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人生を変えてくれた縁つなぎの場 Koichi | 連載 スキをシェアして。SNSから始まる私の履歴書

写真が単なる「個人的な記録」だけの役割を果たしていたのは、もうひと昔前の話。今やコミュニケーションツールのひとつでもあり、写真は多くの出会いを生み出すものでもあります。SNSでシェアを続けたことで、写真家の道を歩むことになった4名は、どのように今の場所に辿り着いたのか?知られざる人生に迫ります。全4回の連載、第2回は写真家のKoichiさんです。

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目次

プロフィール

Koichi

写真家 1995年生まれ、岐阜県高山市出身。東京を中心に活動。主に風景の中に人物を入れた情景写真やPhotoshopを使ったアート作品を得意とし、「心に響く写真」をコンセプトに日常を切り取る。最近はフィルムカメラを通して写真の楽しさを伝える活動にも取り組んでいる。
愛用カメラ:Nikon Z7II、Leica M10、HOPE TACHIHARA 8×10
愛用レンズ: NIKKOR Z 50mm f/1.2 S、NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena、TTArtisan 50mm f/0.95

人生を変えてくれた縁つなぎの場

BIOGRAPHY

2010年 Twitterを始める。コンパクトデジカメと出会う
2015年 大学2年、一眼レフカメラを購入し本格的に写真を始める
2016年 Instagramを始める。写真を毎日投稿しフォロワー数が一気に増える
2017年 家具屋に就職。写真家として活動を開始
2018年 フリーランスの写真家になる
2025年 Instagramのフォロワー数が21.5万人に

想像を遥かに超えるインスピレーションや人との繋がりが生まれた

「桜シーズンの新倉富士浅間神社で撮影。見頃のベストシーズンなのに富士山が雲で隠れていたために人が少なくて、観光客向けの馬を借りて撮影できました。五重の塔と富士山と桜を撮る定番スポットでも、少し視点を変えるだけでまったく違う作風になることを教えてくれた1枚です」。

「NIKKORレンズの作例として撮影。このときまで、135mmという画角に触れることが少なかった自分にとって挑戦の仕事でしたが、レンズの特徴を活かしつつ、自分らしい作例をつくり上げられたなと感じた1枚。花火×ポートレートの作品をたくさんの人に知ってもらうきっかけになりました」。

「直前までの青空が急変して大雪になった日。屋根にもまったく積もっていなかった雪が、数十分で真っ白になるくらい局地的な大雪に。そのおかげで、白川郷に舞い散る雪と髪や服につく雪の結晶までも美しく切り取ることができました。地元で豪雪のポートレート作品を撮りたいと思っていたので感激。天気のタイミングの大切さを強く感じた1枚」。

「古川祭という、地元のお祭りで。祭りという動きのあるシーンで、しかも夜祭という条件のもと、被写体に当たる街灯の角度や位置を工夫した1枚。背景はボカすだけではなく、ボケた先にある文字や景色の情報がいかに大切なのかを改めて感じました。自分と被写体との距離感やF値によって背景の情報量は変わるし、提灯の高さや向き、顔の角度でも影の出方は変わる。細かい部分にかなりこだわりました」。

SNSの流行に乗りフォロワーと写真仲間が一気に増えた

「16歳の時、自宅にあったコンパクトデジカメをいつも持ち歩き、日常的にカメラに触れていました。その頃にTwitterを始めましたが、投稿していたのはスマホで撮った写真。19歳でNikon D5200を購入したことを機に本格的に写真を始め、大学のイベントや友人との思い出を写真に収めていました。写真が好きなのは、生まれた時からフィルムカメラで成長を記録し、その時の感情を写真に添えてくれていた祖父と、授業参観などで積極的に友人との日常を撮影してくれていた母の影響です。カメラを購入した翌年に、写真向けのSNSがあると勧められてInstagramを開始。大学3年頃には、SNSを通じて同世代の写真仲間と出会い、風景撮影のために遠征するようになりました。撮った写真を毎日投稿していたことと、SNSの流行もありフォロワーや写真仲間が全国に急増しました。最初は純粋に撮影と投稿を日課として楽しんでいましたが、承認欲求の波に飲まれたり、SNS特有の妬みや僻みでSNSをやめたいと感じることもありました。SNSの楽しさと同時に怖さも感じたんです。でも、それを上回るインスピレーションや人との繋がり、可能性を大きく広げてくれる出来事がいくつもあったことで、今も変わらず楽しくSNSを活用できています」。

