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花と歩んだ写真の道 小春ハルカ | 連載 スキをシェアして。SNSから始まる私の履歴書

写真が単なる「個人的な記録」だけの役割を果たしていたのは、もうひと昔前の話。今やコミュニケーションツールのひとつでもあり、写真は多くの出会いを生み出すものでもあります。SNSでシェアを続けたことで、写真家の道を歩むことになった4名は、どのように今の場所に辿り着いたのか?知られざる人生に迫ります。全4回の連載、第1回は写真家の小春ハルカさんです。

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目次

プロフィール

小春ハルカ

写真家 1995年生まれ、群馬県出身。2015年に初めて一眼レフカメラを手にし、写真の世界に魅了される。「淡く華やかな世界」をテーマに、花を中心とした自然風景や日常の中で感じる美しい瞬間を写真に収めている。2023年に独立。現在は、企業タイアップや講師活動、写真系メディアへの出演など多方面で活動中。2025年3月には、鎌田風花との共作による写真集『Diaries』(ミツバチワークス)を出版。初個展『Colors in Bloom.』も開催。
愛用カメラ:Nikon Z8、Nikon Zf
愛用レンズ:NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

花と歩んだ写真の道

BIOGRAPHY

2010年 携帯電話で綺麗な空を撮り始める
2015年 初めて一眼レフカメラを手にする
2020年 カメラに関わる仕事をしたく、カメラマンとして働き始める
2021年 Instagram、Twitterを始める。初めてSNS経由で仕事をもらう
2022年 ひまわりの写真をInstagramに投稿して43万以上の“いいね”が付く
2023年 独立
2024年 Instagramのフォロワー数が20万人を超える
2025年 共作による写真集『Diaries』を出版。初個展『Colors in Bloom.』を開催

誰にとっても身近な存在の 「花」や「空」の写真が共感を呼んだ

「夕暮れの空を背景に撮った一輪のひまわり。これが43万件の“いいね”をいただいた特別な作品です。まさか、ここまで多くの方に見ていただけるとは思っていませんでしたが、国を超えてたくさんの人に届けることができたのはSNSがあったからこそです。今でも信じられないような、でもとても嬉しい思い出で、大きな転機となった作品です」。

「共作写真集『Diaries』の表紙に選んだ、青空を背景に咲くコスモスの写真。花を撮ることを好きになったきっかけはコスモスでした。毎年この時期になると、写真と向き合い始めた頃の気持ちを思い出します。原点であるコスモス、そして“私らしさ”が出せる写真だと感じ表紙の写真に選びました。特別な1枚です」。

「初めて仕事で海外(シンガポール)を訪れたときの写真。初めての海外渡航、それが“お仕事として”だったこともあり、とてもドキドキしていました。目に映るものすべてが新鮮で、カメラを向けたくなる場所ばかり。まだまだ知らない世界がたくさんあることを実感し、『もっといろんな景色を見てみたい』と感じた、大きな一歩となった経験でした」。

「Nikonのお仕事で作例撮影を担当したときの1枚。広角レンズの特性を活かし、花を見上げるような『虫目線』で撮影しました。ずっと愛用しているNikonのカメラ。そんな憧れのメーカーからお仕事をいただけたことが本当に嬉しくて、納得いくまで撮影を繰り返しました。写真との歩みの中で、ひとつの大きな節目となった大切なお仕事。今でも胸を張って語れる経験のひとつです」。

