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人生に、伊勢志摩を「第2回:レトロなまち散策&孤独のグルメ旅編」

旅と写真を愛する4組のフォトグラファーが、人生を豊かにしてくれるスポットと出会う「伊勢志摩エリア」の旅へ。女性ひとり旅に男性ひとり旅、夫婦旅、そして友達同士のふたり旅をテーマに、全4回にわたり、美しく入り組んだ日本を代表するリアス海岸や、2000年の歴史をもつ伊勢神宮で知られる伊勢志摩の楽しみ方を紹介します。第2回は、フォトグラファーの澤村洋兵が伊勢を起点に鳥羽、さらには松阪や離島・答志島にまで足を延ばすひとり旅へ。江戸時代の情緒を感じるまちなみや、地元グルメを2泊3日で堪能します。

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目次

人生に、伊勢志摩を「第1回:ベイエリアで過ごすご褒美ひとり旅編」

人生に、伊勢志摩を「第3回:伊勢神宮の神聖な世界に触れる夫婦ふたり旅編」

人生に、伊勢志摩を「第4回:城下町から地中海村まで、非日常を楽しむ友達旅編」

伊勢・鳥羽・答志島・松阪 ノスタルジックなまち巡りで心もお腹も大満足!

伊勢市駅からスタートしたひとり旅。江戸時代の面影を残す河崎に離島の答志島がある鳥羽、城下町の松阪と、どこか懐かしさを感じさせるエリアをじっくりと歩きます。何気ない町角やノスタルジックな路地裏でスナップ撮影を楽しんだり、人との触れ合いが温かな宿で疲れを癒したり。もちろん、海の幸から松阪牛まで地元グルメも存分に堪能。ゆっくりと流れる時間をぜひ体感してみてください。

1日目

鳥居と石畳が出迎える「伊勢市駅」

旅の始まりは伊勢神宮のお膝元、「伊勢市駅」。改札を出ると駅の正面には大きな鳥居が。さらにここから石畳の参道が伊勢神宮の外宮まで続いており、伊勢に来たという実感が湧きます。

お伊勢さんの台所「河崎」でのんびりまち歩き

伊勢市の中心を流れる勢田川の両側に広がる河崎は、江戸時代から水運を利用した問屋街として発展したまち。そのため、伊勢神宮の参拝客への物資を供給する“伊勢の台所”として栄えたそう。今でも当時の面影が感じられる風景が「河崎のまちなみ」として残されており、古い白漆喰壁の商家や黒板塀の蔵を利用したカフェなどの店舗も多く、まち歩きにうってつけ。川面にリフレクションしたまちなみを見ながら、座ってのんびりしたり、古き良き日本の雰囲気を写真に切り取ったりしているだけで、あっという間に時間が経ってしまいます。

河崎のまちなみ 基本データ

<住所>〒516-0009 三重県伊勢市河崎2丁目
<TEL>0596-22-4810(NPO法人伊勢河崎まちづくり衆)
<駐車場>あり(無料)

行き方・アクセス

<電車>JR東海・近鉄「伊勢市駅」 近鉄「宇治山田駅」から徒歩で約15分
JR・近鉄「伊勢市駅」から三交バスで「河崎百五銀行前」下車、徒歩で約5分
<車>伊勢自動車道「伊勢IC」から約15分

鮮度抜群の海産物が嬉しい居酒屋「虎丸」

まち歩きを楽しんだ後は、新鮮な海の幸を存分に食べられると人気の居酒屋「虎丸」で夕飯をいただきます。歴史ある蔵を改装して作られた店に入ると、吹き抜けで開放的な空間の中にカウンター席もあり、店員さんもフレンドリーとあってひとり飲みにもピッタリ。平日でも常に満席と人気の店なので、予約は必須です。

メニューは伊勢湾近海の天然魚にこだわったお造りなど、鮮度の良い魚料理が充実!身が引き締まった刺身に旨みが詰まったハマグリの酒蒸しを肴に、地酒「田光 純米」をクイッと1杯。日本酒初心者にもすっきりと飲みやすい、澄んだ味が特徴です。日本酒の種類だけでなく、お猪口もさまざまなタイプが揃っており、気に入ったものを選んで飲むことができるのもひとつの楽しみ。

