Chiho Yoshimura
フォトグラファー C.Y.Ruru/吉村千穂(よしむら ちほ)宮崎県出身、東京都在住。関東圏を中心にストリート撮影を主軸とした描写を探求中。、活動ジャンルはスナップ、ポートレート、都市風景、イベント、宣材撮影など。東京カメラ部写真展 2020・2021、Tokyo’s Legacy Is_東京2020大会など、数々の入賞歴を持つ。
愛用カメラ:Sony α7R IV
愛用レンズ:Sony FE 12-24mm F2.8 GM、Sony FE 24-70mm F2.8 GM、Sony FE 70-200mm F2.8 GM OSSほか
路地裏の日常
ストリートは毎回違う表情が楽しめるのが面白さ
冬の午後、浅草橋のなにげない通りで光と影のコントラストが見事なスポットを発見。
「光が当たる直前を撮ることで、人物の輪郭や服の形状まで表現。縦三分割に配置してバランスを図っています」。
宮崎市の一番街にて。
「クリスマスソングが流れる、こぢんまりした商店街の片隅にある煙草屋さん。クリスマスの飾り付けや年末ジャンボのポスターなど、季節感が伝わるように撮影。人物がチラシを貼る瞬間を捉えて、日常感も意識しています」。
昭和レトロな街並みを記憶に留めるため
宮崎市の人情横丁にて撮影。
「前夜の賑わいがウソのような静寂の朝を表現したいと思った1枚。電柱を中心に、カラスに焦点を合わせ、エサをついばむ瞬間を狙っています」。
「祖父母の日常生活のふとした瞬間に気持ちが揺さぶられ、撮ってみたいと思ったのが写真を始めたきっかけ」という吉村さん。ポートレートに興味を持ち、次第に人物描写を主軸にしたストリート撮影というスタイルに落ち着いたそう。
「希少になりつつある昭和レトロな街並みを記憶に留めたいと思い、どこか懐かしさを感じられるようなエリア・ヒト・モノなどを記録することから始めました。よく行く撮影スポットは、新宿の思い出横丁や三軒茶屋の三角地帯、浅草のホッピー通りなど。古い看板や赤提灯が多い路地裏、横丁、商店街が多いです。いつもは人通りが多い場所にポツンとひとり、というギャップに惹かれますね」。
台東区のおかず横丁で、街灯とブルーのペナントをシンメトリーに配置。
「誰も居ない商店街の静けさと、傘を差した人が前かがみになりながら家路を急ぐ、雨の日の空気感を表現」。
「商店街で暮らす家族の日常を表現。家族総出で雪かきしている中、ちびっ子が雪で遊び始めて、良い感じにファミリー感がアップしたところでシャッターを切りました」。
雨が降る北千住の路地で。
「大きく曲がった看板と味のある店構えを背景に、赤い傘が照明のない部分の差し色になるように配置。人物の足さばきや膝の角度にもこだわっています」。
「静と動、日常と非日常、現代とレトロ…、相反するものをMIXさせた構図を楽しみながら、そこにストーリー性が感じられるような描写にこだわっています。また、被写体の表情よりも動作を重視。静物と動きの対比を意識しつつ、歩行者の片足が上がる瞬間といった臨場感のある表現を心がけていますね。自分自身はもちろん、写真を見る人も感情を揺さぶられるような、そんな表現を目指しています。ストリートは毎回違う情景に出会えるだけでなく、時候の変化を取り入れながら、様々な表情を楽しめるのが面白さ。ひらめきや気づきを大切にしながら、人々の暮らしに垣間見える、日常の素敵な瞬間を捉えたいと思っています」。
GENIC vol.63 【街の被写体、それぞれの視点】
Edit:Yuka Higuchi
GENIC vol.63
GENIC7月号のテーマは「Street Photography」。
ただの一瞬だって同じシーンはやってこない。切り取るのは瞬間の物語。人々の息吹を感じる雑踏、昨日の余韻が薫る路地、光と影が落としたアート、行き交う人が生み出すドラマ…。想像力を掻き立てるストリートフォトグラフィーと、撮り手の想いをお届けします。