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色に恋して。デジタル写真をフィルム風に「FUJIFILM フィルムシミュレーションの魅力」vol.15 文月ふみ

デジタルカメラで撮影した写真を、フィルム写真のようなカラーに。そんな夢のような機能が、富士フイルムのデジタルカメラに搭載されています。その名も「フィルムシミュレーション」。フィルムを交換するような感覚で色再現を楽しめる機能で、その数なんと20種類。フィルム時代から90年以上にわたり、色の表現を研究してきた富士フイルムだからこそ作れる機能です。

「Xシリーズ」「GFXシリーズ」すべての機種で使用できるとあって、この機能に恋して、富士フイルムのデジタルカメラを愛用し続ける写真愛好家やフォトグラファーも多数。

そこで本連載では、「フィルムシミュレーション」の魅力をお届け。毎回1名のクリエイターがお気に入りのフィルムシミュレーションで撮影した作品とともにその魅力を語ります。第15回は、写真家の文月ふみさん。富士フイルムの「GFX100RF」で撮影した作品とともに、お気に入りのフィルムシミュレーションについて紹介します。

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目次

プロフィール

文月ふみ

写真家 北海道在住。夕暮れから夜明けまでの時間帯を中心に、主にフィルムカメラで撮影。北海道の自然の美しさや、日々の隣に流れるささやかな時間を大切に作品づくりを続ける。人の想いにフォーカスをあてたフィルムカメラによるプロジェクト「想いの在り処(ありか)」音楽レーベル「si-ki」を主軸に活動。他、世界観を重視した商品撮影・地域のストーリーツアーへの同行撮影、小冊子や音楽アルバムのビジュアル制作にも携わっている。

静けさや余韻を大切にしながら、日常のささやかな時間や人の佇まいを記録する

写真は、私にとって想いをかたちにするための大切なツール。自身も含め、被写体やそこにある想いを残すことができるのが、写真の美しさだと思います。その人の生きてきた物語や、ささやかで美しい時間が伝わるような写真をいつも目指して撮影しています。人の想いや美しい光景を写し取ることで、自分自身の心も整っていくような感覚があります。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション: CLASSIC CHROME
「夕暮れどきに、湖畔の水際を歩いていて見つけた、小さな白い羽根。陽はすでにかなり落ちていた時間帯でした。“羽根”というモチーフはもともと好きで、儚さの他に、軽やかさや希望のようなものも感じさせてくれます。CLASSIC CHROME特有の落ち着いたトーンと、彩度を抑えた繊細な色表現が、この小さな羽根の存在感を引き立ててくれたように思います。華やかではないけれど、目の前の風景や空気の中にある余韻や余白のようなものをすくい取ってくれる。この作品では、その特性がぴったりとはまってくれたように感じています」。

普段、夕暮れや夜明けの風景を中心に主にブローニーフィルムカメラで撮影しています。富士フイルムのデジタルカメラは、フィルムらしさが感じられる描写や自然な色味が魅力的で、記憶の中にある風景を思い出させてくれるようなトーンや質感に惹かれて、憧れを持っていました。

実際に富士フイルムのデジタルカメラを手にしたのは、2022年の秋頃。昨今、フィルム撮影にかかるコストは高騰しており、正直フィルム撮影だけでは難しい場面もあります。それで、憧れでもあった「GFX50R」を入手しました。余白や色の階調、立体感を感じる描写がとても美しいです。繊細さや色のトーンにおいてフィルム的な空気感を残してくれるので、朝や夕方の淡い光や、曖昧で静かな空気感を表現するのにぴったり。余韻を残した写真が撮れることは本当に魅力的で、中判フィルムの感覚と変わらない写真をデジタルで残せることに満足しています。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:ETERNA
「朝の柔らかな光が差し込む、友人の部屋の窓辺の棚の上には、木彫りの動物や花瓶、ドライフラワーなど、一つひとつ集められたお気に入りのものたちが並んでいました。それぞれに物語が宿っていて、穏やかな光の中で静かに息づいているように感じ、カメラを向けました。ETERNAは彩度が控えめなので部屋の空気感やものたちの存在が自然に調和し、見たままよりも少ししっとりとした静けさを纏ったような仕上がりになりました。特別な演出をしなくても、日常の光が映画のワンシーンのように写るところが魅力的だと感じます」。