今回いただいたメニューの中で、特におすすめは、半生で揚げられた鰹のカツと、この日は鯛が品切れということでコショウダイで作っていただいたコショウダイ飯。タレと合わせたコショウダイに卵の黄身を絡めた丼でお箸が止まらない美味しさです。

虎丸 基本データ

<住所>〒516-0009 三重県伊勢市河崎2-13-6
<TEL>0596-22-9298
<営業時間>17:00~21:00(L.O.20:00)
<休業日>火曜日
<駐車場>あり

行き方・アクセス

<電車>JR東海・近鉄「伊勢市駅」 から徒歩で約10分、近鉄「宇治山田駅」から徒歩で約12分
<車>伊勢自動車道「伊勢IC」から約10分

木の香りと人の温もりが心地よいゲストハウス「風見荘」

伊勢市駅から徒歩2分、伊勢神宮の外宮にも徒歩5分という好立地のゲストハウス「風見荘」。12角形の個性的な建物は、まるで旅人にとっての灯台のごとく、見つけやすい形で印象的。天然杉とヒノキで作られた館内は木の香りに包まれ、ゲストが集まる中庭にはシンボルツリーのヒメシャラが。まるで森の中にいるような雰囲気の中で過ごすことができます。

お手頃価格の部屋には、男女共同ドミトリーの他に女性専用ドミトリーや1~3人まで泊まれる個室が。スタッフの対応も温かく、フリースペースではゲスト同士の交流が生まれるなど、ひとり旅でも安心かつ快適に過ごせる空間となっています。

伊勢のゲストハウス 風見荘 基本データ

<住所>〒516-0073 三重県伊勢市吹上 1-6-36
<TEL>0596-63-9170
<駐車場>あり(有料、要予約)

行き方・アクセス

<電車>JR東海・近鉄「伊勢市駅」 から徒歩で約2分
<車>伊勢自動車道「伊勢IC」から約10分

2日目

甘辛タレがヤミツキになる「月見伊勢うどん」

「若草堂」は昭和レトロな外観と、おばあちゃんの家を訪れたような内装が懐かしい雰囲気のうどん屋。実際に店内はおばあちゃんひとりで切り盛りされています。もちもちとしたやわらかい麺と、タレに近い甘辛の出汁が絡みあう伊勢うどんは、この伊勢を訪れたなら一度は食べておきたい名物。卵がのった「月見伊勢うどん」は、旅の疲れが一気に回復するような、まろやかで優しい美味しさです。

「若草堂」 基本データ

<住所>〒516-0074 三重県伊勢市本町5-1
<TEL>0596-24-3210
<営業時間>6:30~19:00
<休業日>無休
<駐車場>なし

行き方・アクセス

<電車>JR東海・近鉄「伊勢市駅」 から徒歩で約2分
<車>伊勢自動車道「伊勢IC」から約10分

鳥羽旅行の拠点はノスタルジックな「鳥羽駅」

伊勢市駅から電車で約15分の「鳥羽駅」は、JR東海と近鉄が停まる鳥羽観光の拠点。どこか懐かしい雰囲気をまとった駅舎は、「鳥羽1番街」というショッピングセンターとも連絡通路で直結しており、お土産を探したりお茶をしたりと、ぶらつくだけでも楽しめます。

「鳥羽マルシェ」と「鳥羽足湯処」でホッとひと息

鳥羽の駅前には、地元の農水産物直売所と郷土食のレストランが入った「鳥羽マルシェ」があります。ここでは鳥羽や志摩で生産されている海産物や農作物が販売されており、その日に獲れた魚を捌く様子なども見られる、エンタメ感のあるスポット。

レストランはビュッフェスタイルで、テイクアウトできるドリンクやホットスナックのコーナーもあります。電車を待つ間、有機栽培のアイスコーヒーをテイクアウトして、外のベンチで海を見ながらひと休み、なんていうのもおすすめ。

マルシェの横には「鳥羽足湯処 とまり湯」があり、鳥羽港を眺めながら足湯に浸かってリフレッシュすることができます。マルシェでタオルも購入できるので、手ぶらで来ても大丈夫です。

鳥羽マルシェ 基本データ

<住所>〒517-0011 鳥羽市鳥羽一丁目2383-42
<TEL>0599-21-1080
<営業時間>10:00~18:00
<休業日>水曜日
<駐車場>なし

