:Mamiya-SEKOR Z 90mm F3.5

土屋昌徳 Instagram
STUDIO new 城 Instagram
土屋昌徳 X

GENIC vol.68【週末“撮影旅”プレゼン】
Edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.68

10月号の特集は「旅と写真と」。まだ見ぬ光景を求めて、新しい出逢いに期待して、私たちは旅に出ます。どんな時も旅することを諦めず、その想いを持ち続けてきました。ふたたび動き出した時計を止めずに、「いつか」という言葉を捨てて。写真は旅する原動力。今すぐカメラを持って、日本へ、世界へ。約2年ぶりの旅写真特集。写真家、表現者たちそれぞれの「旅のフレーム」をたっぷりとお届けします。

GENIC公式オンラインショップ

おすすめ記事

やんばるのオアシス「ター滝」で冒険者になってリバートレッキング

沖縄の伝統と現代の技術が織りなす「国立劇場おきなわ」

埼玉ー魅力を秘めた彩の国へ 櫻子

次の記事