今回使ったGFX100RFは、中判カメラの趣や描写力を損なわず、GFXシリーズ最軽量かつ機動力が高いことが魅力でした。ピントもオートで合わせてくれてスナップ感覚で撮影できるのに、圧倒的な描写力。ふとした時にさっと取り出して、普段は撮り逃してしまう何気ない瞬間をしっかりと残すことができました。また、レンズ一体型カメラですが、「アスペクト比切換ダイヤル」で簡単に画角を切り替えられることもいいなと感じました。いざ撮りたい瞬間があっても、レンズ交換のタイミングを逃してしまい、写真に残せなかった経験が今まで何度もあります。GFX100RFのクロップ機能は、ひとつのレンズのままでも自然な感覚で画角を切り替えられるため、とくにロケや旅先で大変心強かったです。アスペクト比も1:1、3:4、7:6、3:2と自由に切り替えられるため、被写体や空間、光の印象に合わせて最も美しく感じられる比率を選ぶことができます。撮影の自由度が高まることで、表現の幅も広がりました。

さらにGFX100RFは、クラシカルな見た目とデザイン、操作性など、フィルムカメラを彷彿とさせる佇まいをしているのが嬉しいところです。ダイヤルやボタンの位置も直感的で、手にしっくりと馴染む感覚があります。写真を撮るという行為を、気軽にかつ丁寧にしてくれるような道具としての美しさを感じました。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME
「秋の終わり、朝の湖を訪れた際に撮影した一枚です。空は少しずつ明るくなり、木々の紅葉がわずかに色を残しながら、湖面には薄い朝靄が漂っていました。静けさと時間の流れが閉じ込められているようで、余白が多い分、自分でも見返したくなる一枚になりました。とくに湖面の波紋や、朝靄の揺らぎが美しく写った点がお気に入りです。CLASSIC CHROMEを使うと、紅葉の色や空のグラデーションが強く主張せず、抑えられたトーンが朝の空気の冷たさやしんとした雰囲気をよりリアルに伝えてくれました。静けさを写真に写しとるには、CLASSIC CHROMEの色味がぴったりだと思います」。

フィルムシミュレーションは、撮影時の感情や空気感をより表現してくれるツールだと思っています。静けさや余韻を大切にしながら、日常のささやかな時間や人の佇まいを記録してくれます。フィルムシミュレーションを使うことで、その時の空気感や自分自身の伝えたいことをより繊細に残せる気がしています。残したい想いに寄り添ってくれるところがとても魅力です。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:ETERNA
「陽が昇り、朝の光が強くなってきた時間帯。この日の朝はとても冷えていて、外での撮影の合間に車の中で友人と待機していたときの一コマです。窓から差し込む光が車内を柔らかく照らしていました。ETERNAを使うと、ガラスからの光やダッシュボードの反射光も強すぎず、全体が映画的なトーンにまとまりました。彩度が控えめなので、車内のグレーやベージュ、衣装の深い色も喧嘩せずに馴染んでいます。特別なことはしていないのに日常が少し特別に見えるーーそんな印象を受けました」。

My favorite フィルムシミュレーション

今回の撮影でとくに活躍してくれたのは、「CLASSIC CHROME」と「ETERNA」です。

1:CLASSIC CHROME

CLASSIC CHROMEは、薄暗い時間帯の淡い光の描写をしたい時に使用しました。発色が抑えられ、細部のコントラストの絶妙なバランスが、よりその時の空気感を強調してくれたように思います。とくに今回は晩秋の北海道での撮影でしたので、少し彩度が低く落ち着いた色味の風景にもすごくマッチしました。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション: CLASSIC CHROME
「秋の終わり、陽が沈みかけた夕暮れ時に道東の湖畔にて。葉の落ちた枝のシルエット、遠くの山並み、そして穏やかな湖面。とくに水面に映る空の色と手前に重なる木の枝のかたちが絶妙で、自然が織りなす構図に引き込まれました。CLASSIC CHROMEは普段から好んで使っているフィルムシミュレーションですが、この夕暮れの風景にもとても相性がよく、改めてその魅力を感じました。発色を抑えた落ち着いたトーンと、豊かなシャドウの表現が、夕暮れの空気感やわずかな光の変化を繊細に写し取ってくれました。CLASSIC CHROMEならではの静けさと奥行きのある表現に、やはり惹かれてしまいます」。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション: CLASSIC CHROME
「夜明けの空が少しずつ明るくなり始めた時間帯、河川敷に広がるススキの中で友人を撮影。背景には朝焼けと雲が重なり、冷たい空気と静けさが広がっていました。CLASSIC CHROMEの落ち着いた色合いが、朝の淡い光を美しく表現してくれました。空の青や雲の陰影、ススキの柔らかな質感も強調しすぎることなく、全体がしっとりとまとまってくれた印象です。人物の表情や空気の冷たさも、静かに伝わる色調に心が動かされました」。

