目次
- プロフィール
- 写真は自分自身に還ってくるものがたくさんある
- 中村イチがOM SYSTEM OM-3で撮った風景写真
- エッジを際立たせる光に注目しながら撮影した、夕方に見る美しい馬の姿
- 光が当たることで浮き上がる、美しいディテールを写し出す
- 不意に現れた美しい光景を、ありのままに撮影
- 光の明暗どちらも取り入れ、早朝の風景が持つ二面性を伝える
- 何気ない被写体も光り次第。マクロ機能で目いっぱい寄って撮影
- 曇りで光が少ない条件を受け入れ、そのままに伝える
- 勇壮な木を、相性のよいモノクロームで表現
- “そのままのかたち”を記憶として残す
- 使って実感したOM SYSTEM OM-3の魅力
- 小型軽量でありながら、描写性能がとにかく優れている
- 標準ズームレンズの優れた描写と使いやすさ
- OM SYSTEM OM-3 製品情報
- おすすめ記事
プロフィール

中村イチ Ichi Nakamura
Nowhere Director/Photographer 1985年、兵庫県生まれ。独学で写真を学び2004年に写真家としてのキャリアをスタート。写真を主とした制作プロダクション「Nowhere」代表。
写真は自分自身に還ってくるものがたくさんある

「光と影が混在している瞬間を撮ることが好き」だと話す中村イチさん。自然を相手にした撮影は、スタジオなどでライティングをして行う撮影とは異なり、多くの場合天気に大きく左右されます。太陽が高いときには何の変哲もなかった場所が、陽の傾きとともに輝き出す──。そんな場所や瞬間を見つけるのが自然を撮影する楽しさであり、難しさだといいます。
「大自然での朝夕の時間帯は本当に美しくて、とくに好きだと感じます。また、自分は写真を撮ることで自然とのかかわり方や人とのコミュニケーション、ものの見方や立場による視点の違い、自分が思う自分であるためにはどうしたらいいかなど、あらゆることを自分自身にフィードバックしています。ただ単純に撮るだけでは何も得られませんが、写し出そうとするものを通して学ぶ意識を持つことで、自分に還元できることが写真にはたくさんあります」。
中村イチがOM SYSTEM OM-3で撮った風景写真
エッジを際立たせる光に注目しながら撮影した、夕方に見る美しい馬の姿

【Scene】
「北海道の夕暮れどき。『自然』をテーマにした撮影で、真っ先に撮りたいと思ったのが馬の写真でした。牧場に撮影の相談をし、自由に撮影させてもらえることになりました。大自然のなかで自由に暮らす馬の写真をイメージしていたので、まさに“この瞬間のためにここに来た”という情景でした。傾いた陽に照らされている馬の姿はとても美しく、自分がこの場所にいたときに感じていた穏やかな時間を写真からも感じとることができます。OM-3は軽量コンパクトなので、馬とふれあいながら撮影に集中することができました」。
【Shooting】
「陰影感を表現するため、撮影の時間帯を夕方にこだわりました。沈んでいく太陽に合わせて移動もしつつ、馬のエッジに光が当たる角度を探りながら立ち位置を決めています。また、奥の山々が主張しすぎない高さでカメラを構えています。移動しながらの撮影となるので、機動性の高さでレンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROを選びました。絞って撮影していたのものありますが、とてもシャープな写りをしています」。
光が当たることで浮き上がる、美しいディテールを写し出す

【Scene】
「馬に斜陽が当たることで浮き上がる毛並みなどの、ディティールを狙ったものです。光に照らされた毛並みはとにかく美しいです。サラブレッドのように入念な手入れをされていない、自然のままの姿にも惹かれました。馬をとりまく風や光も美しく、この瞬間の“空気”を閉じ込めたいと思いながらシャッターを切りました。この馬は至近距離でさわりながら撮影することができるくらい友好的。OM-3はシャッター音が静かで、自然のままの姿を収めやすかったです。色合いや光の階調がとてもきれいに表現されていて、イメージしていた通りの写真に仕上がりました」。
【Shooting】
「陰影感を表現するための時間帯にこだわり、光が毛並みを照らす角度を探りながら撮影しました。毛並みがより美しく見えるように、背景は暗く沈む場所を狙っています。顔や目を入れるとどうしても強い写真になってしまうのであえてフレームの中に入れずに、見ているものだけに集中できるよう構図も意識しています。レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO。描写がとてもシャープで、馬の毛一本一本まで緻密に表現されています」。
不意に現れた美しい光景を、ありのままに撮影

