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プロフィール
yomowasa
フォトグラファー 1981年生まれ、神奈川県出身、東京都在住。大学在学中にカメラに出会い、3年ほど前から本格的に写真に向き合うように。2013年に猫と暮らすようになったことで、Instagramに写真を投稿するようになり、現在も猫との日常を綴っている。
空気感や体温、感情を思い出せる記録の引き出しとして、写真を撮っている
私にとって写真とは、記録とともに記憶しておくためのもの。
写真は多くの情報量を持っていて、その人がどういう想いで撮り、編集したのかが表れているように思います。文章よりも雄弁に語っていることさえあって、その想いを一枚の写真から想像するのが好きです。それは自分自身が撮る写真も同じなのですが、ただ、私の場合は誰かに読み取ってもらうというより、あくまで自分自身の想いを思い出すもの。その時の空気感や湿度を記録し、記憶しておくためのものだと思っています。
美術系の大学だったこともあり、写真は身近にありました。当時から「綺麗に整った作品としての写真」を撮るというよりは、「これ面白い」「これ可愛い」という個人的な衝動でシャッターを切ることが多かったです。写真にそのときの出来事を書き添えたりして、半分は日記のような役割も果たしていました。それは今も変わらないスタイルで、原点だったのだと思います。
撮影頻度はほぼ毎日。カメラはリビングや寝室のすぐ手に取れるところに置いていて、基本的には家で、猫たちが自由にしているところを撮っています。朝の柔らかな光、昼間のコントラストが強くなる光、夕方の暖かな光。そのときどきの空気感や湿度を、なるべくそのまま残せるように撮影したいと思っています。同時に、猫たちの撮影では、整頓された部屋の中で綺麗に佇む姿以上に、洗濯物の上でくつろいでいる姿や、散らかったテーブルの上から飼い主をじっと観察している姿など、「生活の匂い」が残るような瞬間を撮りたいと思っています。
そこに寄り添ってくれるのが、富士フイルムのカメラ。朝の柔らかい光も、夕方の温かい光も、デジタル特有のパキッとした硬さがなく、フィルムのような柔らかいトーンで写してくれます。 猫たちのフワフワした毛並みや、抱き上げたときの体温、その場に流れる穏やかな時間まで、一枚の写真にそのまま残せているのは、富士フイルムのカメラだからこそだと思います。
ふだん愛用しているのは、富士フイルムのX-S10です。練習の意味も込めて日常的に猫を撮るようになると、自分の腕以上に素敵な写真が撮れることに感動。X-S10は、私が写真にはまるきっかけとなったカメラです。
富士フイルムのカメラは、シャッターを切った瞬間から完成された色味で写し出してくれます。フィルムシミュレーションは、どんな人が撮っても写真のクオリティを底上げしてくれる、まるで魔法のようなもの。その場の光や湿度や、撮影している自分の心の温度まで一緒に写し留めてくれるような感覚を得られる独特の色表現は、フィルムメーカーだからこその魅力だと感じています。
今回使用したのは、「X-H2S」。もっとも魅力的に感じた機能が、肉眼で見逃してしまう愛しい一瞬を記録してくれる、「秒間40コマの超高速連写」でした。シニアに突入してのんびり過ごすことが増えた我が家の猫たち。毛づくろいの途中に舌がペロッと出る瞬間や、あくびの絶頂で見せるひょうきんな表情。そんな一瞬一瞬を、X-H2Sはまるでコマ送りのように記録してくれます。シャッターを切った後に写真を見返すと、自分でも予想していなかった表情に出会えることが何度もありました。
秒間40コマの超高速連写に加えて、気配を悟らせずに完全に無音撮影できる(電子シャッター時)のは、まさに猫の撮影にぴったり。元野良猫で小さな音にも敏感な我が家の猫たちでさえも撮られていることに気づかず、いつも通りの表情を写真に収めることができます。
また、薄暗い室内でも愛猫の柔らかな毛並みをしっとり綺麗に残せる「嫌なノイズにならない、懐の深い描写力」も魅力でした。我が家の寝室は北東向きで、季節によっては暗いことが多く、ISO800オーバーになることもしばしばです。それでもX-H2Sは、毛並みのフワフワした質感やリネンの柔らかさをきちんと捉えてくれます。高感度設定で多少ノイズを感じることはあっても、決して嫌な感じではなく、まるでフィルムの粒子のように写真の奥行きや静けさを深めてくれる、心地よい質感だと感じました。
My favorite フィルムシミュレーション
