コハラタケル
フリーランス フォトグラファー 1984年生まれ、長崎県出身。大学卒業後、建築業の職人を経て、フリーライターに。写真撮影を始め、フォトグラファーに転身。企業案件や家族写真を撮影するほか、セミナー講師や月額制noteサークル(http://note.com/takerukohara/circle)を運営。#なんでもないただの道が好きの発案者。
愛用カメラ:FUJIFILM X-Pro3
愛用レンズ:XF23mmF1.4 R
その時、その瞬間。
独自のハッシュタグ、#なんでもないただの道が好きの1枚。
「曇りの日に一瞬、晴れ間が差したタイミングでシャッターを切りました。昔から大好きな大塚で撮影。レトロなお店も多く、坂道がつくる高低差が魅力的な街です」。
モデルはイトウハルヒさん。
人間はコントロールできない。だから魅力的
モデルは穂紫朋子さん。
「偶然性を狙って、”適当に撮ることを意識する”という撮り方を実践したもので、二度と撮れない1枚。露出や絞りなどの調整を行う以外はすべて現場まかせです。右側に服の色と似たゴールドのホイールの車が入ってくれたことに今でも感謝しています」。
屋上で撮影。「太陽がほぼ真上にある状態で、普通に撮るとコントラストが強く出てしまうので、ブラックミストのフィルターを使っています。現像する時に上下を逆さまにして、髪の毛が重力に逆らうような見せ方に」。
「人を撮る時に大事にしていることは、とにかく動いてもらうこと。止まっている時ではなく、動いている時にシャッターを切るようにしています。光を読むこと、身体や顔の美しい曲線を把握することなどが、人を魅力的に撮るためには必要だと思いますが、アンニュイな表現が得意な子に笑顔を強要するような、合わない表現をさせないことも大切。被写体それぞれに合う撮影の仕方を探して、それを素直に実践するようにしています。人を撮る面白さは、コントロールできないこと。人間ですから。1日1日で変わるし、その日の体調や精神状態にもよる。だから魅力的なんだと思います。自分が想像もしなかったような写真が撮れた時は、うれしいですね」。
モデルはNao_ikさん。
「こだわりは暖色と寒色を画面に入れたことと手の表情。一番、不気味に見えるものを選びました。僕は少し怖いもののほうが美しいと考えているので、怖さを基準に選ぶことが多いです」。
ヘアメイクさんとのコラボ作品でモデルはミカエラさん。
「髪の美しさや繊細さに注目してほしくて、目元や耳は画角から切れるようにしています」。
動き続ける被写体をただ一生懸命に撮る
撮影している時はいつも必死で、楽しいという感覚はあまりないそう。「僕は楽しさより、一生懸命、撮るほうが大切だと思っています。テーマやコンセプトは事前にイメージしていますが、現場でその時、その瞬間に判断します。撮る側からメッセージを伝えてしまっては想像が膨らまないので、写真を見る人にはあえて意図を伝えず、それぞれがいろいろなことを思ってくれたらいいなと思います。僕は一生懸命、撮ること。それだけです」。
モデルはJURIさん。
「ガラス窓に反射しているハイライトで顔が見えないように調整。違和感がないように、口元だけは見えるようにしています。反射するのが好きなので、PL フィルターはつけていません」。
GENIC VOL.58 【表現者が人を撮る理由】
Edit: Yuka Higuchi
GENIC VOL.59
特集は「だから、人を撮る」。
最も身近にして最も難しい、変化する被写体「人」。撮り手と被写体の化学反応が、思ってもないシーンを生み出し、二度と撮れないそのときだけの一枚になる。かけがえのない一瞬を切り取るからこそ、“人"を撮った写真には、たくさんの想いが詰まっています。泣けて、笑えて、共感できる、たくさんの物語に出会ってください。普段、人を撮らない人も必ず人を撮りたくなる、人を撮る魅力に気づく、そんな特集を32ページ増でお届けします。