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絶景を求めて──、 Camping. 猪俣慎吾|連載「好きを追いかけて」第3回

“好き”は、地図にない場所への道しるべ。目的地は違っても、旅の根っこにあるものはきっと同じ気持ち。それぞれの想いが、旅のかたちをつくっていきます。その過程にこそ物語が宿る、3名の“好き”を巡る旅の話です。全3回の連載、最終回はフォトグラファーでキャンプコーディネーターの猪俣慎吾さんが絶景を求めて旅したキャンプ場です。

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目次

プロフィール

猪俣慎吾

フォトグラファー/キャンプコーディネーター 1981年生まれ、東京都出身、千葉県在住。中村章三に7年間師事した後、個人スタジオを構え独立。アウトドア撮影を中心にフォトグラファーとして活動する傍ら、キャンプコーディネーターの仕事も行う。2017年、「星空 案内人®」を取得し、2019年より自ら開発した“プラネタリウムテント”で天の川を紹介する活動を全国で行っている。著書に『絶景CAMPGUIDE』(JTB パブリッシング)がある。
愛用カメラ:Nikon Z9、Nikon D5、DJI Mavic 4 Pro
愛用レンズ:AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G、85mm f/1.4G、105mm f/1.4E ED

絶景を求めて──、 Camping.

キャンプ場には、言葉にはならない絶景との出会いがある。

渡津キャンプ場(島根県)
「息子と初めての無人島キャンプ体験をしました。とはいえ橋を渡って行ける島なので、初心者にも安心の無人島です。夕刻、空の色がゆっくりと変わっていくグラデーションの美しさに、息子と二人、ただ見とれていました」。

夕方や朝方も捨てがたいけれど、満天の星が見えたときに星空とテントを撮影するのが好き。

檜原西湖畔オートキャンプ場(福島県)
「夜中の2時、ふと起きると、曇り予報だったはずなのに薪ストーブの煙突の隙間から満天の星が見えました。頑張って-15℃の外へ。厳しい冬の寒さの中で、宇宙を感じた瞬間です」。

千代田湖キャンプ場(長野県)
「秋の紅葉とともに出かけたキャンプ。千代田湖の周りは白樺や松で生い茂っています。鏡のような湖面にもその様が映り、黄色で埋め尽くされた一面の景色はとても印象的でした」。

RVリゾート猪苗代湖モビレージ(福島県)
「真冬の訪問時。キャンプ場のオーナーがカヌーを貸してくれて、朝のカヌーを楽しむことができました。静寂と風景が一体化していたのを今でも鮮明に覚えています」。

キャンプは、親子のかけがえのない思い出ができる時間

「キャンプの魅力は、信じられないような絶景に出会えること。過去、当日の天気予報は雨のち曇りで、よい写真は撮影できないと半ば諦めつつも訪れたことがありました。ところが、向かう途中で雲を突破し、到着した標高800mに位置するキャンプ場は真っ青に晴れ渡っていたのです。眼下には雲海が広がる、信じられない絶景がそこにはありました。また、本州では酷暑の報道が連日されるなかで訪れた真夏の北海道、朱鞠内湖畔。思いがけず夜の気温は2度まで下がりました。寒空の下、三脚を構えて流れ星が絶え間なく流れる景色を撮影していたのですが、明け方に湖面から、湯気のような霧が立ち込めました。夏では珍しい冬を告げる『けあらし』という現象です。その情景は、寒さも時間も忘れ、息を飲むほど美しかったです。これまでキャンプは1000回以上、延べ400カ所以上のキャンプ場を訪れてきましたが、こういう経験は幾度もあって、自然はときに厳しい試練を与えてくるものですが、そんなときほど、まるで奇跡のような美しい景色を見せてくれます。キャンプを始めた当初はキャンプのための撮影をしていたけれど、今はあくまでキャンプは宿泊手段であり、キャンプの中で出会える景色を切り取るという意識になりました。また、自分にとってもう一つ、キャンプの大きな魅力に“親子のかけがえのない思い出ができる”ことが挙げられます。行先は息子と風呂の中で決めることが多いのですが、ある日息子が、『ロケットが見たい』と言ったんです。そんなこと考えたこともなかったのですが、種子島にロケット発射が見えるキャンプ場があることを知り、次の行先へと即決しました。そして、巨大なロケットがジャンボジェット機の3倍もの爆音を発しながら宇宙に消えていく様を息子とキャンプ場から見ました。まさに、親子の一生に一度の思い出になりました。いつまでも、息子とキャンプ旅に出かけていきたい。それが今の僕の夢です」。

次に訪れるキャンプ場は、息子と風呂で決めている。ベースにあるのは、豊かな体験と絶景であるかどうか。

カヤの平高原キャンプ場(長野県)
「とある夏の日のこと。まだ日の出前に目を覚ましテントの外へ出てみると、1m先さえも見えないほどの濃い霧に包まれていました。やがて陽が昇り、気温の上昇とともに重たかった霧がゆっくりと薄れていき、幻想的な風景が姿を現しました」。

GENIC vol.77【好きを追いかけて】
Edit:Chikako Kawamoto

GENIC vol.77

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