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移住者インタビュー|富士山のふもとの森へ。夫婦+猫で暮らす「まるで毎日が夏休み」な日々/伊佐知美の「旅するように移住」番外編 第2回

連載中のコラム「伊佐知美の旅するように移住」番外編。
今まで様々な移住者にインタビューしてきた『移住女子』の著者・伊佐知美さんが、静岡県富士宮市を訪れ、数日間の「ワーケーションステイ」を体験しながら、実際に移住された方にインタビュー!
伊佐さんが感じた、旅先としてだけではない「移住視点」での富士宮市の魅力を、4回にわたりたっぷりレポートします! 今回は、実際に東京から富士宮市に移住した野菜ソムリエ・重ね煮料理家の豊岡さんに、お話を伺いました。

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映画『借りぐらしのアリエッティ』の世界に憧れて、たどり着いた静岡県富士宮市・猪之頭地区の一軒家

富士宮市街地から、富士山を見ながら車で20〜30分北上すると、美しい滝が流れる猪之頭(いのかしら)地区の入り口にたどり着きます。

そこからさらに小道を進み、これ以上先に民家はないのでは?と思われるような場所に見えてくるのが、森と川に囲まれた平屋の民家ーー2020年に東京都内から富士宮市に移住した、妻・野菜ソムリエ兼「重ね煮料理家」、夫・整体師、そして猫・くるみちゃんの、豊岡さん一家の自宅です。

豊岡さんご自宅

猪之頭地区は、富士宮市内でも都会からの移住者が多い土地で、この数年で9世帯30名以上が移住してきました。

なぜそんなに多くの人が、猪之頭地区を選んで移住するのでしょうか? 豊岡さんはその理由を、「猪之頭は移住者の受け入れ・支援体制が整っているうえ、豊かな自然に囲まれた地域のため、暮らしているだけで癒されるから」と話します。

富士山を眺める日常を求めて、富士宮市へ

東京生まれで、社会人になってからもずっと東京暮らしの豊岡さん。結婚した旦那さんも東京出身だけれど、自身は幼い頃から農業に興味があり、いつかは自然に近い場所……できたら映画『借りぐらしのアリエッティ』のような緑に囲まれた環境で暮らしたい、という夢を抱き続けてきたんだそう。

「私が移住を真剣に考え始めた当初は、東京で不便はないし両親もいるし、と移住にあまり乗り気ではなかった主人。
けれど、何度も言い続けるうち、昔から富士山が好きだったことと、仕事で富士山方面に通ううち、彼自身の体調が整う感覚を得たことから、『富士山が毎日見られる場所への移住なら考えてもいいかもなぁ』と言ってくれるようになりました」。

それからは2人で、富士山近郊の移住先を探す日々。有楽町の「ふるさと回帰支援センター」の移住相談窓口に通ったり、週末にふらりと富士山周辺をドライブしたりするように。

アクセス良好なのに大自然。畑もできるし「ここがいい!」

そうするうち、「あれ? ここ、なんだか空気が違う」と、夫婦両名とも心惹かれた場所が、猪之頭地区でした。

詳しく調べてみると、猪之頭地区は、観光地である「陣馬の滝」が町内にあり、県外の人はもちろん、富士宮市街地で暮らしている人が、休みの日に自然に触れるために遊びにくるような場所。

「富士宮市街地から車で20〜30分と、気軽にアクセスできる立地なのに、富士山を眺めながらのキャンプや川遊び、星観察など大自然の中でのアクティビティが楽しめる環境。地域内には集落も存在し、DIYやアウトドア、ゆったりした暮らしを好む人が多くいるようで、足を運ぶうち『ここで暮らしたい』という気持ちが膨らんでいきました」。

猪之頭地区内で、富士山が日常的に眺められる立地で、森と川に囲まれており、かつ畑ができる敷地がある一軒家に住みたい! ……と自治体や地域の方に改めて希望を伝えたところ、理想通りの物件を探してくれて、実際に家を見て即決。移住に至ったそうです。

仕事はリモートワークで。変化してきた暮らしの価値観

移住しても、フリーランスの野菜ソムリエと、野菜の魅力を調理の観点から発掘する「重ね煮料理家」としての仕事を、変わらず続けている豊岡さん。現在はリモートワークをフル活用しながら、自宅で快適にレシピ開発や食育講座などを行っています。