写真は、二度と来ない今の瞬間を未来に残し、戻ることができない過去を覗くことができるもの

「友人と自転車で大学に通っていたころ。日常のシーンですが、この日は夕焼けに染まり始める雲がとても美しく、乗っていた自分の自転車を飛び降りそのまま土手の下へ駆け降りて撮影。逆光シルエットにハマっていた大学生時代です」。

「SNSを始めた頃に師匠と遠征した、酒列磯前神社。三脚の立て方すらわからなくて、位置決めや設定などから教えてもらった思い出深い撮影。この場所全体が濃霧で包まれている予想で行ったところ、惜しくも霧が消えて少し経った後で、タイミングと運の大切さを知った1枚」。

「皆既月食とスカイツリーを重ねる撮影が話題になり、カメラマンが一斉に墨田区に集まった日。とはいえ今ほどカメラマンが多いわけではなく、三脚を並べているのはみんな知り合いでした。この頃は天体ショーや日の出日の入りにハマり、超望遠を担いでいろんなところへ出かけていました」。

「まだ人物と風景を合わせて撮る作風になったばかりの頃の作品。この日は雪予報で、東京×雪を撮ることができる貴重な日でした。ストロボ×雨や雪という夜の光遊びにハマっていた時期」。

「元々夜景を専門で撮っていて、Instagramも都市夜景ばかりを載せていました。これは大学の帰りに寄り道をして撮影した写真。車のレーザーや花のレーザー撮影が流行っていた時で、どこにいくにも三脚を持参。この永代橋から撮った船のレーザー写真が世界中でシェアされ、SNSが伸びるきっかけになりました」。

SMSを通じて世界中の人に写真で日本の素晴らしさを伝えたい

「私の写真のテーマは『日本の伝統文化を世界に。』です。特に、日本の四季や絶景と人物を融合した写真は、とても自分らしい作品だと感じています。作品を通じて、世界の人に日本の素晴らしさを伝えたい。そのためにもSNSを活用する意味があると思っています。今後は日本に来たことがないけれど、日本が好きな人たちに会いに行き、着物や桜などの写真を通じて日本を感じてもらえるような取り組みがしたいです。私にとってSNSは『縁つなぎの場』。人生を変える出来事や、自分の生活を豊かにしてくれる人たちとの繋がりをもたらしてくれた場所。これからも新しい素敵な縁がいただけるよう、SNSも楽しんでいきたいです。写真に関しては、一生好きでいると思います。好きな理由は、2度と来ない今の瞬間を未来に残すことができるから。そして、戻ることができない過去を覗くことができるからです。1日でもカメラを触らない日があるとウズウズしておかしくなってしまうくらい写真が好き。シャッターを切った瞬間の快感が癖になってしまい、どれだけ疲れていてもシャッターを切ることで全回復することができます」。

GENIC vol.75 【スキをシェアして。SNSから始まる私の履歴書】
Edit:Izumi Hashimoto

GENIC vol.75

2025年7月号のテーマは「I love photography ただ、写真が好きで」。

写真は移ろいゆく季節に目を向けることを教えてくれた。
写真は心の奥にしまい込んでいた自分の感情に気づかせてくれた。
写真は自分らしく生きていいよと励ましてくれた。
写真はかけがえのない仲間と巡り会わせてくれた。
写真は素晴らしい世界の見方を示してくれた。

写真から、たくさんのものをもらってきた。
だから、好きな理由はひとつじゃない。

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