【Scene】
「牧場まで車を走らせていると不意に光り輝く道が現れたので、咄嗟に降りて撮影しました。朝のやさしい光が今日一日を良いものへと導いてくれる気がしました。大きいカメラでは準備するのが面倒だと感じることがありますが、その点OM-3は小さくて、このときもすぐに撮影することができました。基本ホワイトバランスを暖色に固定しているのですが、この写真は色が好みです。緑から黄色、オレンジまでのなだらかなグラデーションが美しい1枚になりました」。
【Shooting】
「まるでそこにいるかのように、ありのままで真っすぐストレートに撮影しました。レンズはつけっぱなしにしていたM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROなのですが、何でも撮れるとても強いレンズだと実感しました」。
光の明暗どちらも取り入れ、早朝の風景が持つ二面性を伝える

【Scene】
「四国で撮った、早朝の風景。山並みに光が当たっているところとそうでないところの対比に惹かれて撮影しました。カメラを構える高さを少し上げて、バリアングルを使用して撮影しました。そのため安定しない状況でしたが、OM-3は手ぶれ補正が強力なので、ブレずに撮影することができました。撮った写真を見返して、山の木々や、光の当たる山並みの湿度感などが緻密に表現されていることに驚きました。夕方の光のなかではまた違った見え方になります。そんなところも、写真の面白さがあるように思います」。
【Shooting】
「早朝の山並みは光が当たるととても美しいですが、構図を工夫して光が当たらない場所も入れることで光の対比を写真に取り込み、二面性を伝えられるようにしています。レンズはM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II。ハイライトからシャドウまで輝度差が大きいので、それをカバーしてくれるかもしれないと思い選びました。明暗どちらも繊細にディテールを表現できることが、このレンズの大きな魅力だと思います」。
何気ない被写体も光り次第。マクロ機能で目いっぱい寄って撮影

【Scene】
「15時頃、琵琶湖近く。寄りの写真を撮りたいと思っていて、移動中に見つけた植物の光の当たり方に惹かれて撮影しました。OM-3のバリアングルモニターを使用すると、画面の四隅まで両眼で確認しながら、追い込んだ撮影をすることができました。写真を確認すると、葉のテクスチャまで繊細に描き出されていることに驚きました。ハイライトとシャドウのコントラスト感もちょうどよく表現されています」。
【Shooting】
「周りの状況は絵になる感じではなかったので、余計なものが入らないように構図に注意して、光の当たり方を意識しながらメインの葉っぱが目一杯メインとなるようにしました。また、葉の質感まで表現したかったので最短撮影距離25cmのM.ZUIKO DIGITAL 25mmF1.8 IIをセレクト。日常的に寄れるという安心感は心強いです」。
曇りで光が少ない条件を受け入れ、そのままに伝える

【Scene】
「絶景を縫って走るこの道が好きで、誰もいない早朝を選んで撮影しました。天気がよくなく15分程で曇ってしまったのですが、この瞬間は一瞬だけ弱く光が差しました。もっと天気がいいことを期待していましたが、自然相手の撮影は難しい…。天気に少しがっかりしていたので、その心情も含めてモノクロで撮影したのですが、遠くまで広がる山々の景色が水墨画のようで気に入りました。結果的に、よくない条件すらも受け止められる自分でありたいと思える1枚となりました。OM-3の、朝の散歩に気軽に持ち出せる軽快さとレンズ交換式ならではの描写のよさは、他のカメラでは味わえない体験でした」。
【Shooting】
「自分の立ち位置を明確に捉え、また絶景と道を一緒に写すことを意識してフレーミングしています。弱い光のなかにいることが伝わるように露出をやや暗めにコントロールしました。ローライトの状況下をそのままうまく伝えられるかなと思い、レンズはM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 IIを選んでいます。手前のガードレールから奥の山並みまで、フォーカスがきれいにボケていく様子が肉眼に近い描写だと感じました」。
勇壮な木を、相性のよいモノクロームで表現

