砺波周平
写真家 1979年生まれ、北海道出身。大学在学中から、写真家の細川剛氏に師事。日々の暮らしに潜む感動を、写真を通して見つめ続けている。『暮らしの手帖』の巻頭扉写真を担当中。私家版写真集「続 日々の隙間」をwebサイト(http://tonami-s.com/)で販売中。
愛用カメラ:Canon EOS R5、PENTAX 67II
愛用レンズ:RF50mm F1.2L USM、smc PENTAX 6×7 90mm F2.8
思わずカメラを向けたくなる存在
「ドライブの帰り道、さっきまで騒がしかった車内が、いつの間にか静かになっていて、ふとバックミラーを見たら二人とも寝ていました。信号が赤になった瞬間、助手席に座る妻の膝にたまたまカメラがあったのでシャッターを切りました。自分が見たそのままの二人を残したかったので、振り向いて撮らずにミラー越しに撮影しました」。
「うまくできない怒りや悔しさを、親である私に思いっきりぶつけてきている行為に感動しました。大人になるとこうしてエネルギーをぶつける機会は少なくなるので新鮮でした。ちなみに撮った後、さらに怒って叩かれました(笑)」。
予想外の行動やしぐさに感動して撮らされる
「我が子を撮る理由は至極単純です。寝食をともにし、裏も表もない、最も身近な関係だから。子供は大人や他の被写体とは違って、自分のイメージ通りに能動的に撮るのではなく、予想外の表情や仕草に感動して撮らされるところが魅力で、思わずカメラを向けたくなってしまうんです」。
GENIC vol.66【写真家が撮る 愛しの我が子】
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.66
GENIC4月号のテーマは「撮らずにはいられない」。
撮らずにはいられないものがある。なぜ? 答えはきっと単純。それが好きで好きで好きだから。“好き”という気持ちは、あたたかくて、美しくて、力強い。だからその写真は、誰かのことも前向きにできるパワーを持っています。こぼれる愛を大切に、自分らしい表現を。