目次
穏やかで美しい道東Life
そのときの空気感ごと情景を写す
「早起きして近くの湖へカヌーに乗りに。友人が先に乗り込むやいなや、彼の愛犬がすぐに駆け寄っていく姿が健気で、さらに信頼関係も感じられて思わずパシャリ。急いで撮ったのでピントが曖昧だけれど、それもスナップだからこそ」。
「東京から遊びに来た友人をお気に入りの場所へ連れて行ったとき。自然と伸びがしたくなる、広大な景色と空気の美味しさ。道東はそんな景色に溢れていて、改めて自然豊かな場所で暮らしていることが嬉しくなった瞬間でした」。
余白のある切り取りが私らしいスナップ
「あやめヶ原という大好きな場所で、白い馬と海が夢を見ているかのような幻想的な景色を撮ったもの。岬に放牧された馬が、ひたすら草を食む様子を眺めていると、ゆったりとした時間の流れを感じます。空2:海と大地1の割合の構図で撮影」。
「北海道の東側に住む私にとって、暮らしを撮るということは、自然の中か自宅での写真がメイン。家での珈琲やおやつの時間、湖や草原で過ごしたひとときなど、広大な手付かずの自然を近くに感じながら、穏やかに暮らしていることが伝わるようなシーンです。スナップ写真は、作り込みすぎずありのままの自然体な姿を切り取ったもの、もしくはそのときの空気感が伝わってきたり情景を思い浮かべられたりするものというイメージ」。
空と大地を2対1にするのは、北海道の空の広さを表現したいから
「近所の遊歩道もお気に入りスポットのひとつ。野鳥が多く、その囀りが響き渡って心地良い場所です。季節によって違う花が咲いていたり、いつも新たな発見があったりして楽しいので、行くたびに撮ってしまいます」。
「網走の能取岬で撮影した灯台。流氷を見に行ったのですが、この灯台の想像以上の大きさに驚いて思わず撮影。これも空2:灯台1の割合で、北海道の空の広さを伝えています」。
「余白を感じられる切り取り方にこだわっていますが、仕事柄、写真に文字を載せたデザインをすることも多いので、自ずと余白を意識するようになったのかもしれません。また外の写真の場合には3分割構図で撮るのが好きで、3分の2を空、残りの1を大地にすることがほとんど。これは北海道の空の広さを日々感じていることもあると思います。俯瞰のテーブルフォトも、作り込みすぎないことを頭の片隅に置いて、食器やカトラリーも普段から愛用のものを使用。でもやはり写真のどこかの隅には余白を取っているので、そこで自分らしさのある1枚に仕上げているのだと思います」。
「果物農園で山ほど摘んだブルーベリーを持ち帰り、手作りのチーズケーキにトッピング。庭で育てたミントを載せるとブルーの中に緑が映えて、一気に完成度が上がりました」。
「家の中から庭を覗くと、母と母の友人がお茶会をする姿が。窓が額縁のように見え、絵になるシーンが浮かび上がりました。室内を暗くすることでより額縁感が際立った1枚に」。
sachi
デザイナー 1992年生まれ、北海道出身。北海道教育大学岩見沢校芸術コース情報デザイン研究室卒業後、帯広市の印刷会社に8年勤務。2023年春よりフリーランスのデザイナーとして独立。カメラとの出会いは、大学時代に受けた写真の講義で、その後父親が使っていた35mmフィルムカメラを譲り受け、本格的に写真の世界へ。
愛用カメラ:FUJIFILM GFX 50R、PENTAX67、OLYMPUS PEN-F
愛用レンズ:Rokkor 58mm F1.4、smc PENTAX67 105mm F2.4
GENIC vol.69【“暮らし”の中にカメラを向けて】
Edit:Satomi Maeda
GENIC vol.69
1月号の特集は「SNAP SNAP SNAP」。
スナップ写真の定義、それは「あるがままに」。
心が動いた瞬間を、心惹かれる人を。もっと自由に、もっと衝動的に、もっと自分らしく。あるがままに自分の感情を乗せて、自分の判断を信じてシャッターを切ろう。GENIC初の「スナップ写真特集」です。