フィルムシミュレーションは、フィルムの色を長年研究してきた富士フイルムだからこそ作れる、最大の魔法だと思っています。
カメラで簡単に切り替えるだけなのに同じ被写体や景色でも表情がガラリと変わります。被写体や場所ごとにフィルムシミュレーションを変えてもいいですし、気分で変えて試せるのも楽しいです。
撮っているときも、あとから現像しているときも、色を選ぶこと自体が単純に楽しくて、フィルムシミュレーションの一番の魅力はその自由さだと感じます。
特に「CLASSIC CHROME」は、X-S10を手にして初めてカメラの楽しさにのめり込むきっかけとなった思い入れのあるフィルムシミュレーションです。デジタルなのに、フィルムカメラを使っていた頃のワクワクをふと思い出させてくれます。
1:CLASSIC CHROME
低彩度で、シャドウがグッと締まる描写が独特の雰囲気を作ってくれるため、シャッターを切る段階から安定感があります。
大袈裟に色を飾るわけではないのに、確実に日常を「いい感じ」に仕上げてくれる、生活の風景に優しく馴染む万能選手です。これで撮っていれば間違いないという絶大な信頼を置いています。
また、撮って出しのままで十分に美しいトーンが完成するため、動画編集やカラーグレーディングが苦手な私でも、色味を細かく調整する手間なく使えるのが嬉しいポイントで、動画を撮影する際にもよく活用しています。
2:CLASSIC Neg.
CLASSIC Neg.は、逆光や薄暗がりの中に少し光があるときや、夜の電球光に合っていると思っています。
今回、絶対にCLASSIC Neg.だと思って撮ったのが、玄関の逆光のシーンと朝の寝室です。グレーベースのカラーに朝日のオレンジ色が映えると思って撮影したのですが、狙い通りでした。
もともと落ち着いた彩度とコントラストが効いたフィルムシミュレーションですが、あえてシャドウを持ち上げるような編集をすると、日常のワンシーンのはずなのに、ドラマティックなシーンに格上げされます。また、暗所撮影で少しノイズを感じたとしても、CLASSIC Neg.が持つ色彩のベースがあるだけで、それを写真の味わいに見せてくれます。
3:PRO Neg. Hi
今回初めて使用したのですが、色が素直に出てくれるという印象でした。雨の日の、光が少なめでフラットになりがちな室内撮影でも、非常にメリハリのある階調と美しい発色で、写真を引き締めてくれるのが良いなと思いました。
テーブルの下で寝そべりながらカメラに視線を向けてくる猫を撮ったときのこと。奥ににじむ柔らかな光を背景に、f/1.2というかなり浅い被写界深度でも、伸ばした前足の毛並みや光を受けた身体のラインが潰れることなく丁寧に描写されていたのが印象的でした。
誇張のない自然な色合いに新しい表現の可能性を発見した気持ちになるフィルムシミュレーションでした。
yomowasaさんが恋したフィルムシミュレーションの特徴
1:CLASSIC CHROMEとは?
20世紀のグラフジャーナル誌に使われた写真のような色再現を目指したフィルムシミュレーション。彩度は低め、暗部の階調は硬めに設計されており、ドキュメンタリータッチでリアリズムを求める写真を撮る際などに最適です。
2:CLASSIC Neg.とは?
スナップシューターに愛用されてきたネガフィルム「SUPERIA」がベース。メリハリのある階調と、彩度を抑えつつも明部と暗部の色味を変えることで深みを増した色で、立体的な表現が得られます。
3:PRO Neg. Hiとは?
プロ用ネガフィルム「PRO160NH」がベース。「PRO Neg.Std」よりも階調がやや硬く、屋外など凝ったライティングができないシチュエーションでのポートレート撮影に適しているフィルムシミュレーションです。フラットなライティング下でも適度な陰影が得られます。
yomowasaさんが使用したカメラ
X-H2S
独自の色再現技術による卓越した画質と小型軽量を実現する「Xシリーズ」のフラッグシップモデルとして、2022年7月に誕生。決定的な瞬間を逃さない圧倒的なまでのAF/AE追従と、秒間40コマ超高速連写によって、誕生以来、プロアマ問わず絶大な支持を受けているカメラ。裏面照射式に加え、信号読み出し速度を高速化した2616万画素のイメージセンサーを搭載するほか、画像処理エンジン「X-Processor 5」によって現行機比約2倍の高速処理を実現。センサーサイズはAPS-C。タッチパネル機能がついたバリアングル液晶モニターを採用し、フィルムシミュレーションは全20モード搭載している。