鳥羽足湯処 とまり湯 基本データ

<住所>〒517-0011 三重県鳥羽市鳥羽1丁目(佐田浜公園内)
<TEL>0599-25-3019(鳥羽市温泉振興会)
<営業時間>9:00~18:00
<休業日>無休(荒天候時以外)
<駐車場>あり(佐田浜駐車場)

行き方・アクセス

<電車>JR東海・近鉄「鳥羽駅」 から徒歩で約2分
<車>伊勢自動車道「伊勢IC」から約15分

「さざえストリート」で新鮮な貝をあてに1杯

鳥羽駅前には、新鮮な貝を食べられるお店が並ぶ、さざえストリートがあります。今回はその中の1軒、「海女小屋ちさと」にお邪魔しました。

せっかくなので、なかなか食べる機会のない、伊勢海老のお造りもオーダー。ここでは水槽から食材を選び、そのまま目の前で捌くところを見られるのも魅力的。また、お店の方が気さくな上に、お客さん同士の距離も近く、良い雰囲気。そんな店内で生まれる交流も旅の楽しみのひとつです。

さざえストリート内 海女小屋 ちさと 基本データ

<住所>〒517-0011 鳥羽市鳥羽1-8-7
<TEL>0599-26-7520
<営業時間>9:00~17:30(終了時間は季節によって異なります)
<休業日>不定休
<駐車場>あり

行き方・アクセス

<電車>JR東海・近鉄「鳥羽駅」 から徒歩で約1分
<車>伊勢自動車道「伊勢IC」から約15分

三重県最大の離島「答志島」へショートトリップ

鳥羽港の佐田浜(鳥羽マリンターミナル)から船で約20分、三重県で最大の離島である「答志島」の和具港に到着。船内には観光の人以外に、買い物などで鳥羽側に来ていた島の人々も乗ってて、その雰囲気も良いものです。ちなみに車では答志島に渡れませんが、佐田浜には駐車場がいくつかあり、答志島旅館組合に加盟している旅館に宿泊すれば、24時間無料の駐車券をもらえるサービスも。車で旅する人は覚えておくとお得です。

戦国時代の武将、九鬼嘉隆にまつわる史跡や漁村の伝統文化が息づくまちなみ、さらには離島らしい雄大な自然や島時間も楽しめるとあって、鳥羽に来たらぜひここまで足を運びたいところ。鳥羽港から近いので日帰りで巡る人も多いのですが、迷路のような路地や海女小屋、鳥羽湾を一望できる絶景スポットや大漁祈願の神社など見どころも多いので、宿泊してじっくり楽しむのがおすすめ。

和具港に降り立つと、漁船や漁に使う網、ちりめん蛸壺などが目に入り、漁業の町に来たことを至るところで感じます。ビーチや魚市場が点在する中に、レトロな建物や看板などがぽつぽつと見え、心なしか時間もゆっくりと流れているような気がします。

町の雰囲気は国内の都市部とは違って独自の時間が過ぎている感じがします。レトロな建物や看板などを、歩いてスナップするだけでも楽しいです。

漁港のおじさんが空の調子が良い日には富士山も見えると教えてくれました。こんな風に気軽におすすめスポットや島の文化を教えてもらうなど、島の人々の親切な対応に出会うことも多く、人の温かさに心が癒される経験もこの島ならではの魅力です。

「美さき」の天然温泉と磯料理でくつろぐ

「美さき」は、日本人なら思わずほっとする海辺の旅館。漁港と山に挟まれて建っていて、その建物自体が絵になるような雰囲気です。

部屋に入ると、伊勢海老の網焼き煎餅とお茶が用意されており、ほっこりした気分に。正面の大きな窓からは漁港が一望でき、漁船や神社へと渡る赤い橋などがまるで絵のような景色で、ずっと見ていても飽きません。この風景を堪能し、さらに天然温泉の大浴場に入れば、旅の疲れもあっという間に吹き飛ぶはず。

食前酒から始まる夕飯は、毎日島の市場から仕入れてくる魚介類がたっぷり食べられると人気で、伊勢志摩らしいメニューがたくさん。車海老や伊勢海老も入った刺身の舟盛りに、かれいの揚げ浸し、伊勢海老を殻付きのまま輪切りで調理した具足煮込み、あわびのおどり焼きと、どれも磯の旨みがたっぷりで白いご飯がどんどん進みます。まさに、男ひとり旅にぴったりな夕食。

