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プロフィール

marutsubame
写真家・映像作家 栃木県出身。カメラ歴15 年。建築系の大学を卒業後、設計事務所に勤務。その後、デザイン業務の傍ら独学で写真を学び、空から風景を撮影するドローンフォトグラファーに。DJI JAPAN の広告撮影を担当。ドローン撮影した作品にて世界最大規模のフォトコンペである“Sony World Photography Awards 2020”のナショナルアワードを受賞。現在もドローンを利用した分野で活動している。
愛用カメラ:Inspire 2、Mavic 3 Pro Cine、Sony α7R III
愛用レンズ:FE 70-200mm F2.8 GM OSS、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
四季の景色 SEASONS in FRAME
空からとらえた美しい季節
風が吹くたびに桜の絨毯が広がっていく、空から見た春

「4月下旬、福島の桜峠の春は、まるで桜の海に包まれているかのような景色になります。ドローンを使い空から見ると、春風が吹くたびに花びらが舞い、桜の絨毯が広がるようでした」。
多くの制約を乗り越え、理想の構成で撮れる日まで、数年かけかることもある
地上からは捉えきれない花火の立体感と水面への反射

「きほく燈籠祭は、三重県の夏の風物詩として多くの人々を魅了する夏祭り。7月の蒸し暑い夜空に、色とりどりの花火が次々と打ち上げられ、その光が水面に反射することで幻想的な風景を作り出していました。ドローンで空から撮影することで地上からは捉えきれない花火の立体的な広がりと、水面に映る美しさを同時に表現することができました」。
「ドローン撮影をするようになったのは2018年、友人が使っていたのを見たのがきっかけ。地上のカメラでは撮影できない、高く広い構図をとれることが、空撮の大きな魅力であることに気付いたからです。一般的に『ドローンは自由で、無限の構図が得られる』と言われますが、実際には航空法の厳守やバッテリーの持続時間、さらには天候に大きく左右されるなど、制約が多く存在します。そのため自由に見えながらも、厳しい現実があるのです。それでも、これらの制約を乗り越えて得られた日本の美しい自然の風景写真は、地上の撮影では得難い魅力があり、ドローン撮影の醍醐味と言えます。場所の選び方は、その土地ならではの美しさや、季節ごとに変化する風景の豊かさが基準。さらに、空からの新しい視点や見たことのない構図で、日本の美しさを少ない線でシンプルに表現できる場所を探して撮影しています」。
自然条件が揃わなければ見られない紅葉の絶景

「秋が深まる10月下旬の栃木の日光・中禅寺湖は、色とりどりの紅葉に包まれます。ここにある八丁出島の紅葉を捉えるためには、天候や紅葉の状況の把握をしながら、いくつかの自然条件が揃わなければなりません。この絶景を空から捉えることができた時は感動しました。また、紅葉が織りなす鮮やかな色彩の自然の豊かさを再認識させてくれました」。
「空にドローンを飛ばしていると、予想のできなかった美しい光や、まるで生き物のように流れる雲海に出会うことがあります。天候が大きく変化する中で捉える情景は美しく、その場所でシャッターを押す瞬間は、自分も空中に浮いているかのような没入感を得られます。あらかじめ決めておいた構図に対して、数ヶ月から数年かけてドローンを飛ばし、雲や光の角度を計算して撮影するのですが、その中で最も理想的な条件と構成が揃い撮影が成功した時の喜びは大きいです。これからも、季節ごとの美しさを最大限に引き出せる構図を選び、日本の四季の移ろいを空から捉えていきたいです」。
空を自由に飛べるからこそ捉えられる真っ白な世界

「長野県の霧ヶ峰は、12月に入ると自然条件が揃うことにより、一面の霧氷が見られます。霧氷を溶かす太陽の強い光が入るまでの限られた時間の間、すべてを氷結したような真っ白な冬の世界になります。この景色は普段の生活では目にすることができず、空を自由に飛べるドローンだからこそ捉えることができるものです。霧氷に覆われたこの風景は、静寂の中にある、冬の美しい姿でした」。
GENIC vol.72【四季の景色 SEASONS in FRAME】
Edit:Izumi Hashimoto
GENIC vol.72

9月6日発売、GENIC10月号の特集は「Landscapes 私の眺め」。
「風景」を広義に捉えた、ランドスケープ号。自然がつくり出した美しい景色、心をつかまれる地元の情景、都会の景観、いつも視界の中にある暮らしの場面まで。大きな風景も、小さな景色も。すべて「私の眺め」です。