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A World in COLOR 青木ユリシーズ|連載「Eyes on the Street それぞれの視点が語る街角」第1回

街の中で、どこに目を留め、何を感じ取るのか。写真家たちがそれぞれの視点で拾い上げた断片や人々の姿は、街を見るまなざしに新しい角度を与えてくれます。知っているようで知らない街角、初めて見る街の表情。十人十色のストリートフォトグラフィーをお届けします。全10回の連載、第1回はファッションモデルを経て写真家として活動する、青木ユリシーズさんです。

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目次

プロフィール

青木ユリシーズ

写真家 1992年生まれ、東京都出身、在住。ファッションモデルとして幼少期から活動し、その経験から写真と出会う。キャンディッド・ストリート、ファッション、映像作品等で幅広く活動中。YouTubeチャンネルとInstagramにて写真作品の公開、技術の説明、写真の解説などを行なっている。
愛用カメラ:Leica SL2-S/M6
愛用レンズ:Leica Elmarit-R 135mm f2.8/SUMMICRON-M f2.0/50

A World in COLOR

意外性のある景色を見せることで、写真という表現が秘める可能性を届けたい。

東京「バスの窓に絵を描いている子供」。

「ガラス・反射を利用し、レイヤーを重ねることが好き。理由は、キャンディッドで撮りながらも、多重露光や過度な編集技術を用いずに、写真に複雑性やしなやかさを与えられるから。この手法により、ドキュメンタリーな価値を保つ“ストレートフォト”から、より“問いかける写真”に変貌し、観る人の解釈に委ねる1枚になると思っています」。

東京「横断歩道を大勢が渡っている様子を、ガラス越しに観察」。

ローマ「各々の時間を過ごす、市場に出入りする人たち」。

無意識には気付けない、現実世界の美しさの断片を反映したい

「幼少期からファッションモデルとして活動していたため、カメラと対峙する機会はたくさんありました。ある現場で写真家やスタッフの方々からモデルである僕に熱心に指示が出されたのですが、撮っていただいた写真を現場でモニター越しに見たところ、ビックリするくらい素敵な写真でした。それまで多くの方々に写真を撮られてきたものの、そこで初めて、“写真家の腕”によって昇華された1枚に出会えたのです。それから自分は写真を撮る側、モノづくりをする側になりたい、と強く思いました。大学生になり初めて一眼カメラを買い、ポートレートやファッション撮影の練習をしたのですが、自分の技術の無さが悔しくて。『とりあえず歩いてたくさん撮れば、練習になるか』と思い、ひたすら街を歩いて撮る日々が始まりました。ただ、僕は“ストリートフォトグラフィー”という定義については、考えない、そして決めつけないようにしています。“ストリート”と言ってしまうと、“道”や“街並み”を視覚的に想起しますが、僕は東京都内であっても、北海道の真っ白な雪景色であっても、同じ構えで写真を撮り、すべてひっくるめて“キャンディッド(=現実に手を加えていない撮影手段)”として、自らレッテルを付けないようにしています。
自分らしい写真として欠かせない要素は、油絵みたいなニュアンスのある濃厚な色。そして、光と影のレイヤーと、単純化と複雑性の両立。現実の中でも抽象的、怪奇的な印象を与えられる1枚を意識しています。アーティストで言えばフランシス・ベーコン、ゲルハルト・リヒター、サイ・トゥオンブリーなどが好きで、明るい色を使っていても濃厚さや暗さが残っている絵面に惹かれます。デヴィッド・リンチの世界観も好きで、映像という圧倒的にリアルな媒体で、怪奇やシュールレアルをあそこまで表現できることに感銘を受けています。路上で撮る際には、色に反応してシャッターを切ることが多いのですが、無意識に歩いているだけでは気付けない、現実世界の美しさの断片を反映したいと思っています。キャンディッド・ストリートの特性上、現実を題材にしているわけですが、その現実においても意外性のある景色を見せることで、写真という表現が秘める可能性やワクワク感を届けたい。そして、観る人が自身に対して、また、現実世界に対してポテンシャルを感じて、何かしら前向きな気持ちになってくれたら嬉しいです」。

東京「スーツを着た男性が通り過ぎています」。

東京「広告とガラスが入り乱れる中、力強い視線に惹かれて撮影」。

東京「レストランで誰かを待っている男性。これほどのシーンに出会えるのは人生で何回あるか、と考えるほど気に入っている1枚」。

ドバイ「メニューを手にして注文を取りに行くウェイター」。

写真は、自分の“集大成”。人生で経験し学んだことが、すべて現れている。

「自分にとって写真は、“集大成”。人生で経験し学んだことが、すべて写真という形にアウトプットして現れています。また、撮ることを職業としたり、セルフプロデュースすることで、写真は自分のスキルセットの集大成になっていると考えます。超長期的なフォーマットなので、さらに何十年か撮り続けた後に“人生の集大成”として、写真を見返すことが楽しみです」。

ストリートフォトグラフィーで必要だと思うこと。

1. 教養

現実世界にあるすべてがキャンバスになるので、圧倒されないために指針が必要。多くの場合、その指針は個々人にすでにインプットされている“引き出し”だと思う。

2. 自己疑念、もしくは過剰な自信

活躍している写真家(なんなら、アーティスト全般)は、この2タイプかと。自己疑念を持ち続けて試行錯誤を繰り返せる人か、自信家で人の意見を気にせずにひたすら自分の表現を続けられる人。

3. 根気

ひたすら歩いて撮る行為なので。何時間も何十キロも1日で歩き、それを何ヶ月も何年も何十年も繰り返します。

GENIC vol.78【Eyes on the Street それぞれの視点が語る街角】
Edit:Satoko Takeda

GENIC vol.78

2026年4月号のテーマは「Street Photography 名もなき瞬間」
街にある無数の光景の中で、理由もなく心をつかまれる一瞬がある。
カメラを向けると、世界が少しだけ深く息をする気がして、そっとその瞬間をすくいあげる。
誰かの日常、街の呼吸。
そこには、題名のない小さな物語が潜んでいる。
私たちはまた今日も、名もなき瞬間に出会いに、街に出る。
GENIC SHOP

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