【ひとりで世界を歩いたら Vol.1】それでもひとりで旅がしたい

ぽんず(片渕ゆり)<連載コラム>

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4年勤めた会社を辞め
旅に出ることを選んだぽんずが送る
ひとり旅のおはなし

【ひとりで世界を歩いたら Vol.1】それでもひとりで旅がしたい

ひとり旅をしていると、必ず聞かれることがある。

「なんでひとりなの?」

「ひとりで、大丈夫なの?」そう聞かれたことも、数えきれないほどある。心配してくれる人もいれば、「女がひとりで旅なんて、とんでもない」と眉をしかめる人もいた。

「日本はこんなに安全なのに、わざわざ海外なんて行く人の気が知れない」

かつて勤めていた職場で、すこし大きな声で先輩がそう話すのを耳にしてしまったこともある。ちなみにその会社には4年半のあいだ勤めたけれど、生きてるあいだにどうしても長い旅がしたいという気持ちがおさえきれず、結局退職した。

ひとりでふらふらと旅を続けていたところ、最近では、「ひとり旅をしたいけど不安で」と相談を受けることも増えてきた。そうだよね、と思う。不安を感じない人のほうが少ないはず。

かくいう私も、旅は不安だ。

いつも心配と向かい合わせ。スリに遭ったらどうしよう、飛行機に乗り遅れたらどうしよう。100%の安心も安全もない。失敗しても誰も責められない。日付を間違え買ってしまった切符をめそめそ泣きながら握りしめていても、誰も頭を撫でて慰めてはくれない。

それでも、旅をしていると、寂しさも不安も吹き飛ばすような瞬間が訪れる。

飛行機で隣の席に座った人が、生涯の友人になるかもしれない。あてずっぽうで入った地元の食堂の味に感激するかもしれない。ふらりと曲がったその道の先には、ガイドブックにもインスタにも載っていない絶景が待ち受けているかもしれない。街角で耳にした音楽を、折にふれて何度も思い出すかもしれない。

あ、このために生きてきたのかな?とさえ思えるような時間が、あなたにもきっと訪れると、私は信じてる。

それに、忘れがちなことだけれど、日本にいたって100%の安全なんて誰も保障できないのだ。だったら、見たい景色を見てから死にたい、と私は思う。その気持ちを否定できる人なんて、この世に誰ひとりいない。

私が旅をし始めた10代のころ、旅のことを相談できる相手はまわりにいなかった。

でも今は、SNSもあるし、ひとり旅の情報もずいぶん得やすくなってきている。このコラムだってそのひとつ。

もし、あなたがひとりで旅に出るかどうか迷っていて、その理由が「ほかの誰かがやめろと言ったから」なのだとしたら、私は「ちょっと待って」と言いたい。だって、最終的にどうするかを決める権利は、いつだってあなた自身にあるはず。

迷いをもって、ここにたどり着いてくれたあなたの背中をちょこんと押すのが、私の役割なんじゃないかな?と思っている。心配性のご両親や寂しがりの恋人、仕事ホリックな上司があなたを引き留める役なら、私はここから「行っちゃえ」とささやく役になりたい。もちろん、最後に決める権利はあなた自身にある。

あなたが決めたその瞬間から、旅はもう始まっている。

ぽんず(片渕ゆり)

1991年生まれ。大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いから退職。2019年9月から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。

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