松岡一哲
写真家 岐阜県出身。日本大学芸術学部写真学科卒業後、スタジオ勤務を経て、独立。写真家として雑誌、広告を中心に活躍し写真展での発表も積極的に行う。2018年に写真集『マリイ』を発表。2020年10月、東京・六本木タカ・イシイギャラリーフォトグラフィー/フィルムにて個展「やさしいだけ」を開催。
2022年1月、女優 南琴奈さんを1年間撮影した写真集『ITTETSU MATSUOKA × KOTONA MINAMI』を発売。
今、そこにある肌が美しい
光、構図、背景、すべてが被写体に味方するように
それぞれが持つ魅力にただ寄り添う
「撮りたいイメージは、被写体と向き合って見つけてゆくので、できるだけ真っ白な状態で臨むことが多いです。皆、それぞれの魅力があるので、撮る時はその魅力にただ寄り添うことが必要。被写体との距離感はとても大切ですが、なるべく頭で考えないように、性別関係なく、被写体の持つ魅力を素直に掬いとれたらと思っています。今回選んだ写真も、被写体そのものの魅力をそのまま捉えている作品です」と松岡さん。
女性の身体や肌を魅力的に切り取るためのこだわりは?
「光、時間、動きですね。“肌”を撮ろうとしたことはなく、人間、その被写体を撮ろうとすると、必然的にそこには“肌”があるという感覚です。美しいと感じるところはそれぞれ違いますが、光、構図、背景、すべてが被写体に味方するように心がけています」。
性別に関係なく被写体の魅力を素直に掬いとれたら
写真とは世界をやさしくほぐすもの
「実家が街の映画館をやっていたので、幼い頃からたくさんの映画を観て育ちました。映写室で見るフィルム1コマ、1コマに写っている絵に惹かれていき、本格的にカメラを持ち始めたのは18歳くらい」という松岡さん。
普段からコンパクトフィルムカメラ、中判フィルムカメラ、デジタルカメラと愛用している中で、女性を撮影する時はフィルムが多いそう。
「理由はいくつかありますが、使い慣れているから、そして質感が好きだから。あとはその場で絵が見れないのが良いのかなと思います」。そんな松岡さんにとって写真とは?
「世界をやさしくほぐすもの。希望というものを、そのまま写真に写すことが自分らしさだと思っています。自分が撮る写真で人が感じる感覚の幅を少しでも広げられたら。こんな美しさもあるんだなと思ってもらえたら、もっと互いをわかり合い、許し合える世の中になるのではないかと思います」。
GENIC vol.62 【印象的な「肌」の世界】
Edit:Yuka Higuchi
GENIC vol.62
テーマは「素肌と素顔を写す」。
人の美しさを大切に写しとった「素肌」と「素顔」の世界をお届けします。「性」ではなく「生」を感じる、神秘的で美しい森に迷い込んでしまったような写真たちと、そこにある撮り手の想いに迫ります。