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心地よさに包まれた半径500mの日常
考えすぎず自分の感覚を大切に撮る
「散歩の帰り道、私たちの少し先をスキップしながら帰る息子を撮りました。前と比べ、私たちとの距離が少しだけ離れたことに、なんだか成長を感じたような気がしました」。
「私の暮らしの中での写真となると、その範囲は今の住まいと実家近くで撮ったものになるでしょうか。これも元旦の朝を実家で迎え、みんなで初日の出を見て戻ってきた時の写真。パワフルでありながら、曇りガラスを通して少し鋭さが和らいだ冬の光が美しく印象的でした」。
瞬間よりも時間軸を感じられるような写真に惹かれる
「朝の通勤時、ふと見た駐車場の影と光がとても綺麗だったので、鞄に入れていたOLYMPUS XAを取り出し、サッと撮ったもの。スライドカバーでコンパクトなこのカメラは、スナップ向きだと思います。一時期は通勤の際に鞄に入れてよく持ち歩いていました」。
「斜陽に照らされた赤い階段と影。夕方近くの光と影のコントラストはとても魅力的で、どうしても撮りたくなります」。
「見る人に何かを伝えたいというよりも、他者を意識しすぎず自分にとって素直な写真を撮れたら、といつも思っています。だからこそ、カメラを向けるのは家族や街並み、光などどれも日常の中にあるものばかり。特にスナップはあまり気負いのないものだと考えているので、明確にその瞬間を撮ろうとしたものより、なんとなくくらいの気持ちで撮った方がそれに近い気がします。理想のシーンを狙うというよりは、あまり考えすぎず、何か引っかかった時、その感覚を大切に撮るという感じでしょうか。私の場合、普段から何かを感じてからシャッターを切るまでの時間は短めだと思います。撮るために待つというよりは、連続した時間の中でふと立ち止まってシャッターを切り、またすぐに歩き出す、そんなパターンが多いです。撮ったスナップ写真を見返す時も、そういえばこんなの撮ったなとぼんやりと思い起こせるくらいのもの、そしてうまく言葉にできませんが、瞬間よりも何か時間軸を感じられるような、そんな写真の方が好きなのだと思います。また、いつだったか本に挟んだ栞のように、少し忘れていたくらいのものの方が、自分の中では心地いい写真だと感じるし、印象に残る気がします」。
これからも写真に残していきたいのは“いつかの光景”
「雪が積もった日に撮影した1枚です。雪で楽しげに遊ぶ子供たちの姿に、なんだか幼い頃の自分が少し重なって見えたのを覚えています」。
「娘が初めてフレンチトーストを作った日の写真です。この写真を見るといつもそういえばそんなこともあったなという思いが浮かんできます。これからも、こういった“いつかの光景”を写真に残していけたらと思っています」。
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写真愛好家 カメラ歴13年。初期の頃はコンデジで撮影していたが、子供が生まれたことをきっかけに一眼レフであるCanon EOS Kiss X4を購入。様々な写真を見てみたいという気持ちが生まれ、インスタグラムもスタート。以来、変わらず自身の家族を中心に身の回りにある日常の写真を撮り続け、SNSでの発信も続けている。
愛用カメラ:Canon EOS 5D Mark II、OLYMPUS OM-1、iPhone
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愛用レンズ:OLYMPUS G.Zuiko Auto-S 50mm F1.4
GENIC vol.69【“暮らし”の中にカメラを向けて】
Edit:Satomi Maeda
GENIC vol.69
1月号の特集は「SNAP SNAP SNAP」。
スナップ写真の定義、それは「あるがままに」。
心が動いた瞬間を、心惹かれる人を。もっと自由に、もっと衝動的に、もっと自分らしく。あるがままに自分の感情を乗せて、自分の判断を信じてシャッターを切ろう。GENIC初の「スナップ写真特集」です。