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島尾伸三、野口里佳、川内倫子ら14名の作品による「明日の食卓」展が東京都写真美術館で開催。“食べること”や“共に生きること”について考えるきっかけを探る

東京 恵比寿の東京都写真美術館にて「TOPコレクション 明日の食卓」展が、2026年7月2日(木)~9月21日(月・祝)に開催。本展は、第1室「あのとき、あの食卓で」、第2室「食と地域のあいだに」、第3室「環境のなかで」、第4室「明日の食卓」の4章で構成された、“食”をテーマにした写真・映像の展覧会です。島尾伸三、原美樹子、野口里佳、潮田登久子、川内倫子、奈良原一高、山田實、宮本隆司、竹谷出、宮崎学、土田ヒロミ、楢橋朝子、岩井優、折元立身の14名の作家の写真・映像作品を約70点紹介し、"食べること"や"共に生きること"について考えるきっかけを探ります。展覧会図録には、食に関連した作品を多く手がけてきた、作家で歌人のくどうれいんによる寄稿を掲載。料理研究家の土井善晴をゲストに招いたトークイベントや、川内倫子とくどうれいんによるトークイベントも。

  • 開催期間:2026.7.2 ~ 2026.9.21
目次

「明日の食卓」展のみどころと構成、展示作品の一部をご紹介

「食」をテーマにした写真・映像の展覧会

第1室「あのとき、あの食卓で」、第2室「食と地域のあいだに」、第3室「環境のなかで」、第4室「明日の食卓」の4つの章で、14名の作家の写真・映像作品を紹介し、家族や自分自身の食卓の記憶、土地や環境の歴史、社会問題、食卓を軸としたコミュニケーションについて考えます。

注目の作品

島尾伸三《おやつ/求められていなかったのに、その気で、》〈生活 1980–85〉より 1980–1985年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵

潮田登久子《東京都目黒区》〈冷蔵庫〉より 1986年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵

島尾伸三(1948-)の〈生活 1980–85〉シリーズには、同じく写真家で妻である潮田登久子(1940-)と娘のマホとともに暮らした洋館での家族の日常が収められています。特定の家族の記録でありながら、どこか普遍的な親密さや懐かしさのある作品は、鑑賞者それぞれの記憶を呼び起こします。本展では、夫婦である島尾と潮田の作品を同室に展示、それぞれが見つめた家族の風景を紹介します。
人間社会の影響を受ける動物たちの生態を浮き彫りにした宮崎学(1949-)の〈イマドキの野生生物〉シリーズや、食事が他者と時間や空間を共有する行為であることを示した折元立身(1946-2025)のパフォーマンス作品〈おばあさんのランチ〉シリーズなどの魅力にも迫ります。

第1室「あのとき、あの食卓で」

川内倫子〈Cui Cui〉より 2005年 シングルチャンネル・ヴィデオ(223点のスライド) 作家蔵

原美樹子〈発語の周縁〉より 2004年 発色現像方式印画 東京都写真美術館蔵

日常において、ふと思い出す「食」の風景とはどのようなものでしょうか。一様ではないものの、家族とともに食卓を囲んだ記憶が思い浮かぶことも多いのかもしれません。「食」は記憶としても積み重なりながら、やがて私たちの血肉となって現在の身体をかたちづくっています。
第1室では、家族や自分自身の食卓の記憶をテーマに、島尾伸三、原美樹子、野口里佳、潮田登久子、川内倫子5名の作家の作品を紹介します。

第2室「食と地域のあいだに」

奈良原一高《浅草》〈ポケット東京〉より 1993-1996年 発色現像方式印画 東京都写真美術館蔵 ⓒNARAHARA IKKO ARCHIVES

山田實《手をつないで 糸満漁港》 1960年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵

街には、レストランやファストフード店など、食事をするための場所が数多く点在しています。東京都写真美術館があるこの恵比寿の地も、かつてヱビスビールの工場が置かれていた場所であり、飲食と深い関りをもつ土地です。もちろん、食と土地との結びつきは、都市の飲食店にとどまるものではありません。魚をとるために海に船を出したり、豊作豊漁を祈り神社への作物を奉納したりと、人々の暮らしのなかで、食はそれぞれの土地と密接に結びついています。都市で生活する私たちにとって、そうした土地と食との結びつきは、いつのまにか、見えにくくなってきているのかもしれません。
第2室では、奈良原一高、山田實、宮本隆司、竹谷出の作品をとおして、土地と食とのつながりをあらためて見つめ直します。