自分の感性で自由に世界を切り取ることができるのが楽しい

「私の住む町は空が広くて、夕焼けや空の表情がとても印象的なところ。中学のころから綺麗な空に出会うたび、携帯電話で撮って写真に残していました。19歳で初めての一眼レフNikon D5300を購入。25歳で会社に入り、憧れのカメラマンとして働き始めました。仕事を通して写真の奥深さを知る一方、思い描いていたイメージとの違いに戸惑うこともあり、“自分が本当に好きな写真ってなんだろう?”“どういう写真を撮っていきたいんだろう?”と、自問自答する日々でした。そこで、お気に入りの写真をいつでも見返せる場所として、Instagramを開設。Instagramは、写真の配置で自分の世界観を表現できたり、ぱっと見たときに自分らしい雰囲気を感じられたりするところに魅力を感じました。空と花を組み合わせたリールを初めて投稿したとき、海外の方から大きな反響があり、それが多くの方に見てもらえる最初のきっかけとなりました。さらに、一輪のひまわりの写真に43万以上の“いいね”をいただき、その投稿からフォロワーが一気に5万人ほど増加。この経験から、『私の好きなものは、多くの人も好きなのかもしれない』と感じられるようになりました。花や空は、国や場所を問わず誰にとっても身近な存在です。よく知っているものだけれど、私の写真を見て、いつもと違う新たな視点に気づいてくださって、投稿を見守ってくれる方が増えたのかなと思います」。

自分の気持ちや世界観を写真で発信できるSNSは大切な居場所のひとつ

「地元・群馬県にある、花桃が美しく咲くガーデンでお仕事として撮影。群馬には自然を感じられる素敵な場所がたくさんあり、このガーデンもそのひとつ。どうしたらこの美しさがより多くの人に伝わるのか、写真の構図や光の角度など、さまざまな視点から試行錯誤しながら撮影しました。写真と花、そして地元に関わるお仕事ができたという喜びが詰まった作品です」。

「初個展『Colors in Bloom.』のために撮り下ろした作品。一輪の花だけで、もっと違った表現ができないかを考え、3枚の写真を重ねて多重露出で仕上げました。展示を観に来てくださる方が不思議な感覚を楽しめるよう遊び心を加えました。花そのものの美しさはもちろん素敵だけれど、カメラというツールがあるからこそできる表現。写真にさらなる可能性を感じました。これからも、空と花を自由に掛け合わせて、自分らしい世界を広げていきたいと思います」。

「個展のために撮り下ろしたメインビジュアル。80点の作品を展示しましたが、これまで撮ってきた写真だけでなく、“今の私だから見える花の姿”も表現したいと思い、この写真を新たに撮影。花のかたちや色彩、そして“ありのままの花の美しさ”と向き合うきっかけになった一枚です。メインビジュアルをどの写真にするかとても悩みましたが、やっぱりこの写真に惹かれました。この作品が、多くの方に私の写真を知っていただけるきっかけにもなりました」。

同じ想いや感性を持った“同志”とSNSを通じて出会えた

「SNSを通して、初めてお仕事をいただいたときは本当に驚きました。しかも『私の世界観で』と言っていただけたことが、とても嬉しくて。趣味で撮っていた作風で仕事をいただけるとは思っていなかったので、自分の好きを信じて続けてきてよかった、と心から思います。現在では、自分の作品性を活かしていただける仕事の依頼がほとんどで、大きな自信ややりがいに繋がっています。SNSを始めてもうひとつよかったことは、写真を通してたくさんの人たちに出会えたこと。その存在が一番の財産です。もし写真を始めていなければ、SNSをやっていなければ出会えなかったであろう、同じ想いや感性を持つ“同志”と仕事やプライベートで共にたくさんのことを楽しめるようになったことがとても嬉しいです。最近では、SNSを通じて花に関する仕事をしている方々との繋がりが増えてきました。これらのご縁を大切にしながら、写真に留まらず、『花のある日常』を現実世界で届けられるような活動も増やしていきたいと思っています。言葉でうまく伝えることが得意ではない私にとって、写真という形で自分の気持ちや世界観を発信できるSNSは、かけがえのない居場所です」。

GENIC vol.75 【スキをシェアして。SNSから始まる私の履歴書】
Edit:Izumi Hashimoto

GENIC vol.75

2025年7月号のテーマは「I love photography ただ、写真が好きで」。

写真は移ろいゆく季節に目を向けることを教えてくれた。
写真は心の奥にしまい込んでいた自分の感情に気づかせてくれた。
写真は自分らしく生きていいよと励ましてくれた。
写真はかけがえのない仲間と巡り会わせてくれた。
写真は素晴らしい世界の見方を示してくれた。

写真から、たくさんのものをもらってきた。
だから、好きな理由はひとつじゃない。

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