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プロフィール
鎌田風花
フォトグラファー 1990年生まれ、大阪府出身。関西大学文学部卒業後、商社へ就職。結婚を機に兵庫へ移住し、学生時代から趣味だった写真を続けながらパティスリーで勤務。家族写真の撮影依頼をきっかけに、2017年よりフォトグラファーとして活動を始め、家族写真の出張撮影や広告撮影、写真教室の講師として、全国各地を訪れている。
愛用カメラ:Nikon Z7II、Nikon Zf、Nikon Zfc、RICOH GR III
愛用レンズ:NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、NIKKOR Z 40mm f/2(SE)、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
個性を作風に乗せてSNSで脚光を浴びる表現者たち
「光」と「透明感」で表現する何気ない瞬間
「氷見で撮影した1枚。この時を超える美しい朝焼けをまだ見たことがありません。富山湾は冷えた冬の朝、けあらしという霧を見ることができます。朝日の中、静まり返る海上で船が漁を始めるその瞬間は、今でも鮮明に思い出すことができます。この空気感全てを1枚の写真で伝えたいと思いました」。
「強い逆光で光の輪郭が出ているところと、自然体の表情が写っているところが気に入っている『秋の光』。西日のススキはキラキラとした写真の印象を強くします。晩秋で日の入りが早かったので、急いで撮影したのをよく覚えています」。
小さな幸せや気づきを空気感ごと写真に撮る
「2023年の夏、近畿日本鉄道の『わたしは奈良派』というポスター広告に起用していただき、関西と関東の電車や駅構内でたくさん掲示されました。授乳中の鹿の親子というとても愛しい光景に出会い、少し遠くからそっと眺めていたときの1枚」。
ふわりと入る光の取り入れ方が自分らしさ
「透ける花びらの質感は、透明感を出しやすい写真のひとつ。青空がカラフルなポピーによく似合う風景でした」。
「普段から、日々の暮らしの中にある何気ない瞬間を切り取ることを大切にしています。心がときめくような小さな幸せや気づきなどを、空気感ごと写しとりたい。素敵だと感じたその場の空気感をどうすれば表現できるのか、その都度考えながら撮っていますが、特に、ふわりと入る光の取り入れ方がこだわり。光に透ける植物や、光が溢れるような風景などを好んで撮るうちに、透明感に惹かれるのだと気づき、自分らしさとして意識するようになりました」。
「雨上がりの後の光が美しく、心奪われた風景です。美しいと感じた光を写真として表現するために、手前にある植物についた雫を、玉ボケにして撮影しました。2024年のCP+でも展示していただいた、お気に入りの作品です」。
「また、これがあるから自分の写真を表現できる、という機材に出会えたのも大きいと思います。私の場合、今はそれがNikonのZシリーズなのですが、これらが作品づくりにおいて味方してくれる時が多々あります。心ときめく瞬間をそのまま写真に残したいので、あまり過剰な編集はしませんが、植物の緑は、若葉のようなフレッシュさと透明感が出るよう、少し青味寄りにするなど、より自分のイメージに近づけるような作品づくりを目指しています」。
「私にとっては日常の何気ない瞬間ですが、愛猫のとても気持ちよさそうな、心を許してくれている表情が愛しく、大切な1枚です。表情に人間味があるようで、SNSでも多くの反響をいただきました」。
「どんな写真でも、撮り方や意識は同じですが、SNSに投稿する場合は、1枚のインパクトが大きく目にも留まりやすい縦位置の写真をメインにしたいので、自然と縦写真を撮ることが増えました。その場の空気感も一緒に写すことができた時は、とても幸せな気持ちになります。作品の受け取り方は見た人に委ねていますが、自分自身が撮影時に感じた気持ちと近い感想をいただくと、伝わったのだなと実感します」。
GENIC vol.71【個性を作風に乗せてSNSで脚光を浴びる表現者たち】
Edit:Satomi Maeda
GENIC vol.71
2024年7月号の特集は「私の写真世界」。
写真は生き様が反映されるアート。何を感じ、何を受け取って生きてきたのか。写真に投影されるのは、自分自身です。自分らしさとはいったい何なのか?その回答が見つかる「作品」特集。私の写真世界へようこそ。