※竹谷出(1967–)が日本各地を旅して撮りためた〈にほんのかけら〉シリーズが、東京都写真美術館収蔵後初めて展示紹介されます。

第3室「環境のなかで」

宮崎学《捨てられたスイカの山に群れるイノシシの家族》〈アニマル黙示録 イマドキの野生動物〉より 1993-2012年 インクジェット・プリント 東京都写真美術館蔵

米の価格高騰や住宅地でのクマ出没など、食や暮らしをめぐる問題がニュースで取り上げられていたことも記憶に新しいのではないでしょうか。これまでニュースの中のものとして捉えていた食料価格の大幅な変動や野生生物の生活圏の変化が、私たちの生活と決して無関係ではなく、身近なものとして実感される機会も多かったように思われます。また、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故では、食の風評被害が広がるなど、食をめぐる深刻な問題も生じました。時間の経過とともに、復興が進められる一方で、その影響や課題は現在もなお続いています。
第3室では、こうした問題意識を背景に、人間の営みと自然環境との関わりを、宮崎学、土田ヒロミ、楢橋朝子、岩井優の作品をとおして考えます。

第4室「明日の食卓」

折元立身《500人のポルトガルのおばあさんのランチ(記録映像):サンベント・デ・カストリス修道院(ポルトガル、エヴォラ)》 2014年 シングルチャンネル・ヴィデオ 個人蔵 ©ART MAMA FOUNDATION

第4室では、これからの「食」、すなわち未来の食のあり方について考えます。私たちが生きる現代社会では、高齢化や孤食、一人暮らしの増加など、食を取り巻く環境が大きく変化しています。折元立身はこれまで、自身の母親との暮らしや世界各地の人々とのコミュニケーションを作品へと展開してきました。今回紹介する〈おばあさんのランチ〉シリーズでは、日本・福島県二本松市龍泉寺で地域の高齢者を募り共に食事をとるものや、ポルトガルの世界遺産都市エヴォラの修道院に500人のおばあさんたちを招き、踊り、歌い、食卓を囲むコミュニケーション・アートの様子がおさめられています。誰かと食卓を囲むとはどういうことなのか。折元の作品をとおして、食卓を一緒に囲むことの喜びや他者とのつながりから、「共に生きる」ことの意味をあらためて考えます。

※上記、写真、テキストとも「明日の食卓」展プレスリリースより

プロフィール

島尾伸三

写真家/作家 1948年生まれ。奄美大島で育つ。1974年東京造形大学造形学部写真専攻科卒業。1978年潮田登久子と結婚。ともに、中国・香港の庶民生活のリポートを始めて今日にいたる。

原美樹子

1967年、富山県生まれ、神奈川県川崎市在住。慶應義塾大学文学部卒業後、東京綜合写真専門学校で写真を学ぶ。1996年に初個展「Is As It」(ギャラリー・ルデコ)を開催。以降、国内外で作品を発表。クラシックなカメラを用い、あまりファインダーを覗かず、ピントも目測で合わせるスナップショットのスタイルを貫いている。2017年、日米仏で共同出版された写真集『Change』(The Gould Collection、2016年)により第42回木村伊兵衛写真賞を受賞。2023年には写真の町東川賞国内作家賞を受賞。写真集は他に『Small Myths』(Chose Commune、2022年)など。

野口里佳

写真家 1971年、埼玉県生まれ、沖縄県在住。日本大学芸術学部写真学科卒業。1992年より写真制作を始め、近年は立体や映像による作品も制作している。身近にある小さな命の営みから、遠い宇宙の壮大なスケールまで、独自の視点と透明感のある色彩で表現。〈フジヤマ〉(1997-2011年)、〈太陽〉(2005-2008年)、〈きゅうり〉(2017年)、〈クマンバチ〉(2019年)など数々のシリーズを生み出している。主な個展に「光は未来に届く」(IZU PHOTO MUSEUM、2011-2012年)、「不思議な力」(東京都写真美術館、2022-2023年)など。2002年、写真集『鳥を見る』等により第52回芸術選奨文部科学大臣新人賞(美術部門)を受賞。

