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家族との時間 喰田佳南子 | 連載 Every day,Greatest day 子どもたちの日常

大人にとっては当たり前の日々も、小さな世界で泣いて、笑って、一生懸命生きている子どもたちにとっては、毎日が最高の日。我が子の意外な表情、愛らしい仕草、ふと気づく成長......日常にある尊い瞬間を抱きしめるように写真に残す7名の作品をご紹介。全7回の連載、第2回は写真家の喰田佳南子さんです。

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目次

プロフィール

喰田佳南子

写真家 1994年生まれ、千葉県出身。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。カメラ歴10年。東京を拠点に写真家として活動。ひとの生活に寄り添う写真をメインに、撮影や制作を行っている。主な展示に、キヤノン写真新世紀展「ほんの小さな 優しいこと」、個展「NewBreath」東京/大阪など。著書にZINE『LAZOPLAZO』(絵本作家の宇都宮琴音さんと制作。チェコで出会った“まったりとご機嫌なものたち”をテーマに、イラストと写真で構成)、本『animals in my house』(グラフィックデザイナーの中村彩梨さんとの共作。私たちの部屋の中で見つけた、愛おしいものたちの記録)。ハンカチ専門店「H TOKYO」より『写真のハンカチ』3柄を販売中。
愛用カメラ:Canon EOS R6、RICOH GR IIIxなど
愛用レンズ:OLYMPUS F.ZuikoAuto-Sなど

うちの子紹介

今は4歳になったので、カメラの存在を意識するようになり、ポーズを取ることもありますし、どんな写真になったか興味を持つように。それ以前の、ある意味動物的な様子は、驚きと発見の連続で新鮮に感じていました。『もう撮らないで』と言われる日が来るまでは、できるだけ細く、長く、撮らせてもらえたらと思っています。

家族との時間

愛情の注ぎ方は人それぞれ。 私にできる最大限の方法は写真を撮って残すこと

「こま切れ睡眠がつづき、昼と夜の感覚がなくなっていた頃、常に見えていた眠くも眩しい世界」。

「まだ柔らかい髪は光を透かし、頬を優しく撫でてくれます」。

「夫が『父』になっていく様子を、1番近くで見守ることができました」。

「車内から撮影。アクアラインを耐え抜いたカタツムリ」。

「母から受け継いだ愛を、娘へ」。

時は止まってくれないから。確かにあった時間を写真で残す

子どもを撮るようになったのは、必然的に。愛情の注ぎ方は人それぞれですが、私にできる最大限の方法が写真を撮って残すことでした。子どもが微笑んでくれるだけで、ママ、ママと呼んでくれるだけで、これまでの自分の人生を丸ごと肯定されている気分になります。大袈裟に聞こえてしまうかもしれませんが、本当に日々そう感じていますし、1分1秒が惜しいと思えるようになったのはこの子のおかげです。時は止まってはくれません。しかし、確かにここにあった時間を残すことができる最善の手段が自分にとっては写真です。私たち夫婦にとっての太陽のような存在と、我々を包む光から、できる限り目を逸らさず、撮りこぼさないようにしたい、その想いが現在の自分の軸となっています。忘れたくないと強く感じる瞬間、そしてその衝動に駆られるとき。瞬時に、できるだけ撮り逃さないように、カメラはいつも手の届く範囲にあります。生け捕りにするかのように生の瞬間を捉えるのは、まるでハンターのようですね。この子がいつか家を出るときに、撮りためた写真を1冊の本にして、渡したいと思っています。その頃にはお互い少し照れくさいと思いますので、手紙の代わりに。「こんなふうにあなたを見つめて、あなたは私たちをこんなふうに見つめ返してくれました」。そういったことが、伝わるものになると良いなと思っています。

GENIC vol.74 Every day, Greatest day 子どもたちの日常

GENIC vol.74

2025年4月号の特集は「It’s my life. 暮らしの写真」。

いつもの場所の、いつもの時間の中にある幸せ。日常にこぼれる光。“好き”で整えた部屋。近くで感じる息遣い。私たちは、これが永遠じゃないと知っているから。尊い日々をブックマークするように、カメラを向けてシャッターを切る。私の暮らしを、私の場所を。愛を込めて。

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