答志島の海の恵みで朝から幸せ気分に

日の出の海を眺め、2時間ほど散歩をしてから宿の朝食をいただきます。ちりめんじゃこや干し魚にイカのお造り、伊勢海老のあら汁など、答志島らしい海産物がずらり。海で会った漁師の方が獲ってきた伊勢海老かな、これは港に干されていたちりめんじゃこかな、などと想像しながら食べるのもまた楽しいもの。夕食と同様に白いご飯が進む、答志島の海の恵みを味わい尽くせる理想の朝食です。

美さき 基本データ

<住所>〒517-0002 三重県鳥羽市答志町415
<TEL>0599-37-2141

行き方・アクセス

<電車>JR東海・近鉄「鳥羽駅」 から徒歩で約7分、「佐田浜港(鳥羽マリンターミナル)」から市営定期船で約20分、「和具港」から送迎バスで約2分または徒歩で約15分
<車>伊勢自動車道「伊勢IC」から約15分、「佐田浜 第1駐車場」に駐車し「佐田浜港(鳥羽マリンターミナル)」から市営定期船で約20分、「和具港」から送迎バスで約2分または徒歩で約15分

3日目

お肉のまちの玄関口「松阪駅」に到着

鳥羽駅から近鉄特急で約30分、伊勢市駅からは約12分の「松阪駅」。JRと近鉄が乗り入れており、松坂城跡や松阪牛でお馴染みの駅です。晴天となった最終日。青空と白い雲に、オレンジの松阪駅の文字がポップに映えます。

ヒレからホルモンまで「一升びん」で松阪牛を食べ尽くす!

松阪に来たら、松阪牛を食べずには帰れません。プレミアムA5ランクの松阪牛を一頭買いすることで、お値打ち価格で提供する焼肉店「一升びん本店」へ。奮発して、A5松阪牛のヒレ・サーロイン・タンのセット、数量限定の極 特選三種をいただきます。

肉そのものを楽しむべく、塩だけで味わいましたが、スッと噛み切れる柔らかさと溢れ出す旨みで、サイドメニューで頼んだ白ご飯があっという間になくなります。

さらに甘辛いタレが絶品のしゃぶユッケ風や、味噌ダレで味付けされたハラミやホルモンミックスも追加でオーダー。この甘辛い味噌ダレは創業1962年から受け継がれてきた、門外不出の秘伝のタレなのだそう。松阪牛のホルモンを食べられるのは珍しいらしいのですが、苦手な人でも食べられちゃいそうな美味しさでした。

一升びん 基本データ

<住所>〒515-0034 三重県松阪市南町232-3
<TEL>0598-26-4457
<営業時間>11:00~21:30(L.O:21:00)
<休業日>無休
<駐車場>あり

行き方・アクセス

<電車>JR東海・近鉄「松阪駅」から徒歩で約15分
<車>伊勢自動車道「松阪IC」から約20分

レトロなまちと地元グルメを堪能。明日への活力となる伊勢志摩への旅を

のんびりムードの伊勢志摩エリアの中でも、特に昭和レトロな雰囲気が漂う海辺のまちや城下町を巡り、伝統ある伊勢志摩グルメをたっぷりと堪能した男のひとり旅。
古き良きまちなみを歩きながら歴史に想いを馳せた伊勢の河崎、海辺のまち特有の心の広さを感じる人たちに出会い、こんなところで暮らす人生を味わってみたいなと思わせてくれた答志島がある鳥羽、伝統ある味でパワーをくれた松阪。都会で暮らしている人にこそ、ぜひ訪れてほしい、自分を見つめ直したり人生の息抜きをしたりするのにぴったりの旅コースです。

伊勢志摩観光ナビ

澤村洋兵

フォトグラファー
1985年生まれ、京都府出身。美容師、和食料理人、バリスタ、珈琲焙煎士などさまざまな職業を経験してきた異色の経歴を持つ。企業案件や広告写真、オンラインサロン主宰やSNSブランディングアドバイザーなど幅広く活動。YouTube「キョウトボーイズ|写真と京都と男旅」も人気。

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