潮田登久子

写真家 1940年、東京都生まれ。桑沢デザイン研究所で石元泰博と大辻清司の指導を受ける。1963年、同研究所リビングデザイン研究科写真専攻卒業。1966年~1978年、桑沢デザイン研究所及び東京造形大学で講師を務め、1975年頃よりフリーランス。身近な対象を淡々と観察し、ひとつひとつ記録するようにシャッターを切っていった。主なシリーズに〈冷蔵庫/ICE BOX〉〈マイハズバンド〉等。写真集『本の景色/BIBLIOTHECA』(ウシマオダ、2017年)により2018年に土門拳賞を受賞。このシリーズの最新作「玉里文庫 —鹿児島大学附属図書館貴重書庫の景色—」が2025年にPGIにて展示された。

川内倫子

写真家 1972年、滋賀県生まれ、千葉県在住。2001年刊行の写真集『うたたね』『花火』(リトルモア)により、第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。生と死、光と影といった、日常に存在する両極かつ隣り合わせの要素が、淡くやわらかい光と色調の中に浮かび上がる作品は国内外で高く評価されている。2013年芸術選奨文部科学大臣新人賞、2023年にはソニーワールドフォトグラフィーアワードの特別功労賞を日本人として初めて受賞している。2022-2023年、東京オペラシティアートギャラリーと滋賀県立美術館で大規模個展「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」を開催。

奈良原一高

写真家 1931年、福岡生まれ、2020年没。早稲田大学大学院在学中の1956年、初めての個展「人間の土地」で写真家としてデビュー。海外で多数の展覧会を開催、国際的に高い評価を受け多くの賞を受賞している。

山田實

写真家 1918年生まれ、2017年没。戦後沖縄写真の第一世代を代表する写真家。彼はアメリカ統治時代から本土復帰までの激動の時代において、人々の生活や子供たちの姿を見つめ続けた。1944年召集令状を受け、1945年満州で終戦をむかえ、シベリア抑留生活を送る。1947年に解放され本土へ復員。1952年に那覇へ帰郷、「山田写真機店」を開業した。以降、本土復帰から昭和後期、平成時代を通してカメラ店経営者として、またアマチュア写真家として活動。

宮本隆司

写真家 1947年、東京生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。建築雑誌の編集部を経て、1975年写真家として独立。1989年に第14回木村伊兵衛写真賞を受賞。1996年、第6回ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展に参加し、阪神淡路大震災によって破壊された建築物を撮影した写真を展示して金獅子賞を受賞。2004年、世田谷美術館で個展を開催ほか国内外のグループ展にも数多く出品している。2005年、第55回芸術選奨文部科学大臣賞、2012年紫綬褒章受章。

竹谷出

写真家 1967年、広島生まれ。1989年に1年間アフリカに滞在したことをきっかけに、写真への情熱に目覚めた。1992年に東京の写真専門学校に通い、その後、京都や名古屋で暮らした。作品には中国、韓国、日本の風景を捉えたものが含まれており、最近では古典的な写真技法を用いた作品を制作・発表している。

宮崎学

写真家 1949年、長野県生まれ。精密機械会社の勤務を経て、独学で写真家として独立。長野県に在住し、標高3000m級の山々に挟まれた伊那谷を拠点に、ほ乳類、猛禽類の動物写真を撮り続けている。近年では「自然界の報道写真家」と称して独自の分野を開拓し続けている。

土田ヒロミ

写真家 1939年福井県生まれ。会社員の傍ら、東京総合写真専門学校で学び写真家としての活動を開始。1971年退社後写真家の道を選び、日本人の民族性を追求した『俗神』(1976年)を発表、1970年代にニューヨーク近代美術館のコレクションに入るなど早くから国内外で評価を得る。長期継続するドキュメントとして、「ヒロシマ三部作」、冷戦構造の下で国家が二分に破壊されたベルリン、宗教、文化の衝突が破壊を生んでいるエルサレム、「フクシマ2011-2017」などがある。また、私的な記録として顔のセルフポートレイトを1986年から現在まで、毎日一枚撮影する継続作業「Aging」で、時間と「Memento Mori」という壮大なテーマに挑戦している。

楢橋朝子

1959年、東京都生まれ、在住。早稲田大学第二文学部美術専攻卒業。翌年、自ら発表の場として暗室も兼ねた「03FOTOS」をオープンし2001年まで継続する。1997年に写真集『NU・E』、2003年にはカラーで日本国内を撮影した『フニクリフニクラ』(蒼穹舎)、2007年『half awake and half asleep in the water』を刊行。他の写真集に『Ever After』(オリシス、2013年)『ギプス』(オリシス、2018年)、『春は曙』(オリシス、2021年)などがある。受賞歴に写真協会新人賞(1998年)、写真の会賞(2004年)、写真の町東川賞国内作家賞(2008年)。

