片渕ゆり
佐賀県出身・東京在住。大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いからフリーランスに。2019年から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。2021年、『旅するために生きている』を上梓。
Canon EOS R8
上位機種の「EOS R6 Mark II」(2022年12月発売)の高い基本性能を継承しながら、小型・軽量を実現したフルサイズミラーレスカメラ。フルサイズならではの豊かな表現力と小型・軽量ボディーを両立し、また高速・高精度なAFや優れた被写体検出、トラッキングも素晴らしいカメラ。動画撮影においても静止画同様のトラッキング技術を搭載したAF性能を持ち、フルサイズならでのボケ味など、表現の幅を広げてくれる。
片渕ゆりの〈もっと、エモーショナル〉
230826_完成動画(Web)
美しい光と水のゆらめき、そして生きもの
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「もともと『水』『光』『(植物も含む)生きもの』が組み合わさるものに強く惹かれます。夏の時季にときどき見られる特設の水槽やお祭りの金魚すくいなどは静止画で好んで撮る対象。今回、動画を撮る前に映画『リトル・マーメイド』の実写版を観ていたのもあって、連想的に芽生えたのが『水族館』でした。海の生きものを撮ってみたい、海中の世界を撮りたい…。できることなら海の中に行ってみたいけれどなかなか叶わないので、日常の範囲内でそれを実現できるところはどこかと考え、行き着きました」。
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被写体に共鳴するように、ゆったりとした気持ちで
「静止画の場合、水のゆらめきと生きものの動き、光の入り方のすべてが納得できるベストショットを撮ろうとすると、どうしても撮影はせわしなくなります。高速連写で撮ることも多く、対象と自分の行為にミスマッチを感じることはよくありました。動画だとそれがない。一連のシーンを楽しみながら、ゆったり泳ぐ生き物に対して自分も同じテンポ感で撮ることができ、静止画と動画では心の在り方がこんなにも変わるのだと実感しました」。
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またそれは、EOS R8の暗い中でもAFが適格で、なおかつ正確にトラッキングしてくれる性能によるところも大きかったと思います。カメラの操作を頑張るよりも、自分はただ撮ることに集中できました。
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やりたかった手法での撮影に挑戦
「ただ撮ることに集中できたこともあって、前回まではカメラワークやピント送りなどのテクニック的な側面を意識して撮影していましたが、今回は派手な動画をつなぎ合わせるようなものではなく、水のゆらぎや泳ぐ魚など、その瞬間をそのままに表現したいと思いました。なので、今回のシーン動画はすべて、被写体の動きが際立つよう、カメラは固定で撮影しています」。
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ステップアップのためにメリハリを意識
「今回の動画制作で意識したのは、1本通してのメリハリです。前回までの動画に対して、今後の課題としてメリハリをつけていくことをフィードバックとしていただいていて、それをクリアしたいという気持ちがありました。シーン動画はすべて水族館で撮影したものですが、編集の際に動画の明暗、動き、色味に注意しながら1本通しての展開を決めていきました」。
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1本を通した明暗のメリハリは、じつは『リトル・マーメイド』の構成を参考にさせてもらっています。最初は明るいシーンからはじまり、ストーリー展開とともにだんだん暗く、そしてハッピーエンドに向けて明るくなっていくという展開です。撮影は総当たり戦さながら順路に従って撮れるだけ撮って、編集時にメリハリのバランスを見て残したいカットを盛り込んでいきました。
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[CAMERA POINT]使って実感したCanon EOS R8の魅力
「EOS R8を使ってみて驚いたのが、すべてにおける性能のよさ。撮っているそばからもう違っていて、背面モニターで見る映りがとても美しく、フルサイズならではのボケ感や光にうっとりしました。実物以上に盛るのはあまり好きではないけれど、肉眼では見えない世界を楽しませてくれるのも映像の魅力だと思っていて、それをより享受できるのはやっぱりフルサイズなんだろうなとも思いました」。
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「また、EOS R8は電子式手ブレ補正機能で動画の手ブレを軽減することができる“動画電子IS”のおかげで、手持ちの撮影でもほとんど手ブレをせず、手ブレ補正の編集も不要でした。それに暗い場所でもたっぷりと光を取り込んでくれるし、色の再現も素晴らしい。初めてフルサイズで動画を撮影してみて、その実力を目の当たりにした感じです」。
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「カメラの設定はシャッタースピードを1/50秒に固定し、ISOで明るさを調整しつつ撮影していきました。カメラ側でほかに設定を変えたということはなくて、また特別な機能も今回は使っていません。なので紹介する動画は、編集でシャドウを下げたり、コントラストを高めたりした程度。EOS R8で撮影した動画は編集しても色や画質が破綻せず、それも魅力だと感じました」。
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「それでいて、いかにもフルサイズといった面構えをしていない。大きくていいカメラを持つと良くも悪くも緊張感が生まれるけれど、EOS R8はいい意味でそれがありません。約2時間の撮影中ずっと手に持ち、構えている時間も長かったと思いますが、ずっしりと腕にくるような重さを感じることはありませんでした。小さくもあり、撮り手だけでなく写り手のことも緊張させないだろうから、次回はポートレート動画に挑戦してみたいなと少し考えています。
レンズは単焦点のRF50mm F1.8 STMとRF35mm F1.8 MACRO IS STMの2本を使いました。どちらもこう撮りたいと思い描いたイメージそのままに映し出してくれたと感じます。描写は2本とも申し分がなく、画角の都合だけでどちらにするかを選びました。
EOS R8は、手ブレにも強いし、本当に画質も素晴らしい上、写り手のことも緊張させないサイズ感なので、次回はポートレート動画に挑戦してみたいなと考えています」。
【今回使用したカメラとレンズ】
RF50mm F1.8 STM
オープン価格
RF35mm F1.8 MACRO IS STM
オープン価格
EOS R8・ボディー
オープン価格