目次
- 京都ーゆったり流れる時間を楽しむ街
- ゆっくりと。行き足りなければまた今度行こうぐらいの気分で
- 紅葉も、新緑も、桜も。どの季節も美しい
- 渓谷美を楽しめる「嵐峡」
- 深緑に染まる「三千院」
- 「上賀茂橋周辺」の桜並木
- 紅葉が美しい「南禅寺・三門」
- ベストシーズン、ピークタイムを外した京都に新たな物語が生まれる
- 湿度や気候が影響して京都らしい写りになるのが魅力
- 朝焼けの嵐山・「渡月橋」
- 新緑も魅力の「南禅寺」
- 静寂が流れる「瑠璃光院」
- 風情のある街並みを楽しめる「宮川町」
- こだわりの強い京都人が営むカフェでひと休憩
- 東山でコーヒーとドーナツを片手に「loose kyoto」
- 美術館のような隠れ家カフェ「ACTUAL KYOTO」
- 温かみのある空間で“ふー”と一息「HOO」
- GENIC vol.68
- おすすめ記事
京都ーゆったり流れる時間を楽しむ街
ゆっくりと。行き足りなければまた今度行こうぐらいの気分で
「京都の魅力はやはり街並みですね。特に中心地は歩いてるだけで京都らしさを感じられます。景観法で建物の高さ制限があるため、街中でも空が広がっていて、開放感があるんです。でも一番は空気感。関西人なので喋るのが好きな人も多いんですが、なんか“ゆっくり”なんです。ある程度都会なのに、田舎感もある。そのバランスが僕は京都の一番の魅力だと考えています。観光地が多いからこそ、一気に回ろうとする方が多いと思いますが、できれば早起きをしてゆったり散歩してそのゆっくり感を味わってください。どれだけ混んでいる場所でも朝10時くらいまでは人が少ないので、有名な観光地でもゆっくり楽しめると思います。着物姿の人や割烹の職人さんが、店前で水撒きしてる準備姿など、観光地にはない日常を撮りたくなる瞬間が溢れてます。そのあとはカフェで休憩して、1、2カ所だけ寺社仏閣を回る。行き足りなければまた今度行こうぐらいの気分で。そんな感じでゆっくり過ごすことが京都を一番楽しむ方法だと思います」。
紅葉も、新緑も、桜も。どの季節も美しい
渓谷美を楽しめる「嵐峡」
「バリ島で見たサンセットに感動し、現地の人に『地元の人も見にきちゃうんですね』って話したら『当たり前だよ。こんなにも綺麗なんだから』って。京都の紅葉も同じです。写真を撮るときは、できるだけ“京都らしいもの(例えば嵐山の屋形船)+紅葉”となるように意識しています」。
深緑に染まる「三千院」
「広々とした寺院はゆったりした時間が流れ、とても気持ちのいい場所。新緑に囲まれた空間を意識して手前と奥に緑を置く構図にしました。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色が楽しめます。中心地の観光地を離れ、都会の喧騒を忘れてみるのはいかがですか?」
「上賀茂橋周辺」の桜並木
「鴨川にかかる北区・上賀茂橋周辺で撮影。桜の季節に自転車で散策してたら見つけました。それ以来毎年訪れるほど好きな場所です。少しずつ観光客が増えてきたので、ここも朝早く訪れるのがいいかもしれません。桜の壮大さを伝えたく、人を入れて対比を作りました」。
紅葉が美しい「南禅寺・三門」
「ベタですが、京都の寺社仏閣や風情ある景観と紅葉の組み合わせは最高です。地元にいながら毎年見に行ってしまうほど。荘厳な建物の迫力を出すために広角レンズを使うことが多いです。少しでもゆっくり見たい場合は10時くらいまでに行くのがおすすめです」。
ベストシーズン、ピークタイムを外した京都に新たな物語が生まれる
湿度や気候が影響して京都らしい写りになるのが魅力
「どの季節にも京都らしさがあります。もちろん何度見ても紅葉には感動します。でも紅葉が有名なスポットは、外れなく新緑も美しい。だから、ベストシーズンではない季節の京都を楽しむのもおすすめです。ゆっくり巡る秘訣でもあります。あと、写真に関して最近感じているのは、湿度などの気候が写りに影響するな、ということです。京都は盆地で気候に特徴があり、冬でも湿度が高い。だから京都らしい写りがあるんじゃないかなって。それも写真を撮る上である意味魅力かなって感じています」。
