女鹿成二
写真家 1990年生まれ、岩手県出身。2011年日本写真芸術専門学校卒業、studio23入社。2014年今城純氏に師事。2017年独立後、写真集や雑誌、CDジャケット、広告撮影など幅広く活動中。2020年クリエイティブユニット「東京讃歌」として写真展「somewhere」を開催。2021年「私が撮りたかった女優展Vol.3」参加。
愛用カメラ:Nikon F6、PENTAX 67II、FUJIFILM NATURA CLASSICA、FUJIFILM 写ルンです シンプルエース
愛用レンズ:AI Nikkor 50mm f/1.4D、SMC PENTAX 67 90mm F2.8
Q1.スタジオ勤務の仕事内容とは?
A.撮影のサポート、機材のメンテナンス、ホリ塗りetc.多種多様
専門学校で技術を学び、よりプロの世界に近い環境でいろいろなことを吸収したいという思いから、スタジオに入ったという女鹿さん。
「見学時の雰囲気が良く、幅広い内容の撮影案件があり、カメラマンになるための経験を積むのにとても良い環境だと思ってstudio23に就職しました。社会人1年目だったので、まずマナー講習やスタジオにある機材を覚えることからスタート。徐々にできることが増えると、先輩と一緒に現場に入らせてもらい、実際にどうサポートしていくかを指導していただきました。研修期間を終えてからは、接客、衣装運び、ライティング組みのサポート、スタンドイン、ホリ塗りなど、数えきれないほど細かな仕事が。最初の約1ヶ月は、信じられないくらいきつかったです。ただそこを乗り越えると忍耐力もついて、また違う景色や目標が見えてきます。技術面は約1年でそれなりに理解でき、こなせるようになりますが、2、3年働く人が多いのはもっとクオリティを上げて、より深いところを感じとるため。自分が育ててもらったように後輩を育てながら、いろいろな写真家と出会う中で、次の目標ができた時や弟子入りしたい人が見つかった時にスタジオと相談して、卒業のタイミングを決めます」。
そんなスタジオ勤務で女鹿さんが得たことは?
「スタジオマンはカメラマンのサポートだけでなく、撮影を円滑に進めるための気配りがとても大事だということを学びました。どんなカメラマンさんがいるのか、世に出ている商業写真がどう作られているのか、学生時代は漠然としていたものが、より明確に見えたと思います。また技術は反復によって身につくことを実感しましたね」。
「僕の母校である日本写真芸術専門学校のパンフレット用に撮り下ろした作品です。どういう写真が観た人の心に留まるか、一からコンセプトを考えて、分かりやすすぎず、分かりにくくなりすぎず、専門学生、スタジオマン、アシスタント時代と独立してからの経験を落とし込みました。シンプルで素直だけれど、何か惹きつけられるよう、フィルムで丁寧に撮影」。
Q2.弟子入りするとはどういうこと?
A.カメラマンの撮影の前後にまで関わること
「スタジオマン2年目にもともと好きだった今城純さんがスタジオに来る機会があり、シフト希望を出して現場に入らせてもらいました。ですが、出会えたからといって簡単に弟子入りできる訳ではなく、タイミングや相性、条件などによります。人によってはスカウトされたり、自分から直接アポを取ったりすることもあると思いますが、僕の場合は休日にアシスタントとしてロケ現場に行かせてもらい、弟子にしてもらえるかを判断していただきました。弟子入りすると長い時間を過ごすことになるので、事前にロケアシをさせてもらうのはお互いにとって良いことなのかなと思います。弟子の仕事は単発のアシスタントとは違って、撮影の前後にも関わりがあり、撮影準備、車の運転、レタッチや暗室作業、納品作業、ネガの整理、ベタ焼き、事務所の整理、作品制作のアシスタントなど。師匠や兄弟子に指導していただきながら覚えました。写真家への道として弟子入りという選択肢は、出会いや運、目指すところにもよるので、合うかどうかは人それぞれだと思いますが、僕は人生が変わったのでおすすめです。その際、自分がどんな仕事をしていきたいかを考え、写真も人としても尊敬できる方に弟子入りすることが一番大事だと思います」。
GENIC vol.67【撮影と表現のQ&A】女鹿成二/Q.スタジオ勤務の仕事内容とは?弟子入りするとはどういうこと?
Edit:Yuka Eguchi
GENIC vol.67
7月号の特集は「知ることは次の扉を開くこと ~撮影と表現のQ&A~」。表現において、“感覚”は大切。“自己流”も大切。でも「知る」ことは、前に進むためにすごく重要です。これまで知らずにいたことに目を向けて、“なんとなく”で過ぎてきた日々に終止符を打って。インプットから始まる、次の世界へ!
GENIC初のQ&A特集、写真家と表現者が答える81問、完全保存版です。