2:ETERNA

ETERNAは、日常の中で物語の気配を残したい時に使用しました。室内の柔らかな光やポートレートでも何気ない瞬間を、印象深くかつ落ち着いたトーンで残すことができます。愛おしい日々を残すようにシャッターを切っていました。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション: ETERNA
「友人の家の洗面台を撮影しました。古いランプや洗面台に並ぶ一つひとつのものが丁寧に置かれていて、その佇まいが印象的でシャッターを切りました。ETERNAは、柔らかな光と落ち着いた色を自然にまとめてくれると感じます。この時も、古い家具や照明の質感をそのままに、朝の光の温かさを穏やかに表現してくれました。時を重ねることで生まれる美しさを静かに写し取れるトーンだと思いました」。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション: ETERNA
「朝の時間帯、日差しは柔らかく空は淡いブルーで、雲もまだ薄く、全体が少し冷たい色に包まれています。場所は海岸線にある見晴らしのいい駐車場で、何度も通っているお気に入りの場所です。風景のスケール感と、そこに佇む人物の姿に惹かれました。ただ座っているだけですが、この日の朝の空気とぴったり合っていて映画のワンシーンのように見えました。ETERNAの控えめな彩度のおかげで人物だけが強く主張することなく、風景写真とポートレートの中間のような物語のある一枚にしてくれました。この時のように、静止画を映画のように見せたい時には、ETERNAのトーンがすごく優れていると感じます」。

文月ふみさんが恋したフィルムシミュレーションの特徴

1:CLASSIC CHROMEとは?

20世紀のグラフジャーナル誌に使われた写真のような色再現を目指したフィルムシミュレーション。彩度は低め、暗部の階調は硬めに設計されており、ドキュメンタリータッチでリアリズムを求める写真を撮る際などに最適です。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション: CLASSIC CHROME
「夜明け直後の地面に広がる霜が降りた草や葉を撮影した一枚です。ひんやりとした空気の中、葉の縁に薄く白く積もった霜が繊細なラインを描いていました。CLASSIC CHROMEの落ち着いた発色と繊細なシャドウの表現が、このような静かな美しさを丁寧に写してくれました。霜の白と草の緑、葉の赤茶など、それぞれが主張しすぎずに調和していて、まるで目で見た時の空気感ごと写真に閉じ込められたような感覚でした」。

2:ETERNAとは?

映画用フィルム「ETERNA」がもととなるフィルムシミュレーション。ETERNAを写真に使うと、階調はフラットに彩度も抑えられる。動画に最適化されたルックであることを理解して演出したドラマティックなポートレートや建築写真で使うのに効果的。静観さと精緻な様子は、止まった時間の豊かさを伝えてくれる。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション: ETERNA
「朝の柔らかい光がカーテン越しに差し込み、ふかふかのラグの上で友人の愛猫がくつろいでいました。穏やかな時間の中で外を真っ直ぐに見つめる姿が可愛らしく、日常の一瞬をそのまま写した一枚です。ETERNAはやさしい光と落ち着いたトーンを自然に表現してくれます。黒猫の毛並みもつぶれず、柔らかい階調の中で自然に残るところがとても印象的でした。日常の尊さをそのまま美しく写し出してくれるフィルムシミュレーションだと感じます」。

文月ふみさんが使用したカメラ

GFX100RF

2025年4月に発売した、1億2百万画素高速センサー「GFX 102MP CMOS II」と最新の高速画像処理エンジン「X-Processor 5」を搭載した、GFXシリーズ初となるレンズ一体型デジタルカメラ。富士フイルムが長年提供してきた写真フィルムやアナログカメラなどに由来する9種の多彩な撮影フォーマットを、シンプルな操作で切り替えられる「アスペクト比切換ダイヤル」を初搭載。被写体や撮影意図に応じて、アスペクト比をダイヤルで切り換えて選択するというアナログな操作感が、撮影体験をより楽しくさせてくれる。また、富士フイルムのデジタルカメラ初となる、精密なアルミの削り出し加工を施したカメラ軍艦部を採用。レンズリングやダイヤル類、底面プレートなど細部のパーツにも同様に削り出し加工を施すことで、カメラを手に持った時に感じる金属の質感とデザインの統一感が一層高まり、所有する悦びを感じられるデザインに仕上がっている。新開発の35mmF4レンズ(35mm判換算28mm相当)が生み出す汎用性の高い画角と、最新のAI技術による被写体検出AF、高速・高精度AF機能により、趣味のスナップ撮影からルポルタージュ撮影などのプロの撮影現場まで、さまざまなシーンで卓越したパフォーマンスを発揮する。

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