nemui
写真家 カメラ歴5年。上京するときに、大切な家族や友だちを写真に残したいと思い、デジタルカメラを購入したのが写真を撮り始めたきっかけ。
愛用カメラ:OLYMPUS OM10、OLYMPUS PEN FT、CONTAX Aria
白昼夢
「窓から差し込むあたたかな光が、身体を優しく包み込んでいて美しかった。人の柔らかさや曲線美がわかりやすいように全体的に引き気味に」。
「食事という行為は生きるために行うことで、私はその行為が魅力的だと思っています。この作品は食べ物ではなく人を対象にしてインパクトを出したもの。人の肉の柔らかさがわかる瞬間です」。
写真とはまるでいつか見たことのあるような夢
「写真の中の世界は、シャッターを切った瞬間にはもう現実にはないもので、それがまるで、起きたら忘れてしまう淡い夢のようだなと思うんです。白昼夢のような、そんな表現が私らしい写真。素肌って普段は衣服で隠している、見ようとしないと見られないもの。そういう少し特別感のあるものを作品として残しておきたくて、素肌を撮るようになりました。その人の持つ肌感、たとえば柔らかさや質感などを写し出したいと思いながら撮っています。被写体の方にリラックスしてもらえるような雰囲気作りに気を配っています。”前よりも自分のことを好きになれた”と言ってもらえたときはとても嬉しいです」。
「肌が夢のように淡く光る瞬間」。
「普段は見ることのない、女の子のちょっぴりセクシーな部分を写したくて。光と影のコントラストに惹かれました」。
シャッターを切った瞬間にその現実は目の前から消える
影の入り方が印象的な作品が多いnemuiさん。
「光に意識が行きがちですが、光と影は相対しており、どちらもなくては生まれないので、光と同様に影も大切にしています。影によって光の美しさがより一層増すので、どんな影を入れたら光が際立つかを考えながら、人の肌を柔らかく、美しく魅せる自然光で撮影するのがマイルール。見た人が“なぜかわからないけれど感情が揺さぶられる”。そんな写真を撮りたい。私の写真を見て、ご自身の気持ちと向き合って、解釈してもらえたらと思います」。
「大きな力の支配下にいる女の子が存在する、ということを連想させたかった一枚。身体に当たる光が直線的で魅力的でした。バーコードが目立つようにしたのがポイント」。
「毎日を可愛く生きようとがんばっているけれど失恋してしまった女の子の、やるせない気持ちを表現。窓からの明るい光と、失恋した女の子の悲壮感を相対させました。日々を可愛く生きている女の子も、たまには怠惰な日常を送っているよ、というイメージです」。
GENIC vol.62【独自の作風で素肌を表現 This is My World】
Edit:Izumi Hashimoto
GENIC vol.62
テーマは「素肌と素顔を写す」。
人の美しさを大切に写しとった「素肌」と「素顔」の世界をお届けします。「性」ではなく「生」を感じる、神秘的で美しい森に迷い込んでしまったような写真たちと、そこにある撮り手の想いに迫ります。