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私のこれまでのアルバム 土居夏実 | 連載 スキをシェアして。SNSから始まる私の履歴書

写真が単なる「個人的な記録」だけの役割を果たしていたのは、もうひと昔前の話。今やコミュニケーションツールのひとつでもあり、写真は多くの出会いを生み出すものでもあります。SNSでシェアを続けたことで、写真家の道を歩むことになった4名は、どのように今の場所に辿り着いたのか?知られざる人生に迫ります。全4回の連載、第4回は写真家の土居夏実さんです。

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目次

プロフィール

土居夏実

写真家 香川県出身。スタジオカメラマンの経験を経て、地元である香川を拠点に活動中。高校の写真部在籍中に写真甲子園に出場し、全国準優勝に。星空や、海、植物が好きで自然に溶け込んだような写真を撮影している。
愛用カメラ:FUJIFILM GFX50S II、Canon 6D Mark II、Canon AE-1
愛用レンズ:Carl Zeiss Planar T*1.4/50 ZE、Carl Zeiss Planar T* 85mm F1.4 ZE、HD PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited

私のこれまでのアルバム

BIOGRAPHY

2003年 コンパクトフィルムカメラを貸してもらい初めての撮影
2013年 高校で写真部に入部し、本格的に写真を始める
2014年 Instagram、Twitterを始める
2020年 フォトスタジオに勤務しながら写真家として活動。「ピュレグミ」のPR撮影で初仕事
2025年 商品の物撮りや、観光系の撮影、地域とのつながりの撮影を行う

色味や世界観を統一することで、より自分らしさを表現

「洗濯物を取り込んでいる最中に、シャツがひとつだけ取り残されており、夕日を浴びる姿が寂しそうに見えて撮影した、お気に入りの写真です。毎日の何気ない風景をもっと写真に残したいなと思いました」。

「お泊まり会をした次の日に、おやつに友達とクリームソーダを作りました。朝の光に照らされたソーダは、キラキラしていて美しかったです。すぐ溶けてしまうアイスと闘いながらの撮影がドタバタで楽しかった思い出」。

「たくさんの梅が生る庭の梅の木から、梅シロップを作るために収穫。青々とした梅や、初夏の葉っぱが美しく、季節や温度感が感じられて好きな写真です。葉っぱが木漏れ日を作り、後ろの葉っぱが玉ボケを作り、青々とした梅を飾りつけているように撮れました」。

「突然の夕立。雨が上がるとそこには虹がありました。どうしても撮りたくて急いで河原に行って撮影。あまり虹と青空の写真は見たことがなく、ほんの一瞬の出来事で、自分でも撮れたことに驚きがあり、嬉しかったです。撮影した後に、SNSを見るとたくさんの人がシェアしていて、みんなも同じ空を見上げていたのだと思うと、不思議な感覚になりました」。

一枚の写真を撮り切る難しさと大切さに触れて、写真が好きになった

「父がカメラ好きで家にはたくさんのカメラがあり、幼い頃から写真に触れていました。5、6歳の頃に旅行先でコンパクトフィルムカメラを使って撮影を経験。初めて一眼レフで撮ったのは、高校の写真部に入部した時です。写真部では、フォトコンテストや大会に向けて構図などを学びますが、入部後すぐに課されたフィルムカメラでの撮影と現像を通して、一枚の写真を撮り切る難しさと大切さに触れて、写真が好きになったのを覚えています。部活動で撮影した写真のうち、コンテストには出せないけれど自分にとって大切なものを共有するため、また写真家の構図を学ぶ目的でInstagramを開始。毎日必ず一枚投稿すると決め、コツコツと継続していました。高校を卒業し、自由に撮影に出かけるようになり、さまざまな景色を撮っているうちにフォロワーが増加。SNSを通じて写真仲間もでき、撮影機会も増えました。最初は有名な場所や人気のスポットばかり撮影していましたが、徐々に自分らしい写真を撮りたいと考えるようになり、写真全体の雰囲気を統一するように心がけていきました。フィードの色味や世界観を統一しつつ、同じような構図の写真が上下左右に並ばないように意識したことで、自分らしさを強く表現でき、仕事の依頼も増加してきたように思います。2020年にはフォトスタジオに勤務しながら写真家として活動を開始し、その年にはピュレグミのPR撮影のお仕事依頼をいただくこともできました」。

写真を見返しながら懐かしいと感じる時間も好き

「サザンカのトンネルに光が差しているところを撮影。サザンカの花びらが落ちてピンク色になったとても可愛らしいトンネルでした。咲いている時だけでなく、散った姿まで美しいサザンカが素敵です」。

「梅雨の晴れ間の紫陽花。梅雨なのに、この日はすごくいいお天気で、前日についた雨粒がキラキラと光る草木が美しかったので撮影しました。花びらが透けて、透明感が出るよう逆光で」。

「桜の木の隙間から昼間の三日月が見えていました。水色の空に、ピンク色の桜がとても可愛く、絵本の中のような景色に心惹かれました」。

「楓が綺麗な公園で旦那さんと。山の隙間から差し込む光が楓の葉を透かしていて美しかった。落ち葉の絨毯も秋色で、紅葉狩りをしながらここでピクニックをしたのを思い出しました」。

「海に沈む夕日を眺めているところを撮影。海の中にシルエットが入るよう工夫しました。波の音が聞こえてきそうな海の波模様がお気に入りです」。

「雨上がりの港で。大きな水たまりに、雲の隙間から見える夕日がリフレクションしている幻想的な風景です。瀬戸内の島々や海が少し見えているところもお気に入り」。

「机と椅子に光が差している光景が美しかった。窓から海が見える、とてもお気に入りの場所です。季節によって光の角度が違ったり、天気によって海の色が違ったりと、同じ場所でもいつも違う表情を見せてくれるのでまた行きたくなります」。

同じ趣味を持つ多くの人と写真を通じて繋がることができた

「毎日投稿すると最初に決めたものの、写真を選ぶ手間や、投稿を忘れないようにすることは少し大変でした。でも投稿し続けて本当に良かった。同じ趣味を持つ多くの人と写真を通じて繋がることができ、私の写真を見て元気が出たとか、懐かしい気持ちになったというコメントをいただけると、SNSを続けていて良かったと心から思います。私が写真を好きな理由は、自分が見た美しいもの、好きなもの、忘れたくないものを残せるからです。同じ風景、同じ時間は二度となくて、自分が今思っていることや見た景色をまた思い出せるよう写真で残したい。数年後にその写真を見返しながら懐かしいと感じる時間も好きだから。SNSはまさに『私のこれまでのアルバム』です。これからも写真の仕事を続けていくためにSNSでの発信は積極的に続けていきます。そして、トレンドに目を向けながらも、自分の写真の世界観を大切にしていきたいです」。

GENIC vol.75 【スキをシェアして。SNSから始まる私の履歴書】
Edit:Izumi Hashimoto

GENIC vol.75

2025年7月号のテーマは「I love photography ただ、写真が好きで」。

写真は移ろいゆく季節に目を向けることを教えてくれた。
写真は心の奥にしまい込んでいた自分の感情に気づかせてくれた。
写真は自分らしく生きていいよと励ましてくれた。
写真はかけがえのない仲間と巡り会わせてくれた。
写真は素晴らしい世界の見方を示してくれた。

写真から、たくさんのものをもらってきた。
だから、好きな理由はひとつじゃない。

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