埼玉ー魅力を秘めた彩の国へ
「透明感のある埼玉の風景」を届けたい
埼玉県広報アンバサダーとしても活動している櫻子さん。「埼玉は観光地もたくさんありますが、特に名前のない、観光地ではない場所こそ発掘し甲斐がある場所。魅力的なロケーションがたくさん潜んでいるんです。特に北部は、広大な景色が広がっていて、『こんな大自然が埼玉に!』と驚かれることも多いです。そして自然やロケーション以外にも、最近はかつて栄えた商店街を再利用してマルシェイベントが開催されているエリアも多く、地元の方はもちろんクリエーターとのつながりも増える素敵なところです。旅の面白さは、知らなかった魅力を発見することにある、と思っています。ハンターみたいな感覚なんです。あえて調べすぎずにドライブしたり、自分の足に委ねて街歩きをすることで、名前のない自分だけの場所に出会えます。心の琴線に触れるものを見つけながら、これからも儚く幻想的な世界観を大切にして、地元の人すらも地元とは分からないような“透明感のある埼玉の風景”を伝えていきたいと思っています。ぜひいつか来てくれたら嬉しいです」。
埼玉には魅力的なロケーションがたくさん“潜んで”る!
本庄市・神川町間を通る「八高線沿い」
「“アニメの世界のような風景”が、埼玉にもあることを伝えたかった作品。Googleマップでこのロケーションを見つけました。広大な影色に心を奪われたのでトランクを用いて旅行に来ているかのような雰囲気にしました。広角レンズで踏切全体を撮影するのもポイント」。
「吉見町」の水田風景とリフレクション
「埼玉に海はありませんが、素敵な水田がたくさんあります。これは5月の姿。鏡のように美しい風景は、この季節のイチオシといっても過言ではありません。特にサンセットの時間帯は光の反射がとても綺麗です」。
「本庄市・マリーゴールドの丘公園」に広がるマリーゴールド畑
「10月になるとオレンジの絨毯が一面に広がり圧巻です。丘の斜面に咲くので、写真も撮りやすいです。ここからは本庄市の街並みが見渡せる他、群馬県の上毛三山も楽しめます。マリーゴールドの花は背が低いので、下から撮影し、空と花だけが写るようにしました」。
「美里町」にある一面の麦畑
「5月に美里町を車で走るとあちこちに広がる黄金の麦畑。ゴッホの絵画のような世界を味わえます。特に晴れている日は、青空と黄金色の麦のコントラストが綺麗です。風にざわざわなびく麦の穂は映像撮影にも◎」。
「深谷市」で見つけたぽつんと浮かぶ一本の木
「車で走っているときにたまたま見つけた、畑のある広い景色にぽつんと佇む一本の木。周りが開けているので、木のシルエットが綺麗に浮かび上がります。2月に撮影したときは、東側から西側へ向かって撮影できたので、ちょうどサンセットと一緒に撮影できました」。
「鴻巣市」のポピー畑と青空
「日本最大級のポピー畑、ポピー・ハッピースクエア。5月に訪れた際、約3000万本のポピーが咲いていて息をのむ美しさでした。海外に来たようなスケールに圧倒されます。広大なので自分の撮りたいロケーションを探して撮影できます。手前の花を前ボケにして放射構図で撮影」。
白銀世界が広がる「秩父・三十槌の氷柱」
「最大幅約30メートル、高さ約8メートルにおよぶ絶壁に連なる白銀の世界。時間ごとに色が変わるライトアップも見所。暗いので、ライトアップに映えそうなランプを小道具に。また三脚を用いて、シャッタースピードを遅くして撮影しました。2月に撮影」。
「美里町・松久駅舎」と一本の桜
「赤い屋根に黄色の壁。まるで絵本に出てきそうな可愛らしい駅舎に一目惚れしました。そしてなんといっても桜とのコラボレーションが美しい!西日が駅舎の方に差し、桜の木の木漏れ日が映るため3月の午後の時間帯がおすすめ。この時期にぜひ訪れてみてください」。
櫻子
フリーランスフォトグラファー・ライター・デザイナー 1996年生まれ、埼玉県出身。「透明感のある、儚い世界観」をモットーに、写真を「描く」フォトグラファー。青を基調とした作品や多重露光作品などの制作を行う。企業や自治体とのタイアップ、ワークショップも開催。2023年、埼玉県広報アンバサダーに就任。観光メディアの撮影やデザイン、ライター業も務める。
愛用カメラ:Sony α7 III、PENTAX MX
愛用レンズ:Tamron 28mm-75mm、Helios 44-2 58mm F2、SMC Takumar 50mm F1.4
GENIC vol.68【週末“撮影旅”プレゼン】
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.68
10月号の特集は「旅と写真と」。まだ見ぬ光景を求めて、新しい出逢いに期待して、私たちは旅に出ます。どんな時も旅することを諦めず、その想いを持ち続けてきました。ふたたび動き出した時計を止めずに、「いつか」という言葉を捨てて。写真は旅する原動力。今すぐカメラを持って、日本へ、世界へ。約2年ぶりの旅写真特集。写真家、表現者たちそれぞれの「旅のフレーム」をたっぷりとお届けします。