【Scene】
「山道を進んでいるとき見つけた勇壮なこの木に惹かれました。崖にひとり立つ姿が勇敢で、勇気をもらえる存在のようで、モノクロとの相性もとてもいい被写体だと感じました。OM-3のモノクロプロファイルコントロールはその場で最終的な仕上がりのシミュレーションができるのがとても魅力的。色情報がない状態で撮影することで、光への反応がより敏感になります」。
【Shooting】
「奥の山並みからこの木が抜けるようなアングルを意識して撮影しました。モノクロプロファイルコントロールを使うことで最終的な仕上がりのシミュレーションができるため、モノクロにしても曇り空のニュアンスが伝わるよう露出もコントロールしています。レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO。ハイキングなどのシーンでは基本的に荷物を減らしたいので、広いレンジでのズームレンズは重宝します」。
“そのままのかたち”を記憶として残す
Olympus_clip_v3
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
「写真のよさは、自分の見ている世界をコントロールして自分と向き合うことができるところ。対して動画のよさは、動きのあるものを素直に表現できるところだと考えています。見えているものから音、風に至るまで “そのままのかたち”を記憶として残したいときに動画を撮ることが多いです。動画は目の前の情景をありのままに収められるメディアだと思っているからです。この動画は、夕方家族で散歩していたときに、夕陽を浴びて揺れている植物の美しさに惹かれて撮影しました。バリアングルを使っての撮影でしたがとても安定感があり、ゆっくりと揺れる植物が繊細に描写されていることに感動しました。ボケを表現したかったので、レンズはM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 IIをセレクト。しっかりぼかすため絞り開放ですが、露出が明るくなりすぎないようフィルターを用い、また夕方の暗い時間に撮影しました。繊細な描写がとても魅力的なレンスだと思いました」。
使って実感したOM SYSTEM OM-3の魅力

小型軽量でありながら、描写性能がとにかく優れている
「OM SYSTEMはレンズも含めてとてもコンパクトなシステムで、気兼ねなくとこへでも持ち出せる軽快なOM-3は、防塵・防滴仕様でもあり、ヘビーに動き回る外での撮影において本当に助かりました。馬に警戒感を抱かせずにリラックスした状態で、ふれながら片手で撮影できるのは小型のOM-3ならでは。とても軽く、自分の見ているものへの集中力が高まるのを感じました。
自分はオリジナルの色味が好みなので大きく色を変更せずに撮影したものが多かったのですが、自分の見えている雰囲気にその場で色味を合わせながら撮影できるカラープロファイルコントロールは、撮影後の処理の負担を軽減してくれる機能だと思いました。マイクロフォーサーズという小型センサーでも、上がってくる画はまるで中判カメラのようで、描写性能がとにかく優れていると思いました。また、手ぶれ補正がとても優秀で、とくに動画の際には助けられます。バリアングルモニターも動画の際に便利。見た目がよく、軽くて耐久性能に優れたカメラなので、アウトドアはもちろん日常使いにも向いているカメラだと思います」。
標準ズームレンズの優れた描写と使いやすさ
「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROは本当によく写り、中望遠域の45mm(35mm判換算90mm相当)までカバーしていながら小型軽量なので、出番がとても多かったです。M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 IIは旅の道中における日常シーンなどを撮影するのにちょうどよく、M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 IIはワイドで収めたいときや食べ物の接写などで使用しました。どちらも開放値f/1.8で、動画で使いやすい1本です」。
OM SYSTEM OM-3 製品情報

2025年3月に発売されたマイクロフォーサーズミラーレス一眼カメラ。フラッグシップ機の性能がほぼそのままに詰め込まれていながら、そのボディーは幅約139.3mm×高さ約88.9mm×奥行約45.8mmの小型、かつ413g(本体のみ)という軽量化を実現。日常のふとしたシーンから、タフさが求められつつも身軽に動きたいアウトドアフィールドの撮影まで、最高のパフォーマンスが発揮できる機材です。
12色の彩度を個別に調整できるカラープロファイルコントロール機能を搭載し、感じたままにその場で色調整ができることも大きな魅力となっている。IP53対応の防塵・防滴仕様で、天候や環境を選ばず撮影することができ、とくにアウトドアシーンにおいて優位を誇る。時代を超えたデザインは所有欲を満たすことに加え、操作性を追求したダイヤルボタンの配置など、優れたインターフェイス設計によって、撮りたい瞬間もこぼさず意のままに撮影できる。まさに相棒と呼ぶにふさわしい一台。
また、標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」と2本の単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II」、「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」も注目。3本ともに軽量コンパクトかつ、防塵・防滴仕様で、OM SYSTEM OM-3との組み合わせは最高。シャープで抜けのよい描写がまた、自然をより美しく表現してくれる。

