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移住した人の悩み大全/伊佐知美の「旅するように移住」Vol.12

様々な移住者にインタビューした『移住女子』の著者であり、自身も現在、沖縄・読谷村に移住中の伊佐知美が送る連載コラム。移住に向いてる人、向いてない人、お金や仕事のことなど、気になる話を15回にわたってお届けします。
「"いま"この街で暮らしている意味って、なんだろう?」そんな疑問を持っている方の背中をポンッと押す、“最新の移住”コラム。
第12回は、移住後の悩みについてお話します。

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連載コラム:伊佐知美の「旅するように移住」

目次ページはこちらです。

移住した人の悩み大全/伊佐知美の「旅するように移住」Vol.12

移住したからこそ出会う悩みってなぁに?

この連載では、今まで移住前の悩みについて、おもに触れてきた。けれど、今回はちょっぴり時計の針を進めて、「移住後に抱える悩みにはどんなものがあるのか?」について触れてみたい。

理由は、移住前と後で発生する悩みは、少し毛色が異なるから。そして、悩みの種類は「そんなことで悩むの!?」とくすりと笑えてしまう可愛らしいものから、「こんなことが起こるなら、暮らし始める前に知りたかったよ〜!」と嘆きたくなるものまで様々ある。そしてそれらすべてが、「移住後のリアル」にあふれていて、移住前の心構え作りや、移住先選びに役立つ気がする。

たとえば私自身の経験で言うと、沖縄県は私にとって最高の場所なのだけれど、とにかく湿気が多い! とくに梅雨時期から夏の終わりにかけては、対策の気が抜けない。だって、毎日24時間冷房のドライ機能をつけて、かつサーキュレーターを回して、さらに除湿機をかけていても、換気を少しでも怠るとすぐにカビが生えるのだ(注意:沖縄県でも場所や家によりますが)。

だから、移住前はカゴバッグや革製品が大好きだったけれど、移住後は泣く泣く選ぶ素材を変えたり、カビて困る本当に大切なものは新潟県の実家に送り返したりした。南国が移住希望先の人は、移住前に家具を選別したり、部屋探しの際に日当たり・通気性抜群の家を選ぶのが◎!

こんな感じで、今回は取材で聞いた、「移住した先輩が、移住後に抱えた悩みリスト」を書き連ねてみる。

デートの場所探しが難しい

人口数千人ほどの町に移住した人の悩み。気になる人ができて、数回デートを重ねたところで気がついたこと。それは、移住先は車社会なので、車だけで誰か判別できるケースが増え、さらには「いつも一人で運転している〇〇さんが、その日は助手席に誰かを乗せていたらしい」という噂も回りがちということだそう。
その上、近隣エリアにデートに最適な場所が少ないので、結果行き先がかぶり、現地で知り合いカップルに出会うことも多く、なんだか心から楽しめない気がしたので、以降デートは遠出一択に。

車が毎日家に停まっているだけで「仕事してないのかな?」の誤解が悲しい

人口数千人の自然豊かな村に移住した人の話。その地域では、まだまだ仕事=出勤するものという感覚が根強いようで、在宅リモートワークが中心のワークスタイルは珍しいとのこと。
なので、平日にいつも車が家に停まっている様子を見て、近所のお年寄りたちが「あの子は仕事をしていないみたい。仕事の世話をしてあげたほうがいいのでは……?」と心配してくれているらしい。ありがたいけれど、説明が難しい!と悩んでいる。

ウェブショッピングをしすぎちゃう

ショッピングが大好きな人の例。移住後は買い物が存分にできるか心配だったけれど、ウェブショップがあれば日本中どこでも商品が配達される!便利!移住先の暮らしの理想を叶えるために、これもあれも必要!と購入を続けていたら、なんだか移住前よりも気軽にポチポチする癖がついてしまったらしく、出費が増加。移住でテンションを上げすぎた、自律せねば……と反省中。

配送料問題がつきまとう地域あるある

北海道や沖縄県、離島など、配送時に見かける「これらの地域では、別途配送料が発生する可能性があります」などの注記に該当するエリアに移住した人たちが口を揃えて話すこと。それは、「配送料が高い」!
amazon prime(配送料が基本的にはかからないサービス)に加入していても、配送料が発生することがあるし、ベッドやマットレスなどの大型家具や白物家電などの大物を配送しようものなら、1万円以上の配送料が発生することも。

そもそも「配送対象外地域」

上記のように、配送料がかさむだけならまだいいかもしれない、という悩みも。ウェブショップでカートに商品を入れ、さぁいざ決済!配送先の入力をば!と思った時、「入力した住所は配送対象外エリアです」と表示される悲しみといったらない。
これを何度か繰り返すと、そのうち本州から荷物を届けてもらうことを諦め、野菜の地産地消と同じく、家具家電や雑貨など様々なものに対して「地産地消が一番」という思考になったりする。ちなみに筆者もこのパターン。

移住の報告・発信について

これは、移住についての報告・発信で悩んだ、という話。2020年以降は新型コロナの影響もあり、まずは身内、早めに直接伝えたい友人のみに連絡して、落ち着いたら報告を……と考えるうちに時間が経って、周囲への報告のタイミングを逃してしまった、という人が多かった印象。
けれど、実際に勇気を出してSNS等で移住を報告すると、友人が「そのエリアなら知り合いがいるから紹介するよ!」と言ってくれたり、「じつは出身地で、この店のオーナーが同じ移住者だから助けてくれるかも」などと有益な情報を教えてくれて、人間関係がぐっと広がるきっかけになったので、「結果論だけれど、悩んでいるより行動すればよかった」という声も多い。

マッチングアプリの平均年収

都会から田舎エリアに移住した人のあるあるなのだけれど……。移住後にマッチングアプリで、都会在住の気分のまま、相手の希望年収を素直に入力すると、どうしても平均年収は 都会>田舎なので、該当する人が想像以上に少なくて驚いた、という話はじつはよく聞くこと。
田舎には収入以外の豊かさや資産(たとえば持ち家や土地など)を持っている人も多くおり、必ずしも年収という数字ではくくれないこともあるし、そもそも数字にはこだわらなくなった、など移住をきっかけにパートナーの条件を考え直した、という人は少なくないみたい。

運転免許証と車がないと、移動が不便

移住後に運転免許証を取得する人は、私の肌感ではとても多い。都会ほど交通網が発達していない部分があるといえども、電車やバス等で移動することは可能な場所も多いし、短距離なら自転車でも移動できる。だけど、車がないと時間の融通がきかず、スケジュールが組み立てづらい、または荷物を運ぶのが大変、悪天候時に困るなどの理由で、移住後に運転免許証取得を本格検討し始めるのだそうだ。
運転免許証さえ取得できてしまえば、車自体は購入せず、まずはカーシェアリングで充分、という人も増えているので、論点は運転免許証の有無のよう。移住検討先が車社会だ、という人は、移住前に運転免許証取得を考えてみてもいいかもしれない。

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移住後の悩みは、細かいことを挙げたらまだまだあるけれど、今回は代表的な例を紹介してみた。次回は、移住後の悩みともリンクする「移住先での人間関係の作り方と、コミュニティについて」がテーマ。ではっ。

伊佐知美

これからの暮らしを考える『灯台もと暮らし』創刊編集長。日本一周、世界二周、語学留学しながらの多拠点居住など「旅×仕事」の移動暮らしを経て沖縄・読谷村に移住。移住体験者の声をまとめた『移住女子』の著者でもある。

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