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プロフィール

コハラタケル
写真家 1984年生まれ、長崎県出身。セクシー女優たちのデジタル写真集“とられちシリーズ”を撮影するほか、山本文緒『自転しながら公転する』や、島本理生『あなたの愛人の名前は』(文庫版)など、書籍カバーにも写真が採用されている。2023年にはライカギャラリー東京・京都にて写真展『撮縁』を開催。12月20日には、3冊目となる私家版の写真集『羽化する前に』を出版。
愛用カメラ:FUJIFILM X-Pro3、LEICA M-P(Typ240)
愛用レンズ:XF23mmF1.4 R/35mmF1.4 R、Leica Summilux R50mm F1.4 フード組込(3-CAM)
Q.16 ポートレート写真がうまくなるために“まずやるべきこと”は?
A. 徹底的に真似をすることと、挨拶
試行錯誤しながら真似しているときに、自分に大切なモノが見つかる可能性がある




同じように撮っても上手くいかない場合は、理由を箇条書きにしてひとつずつ解決していく
「人を撮るためには、最初は自分が尊敬する写真家さんの写真を真似することから始めるのが良いと思います。可能な限り、徹底的に真似をする。そうすると、うまくいかない部分が出てきます。同じように撮っているのに、全然同じようにならない。それらをひとつずつ分解して箇条書きにし、ひとつずつ解決していく。わからなかったら人に聞くのも良いのですが、どうしようもなくなってから聞いたほうがいいです。なぜならば試行錯誤しているときって、自分にとって大切なモノが見つかる可能性があるから。また、感動したことを表に出すことも大事。人を撮っていると“良いな!”と思う瞬間がありますが、そのときの喜びを顔や声に出すべきだと思うんです。撮影者がテンション高く、“うわぁ、今の表情めっちゃいいね”と、内に秘めず感情を表に出したほうが、その喜びが相手にも伝わり表情が良くなってよりいい写真が撮れます。とくに関係値が構築されていない、はじめましての人との撮影のときには大事だと思います。そして、もっとも大事なことは、撮らせてもらう人に挨拶をすること。以前、写真家の名越啓介さんに“写真の基礎って何だと思いますか?”と聞くと、名越さんは“挨拶”と回答してくれました。僕は住んでいる家の管理人さんへの挨拶は欠かしたことがありませんが、小さな声で挨拶することもありました。管理人さんの対応は可もなく不可もなく。ですが、名越さんの話を聞いてから、意識して挨拶をするようにしました。自然と声も大きくなったと思います。4年目の春を過ぎたあたりから管理人さんが話しかけてくれる機会が増えました。もしも僕が管理人さんを撮影させてもらうことがあるとして、今なら良いポートレートが撮れる気がしています。1年目だったら無理だったでしょう。ポートレートとはそういうことなのだと思います」。
MY BEST PORTRAIT

GENIC vol.73【Portrait Q&A】Q. ポートレート写真がうまくなるために“まずやるべきこと”は?
Edit:Izumi Hashimoto
GENIC vol.73

2025年1月号の特集は「Portrait Q&A」。ポートレートの答えはここにある
人にカメラを向けるからこそ、迷いはなくしたい。自分の写真をちゃんと好きでいたい。そのためにどうするか?「答え」はここにあります。写真家や俳優、モデルなど41名が答えた、全45問のQ&A特集です。