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「Q.22 ポートレートのコンセプトメイキング、フォトグラファーはどこからどこまでかかわるの?」松岡一哲|Portrait Q&A 22/45

写真家や俳優、モデルなど41名が答えた、全45問のPortrait Q&A特集。人にカメラを向けるからこそ、迷いはなくしたい。自分の写真をちゃんと好きでいたい。そのためにどうするか?「ポートレートの答え」はここにあります。
今回の回答者は、等価な眼差しで世界を捉え撮影を続ける、フォトグラファーの松岡一哲さんです。同氏が手がけた、モトーラ世理奈 写真集「せりなが」を題材に、ポートレート撮影について伺いました。

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目次

プロフィール

松岡一哲

写真家 1978年生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、スタジオフォボス勤務を経て独立。フリーランスの写真家として活動する傍ら、2008年6月に「テルメギャラリー」を立ち上げ運営。主にファッション、広告などコマーシャルフィルムを中心に活躍する一方、日常の身辺を写真に収めながらも、等価な眼差しで世界を捉え撮影を続ける。主な個展に「マリイ」(2018)、「やさしいだけ」(2020)、「what i know」(2020)、「TOKYO GAMES」(2023)。東京「Taka Ishii Gallery Kyobashi」のこけら落としグループ展にも参加(2024)。モトーラ世理奈の写真集『せりなが』撮影(2025)。

モトーラ世理奈

モデル・俳優 1998年生まれ、東京都出身。雑誌『装苑』でモデルデビュー、2018年映画「少女邂逅」にて俳優としても活動を開始。ドラマ「ブラック校則」(日本テレビ)、映画「風の電話」(2020)、「アイスクリームフィーバー」(2023)などに出演。

モトーラ世理奈 写真集「せりなが」情報

「ロンドン、ソウルにも活動拠点を広げ、世界に羽ばたき始めたモトーラ世理奈の、今を追った」

モトーラ世理奈×松岡一哲写真集「せりなが」
サイズ:B5変
ページ数:160頁
価格:4,730円(税込。本体4,300円)
2025年1月10日(金)発売

モデル・俳優のモトーラ世理奈と写真家の松岡一哲による、オール韓国ロケで撮り下ろした写真集が、出版レーベル「manpan press」の第一弾として発売される。モトーラが日本を飛び出した先で何を感じ、何を見つめ、どんな風にカメラの前に立つのか。作家活動でも活躍中の写真家・松岡一哲が、初めて訪れる韓国の風景とともに彼女を撮影した写真が収められている。

モトーラ世理奈×松岡一哲写真集「せりなが」

Q1. ポートレートのコンセプトメイキング、フォトグラファーはどこからどこまでかかわるの?

A1. 最初から最後まで!“制限なく自由に、作品のように”というコンセプトが決まり、いつも通り美しい瞬間を写したいと思った

写真集の表紙となった写真。「韓国で彼女と会ってすぐ、1枚目に撮った写真です。強い写真が撮れたな、という自覚がありました」。

Q2. コンセプトメイキングでフォトグラファーが大切にしたいこととは?

A2. 自分は被写体の魅力を最大限に引き出すことを考えています。コンセプトを踏まえ、今のモトーラさんそのままを撮りたいと思い、感情が動いたなと思った時にシャッターを切りました。

「韓国のカラオケボックスの中で撮りました。少しくすんだ窓からの光が、とてもきれいだった記憶があります」。

Q3. 実際の撮影では、どんなことを意識していた?

A3. 必要以上にコミュニケーションに頼らず、自然な距離感で撮影することを心がけていました。また、ポートレート全般にいえることですが、ポートレートの撮影では、相手の動きを丁寧に見て、決して無理やり心をこじ開けないことが大切だと思っています。

「撮影が終了し、空港に向かう途中でこの場所を見つけ、急遽撮影しました。空間全体が真っ赤にかぶっていて、美しい場所でした」。

Q4. ポートレート撮影の醍醐味、魅力とは?

A4. 人間に限らずではありますが、被写体の魅力に圧倒されること。その魅力から目をそらさずに撮ること。

「ネットカフェの中で撮影したあと、街に出てすぐ撮った写真です。僕は被写体がただまっすぐにこっちを向いて佇んでいる写真が好きです」。

Q5. 松岡さんにとって、ポートレートの撮影とは?

A5. 景色もポートレートのように撮影するので、自分の写真活動の大きな部分です。

「manpan pressの編集者 みほりさんとモトーラさんと、コンセプトの段階から一緒に考えました。そのなかで、“制限なく自由に、作品のように”というコンセプトは、みほりさんが自分のことを信頼して考えてくれたものです。その上で、モトーラさんが本格的に韓国で活動していることもあり、『せりなが』の写真はすべて韓国で撮り下ろしをすることになりました。自分は韓国を初めて訪れることもあり、新鮮な気持ちで先入観なく撮影できました」。撮影は古今東西様々な韓国らしさを感じられるロケーションで敢行され、ソウルの山に登ったり、骨董品に囲まれたり、おうちで手料理をいただいたり…。めくるめく変わるシチュエーションも、写真集の魅力のひとつとなっている。また、韓国の新進気鋭のクリエイターたちとタッグを組み、ファッションシューティングも実施。唯一無二の雰囲気を持つモトーラさんのプロフェッショナルな姿と、私服での素顔でラフな姿。対象的なシーンを縫うように、松岡さんは繊細な表情を切り取っていった。「韓国のプロダクションとも一緒に撮影できたこともうれしかったです。撮影を終えて、作品のセレクトについても、みほりさんとモトーラさんと自分の3人で行いました」。

GENIC vol.73【Portrait Q&A】Q. ポートレートのコンセプトメイキング、フォトグラファーはどこからどこまでかかわるの?
Edit:Chikako Kawamoto

GENIC vol.73

2025年1月号の特集は「Portrait Q&A」。ポートレートの答えはここにある

人にカメラを向けるからこそ、迷いはなくしたい。自分の写真をちゃんと好きでいたい。そのためにどうするか?「答え」はここにあります。写真家や俳優、モデルなど41名が答えた、全45問のQ&A特集です。

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