岩井優

1975年生まれ、東京藝術大学美術研究科博士後期課程修了。国内外の地域にて参与的な手法で活動に取り組み、クレンジング(洗浄・浄化)を主題に、映像、インスタレーション、パフォーマンスを展開している。主な展覧会に、「ヨコハマトリエンナーレ2020 AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」(横浜美術館、2020年)、「新・今日の作家展2018 定点なき視点」(横浜市民ギャラリー、2018年)、「リボーンアート・フェスティバル2017」(宮城県石巻市街地、牡鹿半島、2017年)、個展「公開制作 83 岩井優 ハウツー・クリーンアップ・ザ・ミュージアム」(府中市美術館、2021年)、個展「コントロール・ダイアリーズ」(Takuro Someya Contemporary Art、2020年)など。

折元立身

現代美術家 1946年神奈川県川崎市生まれ。渡米しナム・ジュン・パイクの助手を務め、前衛芸術「フルクサス」に参加し活動の基盤を築く。代表作は、顔にパンを括り付けて歩く「パン人間」や、認知症の実母の介護体験をユーモアを交えて表現した「アート・ママ」シリーズ。日常やケアという身近なテーマをアートへと昇華させた稀有な作家として、ヴェネチア・ビエンナーレなど数多くの国際展で高く評価される。2025年逝去。

「TOPコレクション 明日の食卓」展 情報

開催日時

2026年7月2日(木)~9月21日(月・祝) 10:00~18:00
※入館は閉館30分前まで
※木・金曜は20:00まで
※8月6日(木)~28日(金)の木・金曜日は夜間特別開館のため21:00まで開館
休館日:月曜
※祝休日の場合は開館、翌平日休館

入場料

一般 700円(560円)
学生 560円(440円)
高校生、65歳以上 350円(280円)
( )は有料入場者20名以上の団体料金。
中学生以下及び障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)は無料
TOPMUSEUM PASSPORT 2026提示者は無料
第3水曜日は65歳以上無料
※8月6日(木)~8月28日(金)の木・金曜日17:00~21:00は、夜間特別開館による割引料金で、学生・高校生は無料、一般・65歳以上は団体料金。学生証・年齢が確認できるものの提示が必要

会場

東京都写真美術館 3階展示室

  • 〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
  • Google Map

行き方・アクセス

<電車>
JR線「恵比寿駅」東口から徒歩で7分
東京メトロ日比谷線「恵比寿駅」から徒歩で10分

関連イベント

トークイベント ゲスト:土井善晴

土井善晴

開催日時:2026年8月20日(木)18:30~20:00
登壇者:土井善晴(料理研究家、おいしいもの研究所 代表)、高橋朗(PGIギャラリーディレクター)
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名(事前申込制、抽選)
参加費:無料
備考:手話通訳、文字表示支援付き
申込期間:7月9日(木)~7月31日(金) 東京都写真美術館 WEBサイトにて申し込み

トークイベント ゲスト:川内倫子、くどうれいん

くどうれいん

開催日時:2026年9月13日(日)14:00~15:30
登壇者:川内倫子(出品作家)、くどうれいん(作家・歌人)
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名(事前申込制、抽選)
参加費:無料
備考:手話通訳、文字表示支援付き
申込期間:7月21日(火)~8月16日(日)東京都写真美術館 WEBサイトにて申し込み

TOPラボ:コレクションをじっくりあじわう3日間

TOPコレクション(東京都写真美術館収蔵作品)をより身近に親しみ、さらに深く探究する、多様な切り口からのプログラムを実施。

開催日時:2026年8月28日(金)~8月30日(日)
※詳細および参加方法は、後日東京都写真美術館 WEBサイト等にて告知。

担当学芸員によるギャラリートーク

開催日時:
2026年7月10日(金)14:00~(文字表示支援付き)
2026年8月14日(金)14:00~(手話通訳付き)
2026年9月11日(金)14:00~(手話通訳付き)
集合場所:3階展示室入口
料金:無料※当日有効の本展チケット(展覧会無料対象者は各種証明書等)が必要

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