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【DEAR MY PEOPLE 愛する人を撮る #3】川原和之

「大切な人をカメラに収めたい」。写真を愛するクリエイターにとって、それはとても自然な感情。かけがえのない時間を切り取りたい、愛しい気持ちを写真で表現したい、その人が生きた証を残したい…。
「愛する人」をとらえたクリエイターたちの写真には、それぞれの深い愛が込められています。
#3は、ヒーローのような祖父母を撮る、作業療法士の川原和之さんです。

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川原和之

作業療法士 1983年生まれ、富山県出身。12年くらい前に梅佳代さんの写真集『じいちゃんさま』に感銘を受け、撮影活動を開始。温かい目線で切り取る家族写真がSNSで話題に。
愛用カメラ:Hasselblad 500C/M
愛用レンズ:Carl Zeiss Planar CF 80mm f/2.8 T*
「現行ではない古いレンズですが、解像度の高さと柔らかなボケ感が、僕の写真ライフを支えてくれています」。

ヒーローのような祖父母

「写真の中に僕が知らない家族の一面を見つけた時に、喜びを感じます。たとえば庭で摘んだ花を輪ゴムで留める、少女のような祖母の可憐さなど」。

大切なのは、普通の顔を撮ること。そして、あと少しのユーモア

「足元のサンダルと背景の軽トラのユーモアも含めて、祖父の”カッコいい”がすべて詰まっている一枚」。

祖父母の想いを娘に伝えるために シャッターを切り続ける

「写真に興味を持った頃から、祖父母ばかり撮っていた」という川原さん。
「両親が共働きだったこともあり、幼い頃からとても身近な存在の祖父母を撮るのは、ごく自然なことでした。現像された写真の中の祖父母は、家族なのにどこか違う世界にいるような不思議な感覚があり、祖父母の存在を写真を通して追いかけていくようになりました。祖父が大病を患い、”死”に向かっていく覚悟を感じたことをきっかけに、限りある”生”を残しておきたいと、Hasselblad(中判フィルム一眼レフ)で撮影するようになりました。ウエストレベルのファインダーで目線が低くなるのですが、それは祖父母がヒーローのような存在だった幼い日の自分の眼差のようだと気付き、祖父母のカッコいい姿を探しながら撮影するようになりました。そして祖父が亡くなった今も、ずっと家族を撮り続けています」。

「娘の手が足腰が悪くなった祖母にとっての杖となり、光の中へ歩いていく二人。手をつなぐから歩いていける、という祖母の言葉が印象的でした」。

「柔らかな午後の光の中、うたた寝する祖父。祖父の頭には、ついつい物を置きたくなるものです」。

「触れるような距離感で目を撮りたくて、接写フィルターを使って撮影」。

「祖父が息を引き取った日の朝、祖父母の最後のツーショット。病室の祖父の隣で疲れて眠る祖母と、それを見て穏やかに微笑んだ祖父。とても悲しかったけれど、とても幸せな時間でした」。

写真の中に知らない家族の一面を見つけた時、喜びを感じる

「シャッターを切りたくなるのは、幸せかもしれないな、と思った時。幸せだと確信した時だともう光景は過ぎ去ってしまうので、かもしれないな、くらいがちょうどよかったりします。ファインダーの中の娘に幼き日の自分を投影しながら、祖父母の想いを娘に伝えたい、祖母が生きた証を残したい、と思いながら撮っています」。

「窓枠を利用した二分割構図で、生まれてきた赤子と年老いた祖母との言葉なき対話」。

「二人の対照的な泣きと笑いの表情が交錯した瞬間に惹かれて、シャッターを切りました」。

「腰に手を当てながら歩く祖母の姿を模倣する娘」。

「祖母がスーパーのチラシで折った折り鶴に手を伸ばす娘の情景に、希望を感じました」。

「娘と祖母の、2021年現在の関係性を示す一枚」。

川原和之 Instagram
川原和之 Twitter

GENIC VOL.59 【DEAR MY PEOPLE 愛する人を撮る】
Edit: Satoko Takeda

GENIC VOL.59

特集は「だから、人を撮る」。
最も身近にして最も難しい、変化する被写体「人」。撮り手と被写体の化学反応が、思ってもないシーンを生み出し、二度と撮れないそのときだけの一枚になる。かけがえのない一瞬を切り取るからこそ、“人"を撮った写真には、たくさんの想いが詰まっています。泣けて、笑えて、共感できる、たくさんの物語に出会ってください。普段、人を撮らない人も必ず人を撮りたくなる、人を撮る魅力に気づく、そんな特集を32ページ増でお届けします。

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