初めてのひとり旅、どこ行こう?/ひとりで世界を歩いたら Vol.3
初めてのひとり旅、どこへ行こうか迷いますよね。楽しいと同時に、治安や言葉、ごはんの心配など、いろんなことが頭をかけめぐる。
いくつかおすすめしたい場所はあるのだけど、今回紹介したいのは、台南。日本からすぐ行けて、わくわくする冒険 & ほっとする安らぎの両方を味わえる街です。
台南は、その名のとおり台湾の南部にあります。台北からは電車で2時間ほど。
台南の魅力は、なんと言っても街に流れるおだやかな空気。
高層ビルが立ち並ぶ都会の台北と比べると、時間の流れがゆったりしてる。初めて台南の街に降り立った瞬間、それまでの緊張の糸がふわ〜っとほどけたことを、今でも覚えています。
レトロな街並みが広がっていて、初めて訪れた場所なのになぜか「懐かしい」と感じる瞬間も。
魅力的な路地がたくさんあるので、ただ歩いているだけでも楽しめます。ガイドブックとにらめっこしてガッチリ計画を立てる必要もなし。
数ある路地の中で、もっとも有名なのは「神能街」。雑貨屋やカフェが軒を連ねており、夜はランタンの灯がともって一層ノスタルジックな雰囲気に。
諸外国に比べて、治安も比較的よい街なので、ひとり旅でも夜のお散歩を楽しめるのがありがたいですね(とはいえ、人通りの少ない道や、深夜のひとり歩きはやめたほうがベターです!)。
個性的で楽しい宿に泊まれるのも、私が台南を好きな理由のひとつ。
前回訪れたときに宿泊した「U.I.J Hotel & Hostel」という宿は、私のいちおし。
おしゃれな内装に、清潔なお部屋。スタッフもみなフレンドリーで、チェックインのときにはルームキーと一緒に台南のガイドブックまで借してくれるという気の利きよう。
ひとりで泊まるなら、ドミトリーという相部屋タイプのお部屋がおすすめです。共有キッチンやシャワールームも清潔で、女性ひとりでも安心して泊まることができるので、「ドミトリーは興味あるけど、なんだか不安…」という人にこそ泊まってみてほしい宿です。
ジブリ映画が好きな人には、すこし足をのばして安平(アンピン)という地区を訪れるのもおすすめ。
「安平樹屋」という場所は、まるでラピュタの世界。長い年月の中で建物が木々に覆われ、今では幻想的な空間になっています。
ガジュマルの根のあいだから差す光をじっくり眺めていると、映画の中に迷い込んだような気分に。
もし春・夏に訪れるのならば、ぜひ味わってほしいのがマンゴー。
台湾といえばマンゴーを思い浮かべる人も多いと思いますが、台南のマンゴーはとくに美味しいのです。旬のマンゴーはとろけそうなほど柔らかく、ねっとりとして濃い甘さは絶品。
とくにマンゴー好きでもなかった私でさえ、あまりの美味しさにフルーツ店を何軒もハシゴしたくなったほど。
ひとりでかき氷を頬張る人が珍しかったのか、「それ全部ひとりで食べるの?」「美味しい?」と周囲の人から声をかけられたこともありました。ふだんは人見知りな私ですが、台南のあったかい空気の中にいると、自然とおしゃべりしてしまいます。
落ち着いた雰囲気だけど活気があって、ただ歩いているだけでも、ほっと心がほぐれるような街。伝統と歴史を大事にしながらも、新しいものが生まれる街。
初めてのひとり旅でどこへ行くか迷ったら、台南、いかがでしょう?
【ひとりで世界を歩いたら】バックナンバー
ぽんず(片渕ゆり)
1991年生まれ。大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いから退職。2019年9月から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。