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いつもの1日 久慈鈴奈 | 連載 Every day,Greatest day 子どもたちの日常

大人にとっては当たり前の日々も、小さな世界で泣いて、笑って、一生懸命生きている子どもたちにとっては、毎日が最高の日。我が子の意外な表情、愛らしい仕草、ふと気づく成長......日常にある尊い瞬間を抱きしめるように写真に残す7名の作品をご紹介。全7回の連載、第1回はフォトグラファーの久慈鈴奈さんです。

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目次

プロフィール

久慈鈴奈

写真家 1995年生まれ、北海道出身。祖母にフィルムカメラを譲ってもらったことをきっかけに写真を始め、10年前から日常写真を撮り始める。以来、身近な人物を撮り続けている。 三度の飯より写真が好き。

うちの子紹介

5歳の長女ひなたは食べているときが1番可愛いと思っており、朝食シーンを定点観測で撮りためています。3歳の長男あおいは自由奔放で、常にちょろちょろ!ふたりは真逆なタイプなので撮れるシーンに差がありますが、それが個性かなと思い、その子らしい場面を撮っています。

いつもの1日。暮らしの中の「変わるものと変わらないもの」両方残したい

AM5:00 朝の自由時間

「冬の夜明け前、ランプにぼんやり浮かぶシルエットに惹かれて。今見ると、前髪の寝癖も息子らしい」。

AM8:00 お着替え

「頑張る娘を見るとつい手伝ってしまう夫。小さな手で一生懸命ボタンに挑む娘の姿は何度見ても愛おしいです」。

AM8:00 朝ごはん

「ファインダー越しに目が合った瞬間、反射的に撮影。大好物のイチゴをちまちま食べている姿がめんこいなと」。

AM9:00 自由あそび

「子ども用かっぱえびせんみたいだった娘の指も、今は黒鍵盤と同じくらいに。その成長にうれしさと寂しさが」。

AM11:00 お昼ごはん

「うどんを『ちゅるっ!』と音を立てて食べている姿が可愛くて、急いでカメラを手に取りました」。

PM0:00 おひるね

「真冬にランニングシャツ姿で寝息を立てる息子。可愛すぎて時間が止まればいいのに、と思いながら撮影」。

PM4:00 グミの実摘み

「夕方家族で散歩に行くのが我が家の日課。幼児から少女になってきていると感じ、ちょっぴり切ない気持ちに」。

PM5:00 お散歩中の犬を観察

「お風呂あがりに寝室の窓辺でひとり、外を眺める息子の姿がなんだか一丁前で愛くるしかったです」。

PM6:00 晩ごはんのお手伝い

「父が作ってくれた食器棚。いつか背伸びをせずともお茶碗が取れるようになった頃、また同じ構図で撮りたい」。

PM8:00 絵本タイム

「いつまでも続いてほしい、寝る前の絵本時間。親子の写真は特に残しておいて良かったと思うことが多いです」。

「ママが写真を撮るのは大好きな証拠なんだよ、むふふ」

代わり映えしない毎日の中で、ふと子どもの成長に気づいたとき、逆に幼さを感じたとき、何とも言えない感情が溢れ、写真を撮りたくなります。何かに夢中になっているところを撮ることが多いので、妨げにならないよう、そーっと。こちらに気が向いてしまったときは、本人たちに撮ってもよいかを聞いて、OKが出てから撮影。たまにNGが出るので悔しいですが、そのときは潔く諦めますし、普段から「ママが写真を撮るのは大好きな証拠なんだよ、むふふ」とも伝えています。以前は子どものために全部を残したい!と思って撮っていましたが、写真を1番見返しているのは自分だと気づいてからは、ほぼ自分のためです。見返すたびに、そのときの心情や空気感などが蘇ります。単純に可愛いなと思ったり、このときは叱りすぎたなと反省したり、明日からまた1日1日を大切に生きようと思えるんです。子どものなにげない日々の写真は、自分の心の安定剤であり、生きる糧にもなっています。私の場合、「暮らし」とは変わらないものを含めて「変化」で、それを撮るときも、撮った後もとても楽しい。あまり大きな変化のない写真のようで、撮りためていくと成長の過程が見えたり、はたまた変わらない寝顔にホッとしたり。平凡な日常の尊さを再確認できることが最大の魅力だと思います。

GENIC vol.74 Every day, Greatest day 子どもたちの日常

GENIC vol.74

2025年4月号の特集は「It’s my life. 暮らしの写真」。

いつもの場所の、いつもの時間の中にある幸せ。日常にこぼれる光。“好き”で整えた部屋。近くで感じる息遣い。私たちは、これが永遠じゃないと知っているから。尊い日々をブックマークするように、カメラを向けてシャッターを切る。私の暮らしを、私の場所を。愛を込めて。

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