「仕事内容は大きく変わっていませんが、居住環境が変わったことで、食材やお金との向き合い方など、価値観が少しずつ変化してきたことを感じます。

たとえば、移住してから、スーパーですっかり野菜を買わなくなりました。

理由は、畑で野菜を育てているほか、敷地内の森にクレソンやミョウガ、タラの芽、セリ、ワラビなど、水がキレイな場所で育つ野菜や山菜がたくさん自生しているから。また、ご近所さんから、タケノコやキュウリ、たまねぎ、大根など、日常的に旬の野菜をたくさんいただきます。

なので、身の回りにある野菜をおいしくいただくのに忙しく、買っている場合ではないんです……!(笑)」。

「富士山麓の水を汲み取り式で使っているので、水道代もなくなりました。

もともと、野菜ソムリエを目指したきっかけのひとつに、形が不揃いな、いわゆるB級野菜が廃棄されてしまうことが悲しく、『廃棄しないためにはどうしたらよいか』『調理したらもっとたくさんの人に届けられるのでは?』という気持ちがありました。

移住後はその気持ちがさらに強くなったので、いずれは、静岡産の身近な野菜を活かして、野菜ソムリエとしての活動を深めていけたら……と考えています」。

都会とほどよい距離感だからこそ、安心して住み続けられる

「最初は移住を寂しがった両親や友だちも、富士宮市と東京都内間のアクセスのよさを知って、最終的には快く送り出してくれました」。

都会とほどよい距離感にあるけれど、日常的に大自然が味わえる富士宮市・猪之頭地区での羨ましくなる豊岡さん夫妻の暮らし。一緒に移住した猫のくるみちゃんも、毎日窓際で気持ちよさそうに過ごしているそうです。

豊岡さんから、富士宮市移住を希望する人へのアドバイス

初めて富士宮市を訪れる場合の、オススメの過ごし方は?

市街地から少し離れ、ぜひ朝霧高原や猪之頭地区まで来てみてほしいです。季節や時間によって富士山の見え方が変わったり、星空や朝日がとってもキレイに見えたり。キャンプ泊がイチオシです!

移住希望の場合、気をつけたほうがいいことってある?

移住したいと感じる場所を見つけたら、まずは訪れてみて、相性を肌で確かめることが大事!とくに田舎暮らしは、地元の人同士の関係が想像以上に濃かったり、霧や湿気、虫や害獣など自然との戦いがあったりします。できれば、その地域に足を運んだ際に、実際に住んでいる方にお会いしてお話を聞いてみるのがいいと思います。

豊岡 加奈子さん Instagram

伊佐知美の取材後記

豊岡さんに取材をご依頼する際、「取材・撮影場所は、豊岡さんが富士宮市内で一番好きな景色でお願いしたいのですが、どこかありますか?」とご相談しました。すると、帰ってきたのは「自宅周辺の景色が好き」というお返事。

取材中は、"日常を送る自宅の環境が好き、と思える人生って、なんて素敵なんだろう……!"と、富士宮市で理想を形にした豊岡さんの暮らしぶりに、思わず羨ましさのため息。本当に、緑と水に囲まれた、自然豊かな美しい環境で暮らされていて驚きました。

豊岡さんの移住の鍵は、「自然豊かな場所」という移住の理想イメージを、富士山周辺、水辺と森の近く、など、どんどん具体化して自覚・行動を重ねたことにありそうです。移住への王道の一手は、自治体の移住相談窓口へのコンタクト。一歩目をどうしたらいいかわからない、という方は、とりあえず聞いてみるのもアリですよ〜!

伊佐知美さんがお届けする富士宮市の魅力

「移住女子」の著者でもあり、GENICで連載コラム「伊佐知美の旅するように移住」を執筆する伊佐知美さんが、4回にわたって富士宮市の魅力をレポートします。

第1回:富士山を仰ぐ静岡・富士宮市で街と自然のよくばりワーケーションを

第2回:移住者インタビュー「富士山のふもとの森へ。夫婦+猫で暮らす「まるで毎日が夏休み」な日々」(本記事)

第3回:移住者インタビュー「ジャグアアーティストが富士宮の町中移住を選んだ理由」

第4回:街でも山でも自由に仕事を。富士宮ワーケーション1泊2日モデルプラン

観光・ワーケーション・移住など富士宮市情報はこちらから

富士宮市ワーケーション特設サイト
富士宮市観光協会サイト
富士宮市移住・定住ポータルサイト

伊佐知美

これからの暮らしを考える『灯台もと暮らし』創刊編集長。日本一周、世界二周、語学留学しながらの多拠点居住など「旅×仕事」の移動暮らしを経て沖縄・読谷村に移住。移住体験者の声をまとめた『移住女子』の著者でもある。

伊佐知美 Twitter

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