朝焼けの嵐山・「渡月橋」
「秋冬は渡月橋の奥から太陽が昇り気持ちのいい景色が広がります。その場を楽しんでる人を写すことで現実味を追加し、朝焼けのインパクトのある雰囲気が残るようレタッチしました。昼前には人が増えるので、それまでに嵐山を楽しんでおくのがおすすめです」。
新緑も魅力の「南禅寺」
「秋の南禅寺は道が人で埋まるほど混雑しますが、新緑の季節は人が少なくなります。友達と座って喋っている人がいたり、読書している人がいたり。そんな使われ方をしている寺社仏閣が僕は好きなんです。境内の広さが伝わるように意識して構図をとりました」。
静寂が流れる「瑠璃光院」
「瑠璃光院は紅葉が有名で、並ばないと入れないほど。でも新緑の季節はけっこうすんなり入れるんですよね。こんなにも美しいのに。初めて見たとき、絵画のような景色だなと思いました。室内側を枠になるように入れて、暗いけどうっすら見えるように調整しました」。
風情のある街並みを楽しめる「宮川町」
「宮川筋3丁目あたりで撮影。京都らしい場所でありながら人通りが少ない場所。通りの奥行き、石畳の道を入れて風情ある写真になるよう意識しました。日常的に着物を身につけている方は歩き方や所作が全然違うので、写真で切り取っても美しい作品になりやすいです」。
こだわりの強い京都人が営むカフェでひと休憩
「京都らしい食事をしたい人が多いと思いますが、地元の人も楽しむようなお店に行ってみてほしいです。京都にはこだわりの強い人が提供しているお店やカフェが多いので、観光客向けではないお店の雰囲気も味わってほしいです」。
東山でコーヒーとドーナツを片手に「loose kyoto」
「清水寺や八坂の塔がある東山にあるカフェ。名所を回るついでに、休憩できます。特にあっさりしたカスタードドーナツは毎回食べちゃうほどだし、コーヒーも質のいいものが安くてうまい!気のいいスタッフばかりなので、旅先での人との触れ合いも楽しめます」。
美術館のような隠れ家カフェ「ACTUAL KYOTO」
「バリスタ時代の仲間がオープンしたお店。週1、2回は行っています。チーズケーキが美味しいので絶対食べてください。内装デザインにもオーナーの強いこだわりが出ています。人のいいオーナーなのでここで京都のおすすめを聞いちゃうのもアリです」。
温かみのある空間で“ふー”と一息「HOO」
「loose kyotoの2店舗目。違ったタイプのドーナツが楽しめます。二条城と中心地の間にあり、2階にゆっくりできるスペースがあるので『次どこ行こう』なんてリサーチする場所に使うのも◎。このお店の温かみのある空気感が好きなので、その雰囲気が伝わるように撮影、レタッチしました」。
澤村洋兵
フォトグラファー 1985年生まれ、京都府出身。バンドマンとして青春時代を過ごし、その後は美容師、和食料理人、バリスタ、珈琲焙煎士などさまざまな職業を経験してきた異色のフォトグラファー。それぞれで培った感性を活かした写真は人物、風景、スナップなどバリエーション豊か。YouTube「キョウトボーイズ|写真と京都と男旅」、オンラインサロン「写真喫茶エス」主宰。書籍『あの人が自分らしい写真を撮れる理由』発売中。
愛用カメラ:Nikon Z 5、LeicaM10
愛用レンズ:NIKKOR Z 50mm f/1.8 S、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、Summicron 35mm f2 ASPH
GENIC vol.68【週末“撮影旅”プレゼン】
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.68
10月号の特集は「旅と写真と」。まだ見ぬ光景を求めて、新しい出逢いに期待して、私たちは旅に出ます。どんな時も旅することを諦めず、その想いを持ち続けてきました。ふたたび動き出した時計を止めずに、「いつか」という言葉を捨てて。写真は旅する原動力。今すぐカメラを持って、日本へ、世界へ。約2年ぶりの旅写真特集。写真家、表現者たちそれぞれの「旅のフレーム」をたっぷりとお届けします。