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【表現者が人を撮る理由 #6】長田果純

変化する被写体「人」を独自の視点と作風で表現する写真家たち。
ふとした表情、予想もつかない動き…人に魅了され、夢中でシャッターを切ってしまう表現者たちの熱量、被写体との間に生まれるケミストリーを胸いっぱいに感じてください。
#6は、自身の感覚を軸に空気まで切り取るフォトグラファーの長田果純さんです。

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長田果純(おさだ かすみ)

写真家 1991年生まれ、静岡県出身。14歳の頃から写真を撮り始め、現在はポートレート撮影やファッション、アーティスト写真、映画スチール、小説への寄稿など、活動は多岐にわたる。個展に「透明になることは二度とない」(2014年)、「いまは夜のつづき」(2016年)、「平凡な夢」(2019年)、「漂流する朝」(2020年)がある。
愛用カメラ:PENTAX SP、PLAUBELmakina670/、Mamiya645、Konica Hexar RF、ニコンF、Canon EOS 5D Mark IV

忘れたくないほどに愛おしくて

Model/前田エマ

神代植物公園を散歩しながら、PENTAX SPで撮影。
「桜が満開の頃でしたが、そちらには目もくれず、真っ赤な椿の美しさに惹かれました。プライベートで会うのはこの時が2回目。まだ少し緊張していたので、今ではもう撮れないような距離感があるのも気に入っています」。

自分の視点でその人の魅力や“好き”をたくさん見つける

長田さんにとって写真とは、信じていること。救われるもの。
「13~14歳の頃、学校に行かず、ずっと家の中で過ごしていた時、たまたま見た映画の主人公がカメラを使っていて、”写真を撮る側の人がいる”ことを再認識しました。気分転換も兼ねて、家にあったフィルムカメラで、庭に咲いている花や家の周りの景色などを撮り始めたんです」という長田さんが人を撮るようになったのは、大切な人ができたから。
「撮る時は、被写体に近づきすぎず、自分とその人の距離に嘘をつかないことを意識しています。あとは感情に任せて撮っているので、そういった意味では”無意識”です。考えると”考えた写真”になってしまうので、目の前のすべてにどれだけ自分を委ねられるか、だと思っています。被写体にもあまり考えさせず、そのままでいてもらう。そこにいるだけで十分魅力的だと思っているので、無理に引き出そうとはしません。相手に興味を持ち、肯定し、あなたのすべてを受け入れているよという気持ちです。距離を縮めるだけがコミュニケーションではないと思っているので、自分の視点でその人の好きな部分や魅力的だと思う部分をたくさん見つけます」。

被写体に興味を持ち、肯定し、すべてを受け入れる

Model/江崎奈々帆

Model/江崎奈々帆

YUKI SHIMANEというブランドの秋冬ルックのイメージ写真で、1930~40年代、お屋敷で暮らすお嬢さんが今季のテーマ。
「廃校になった小学校の懐かしい雰囲気、真っ白なニットとスカート、同じくらい白く透き通る肌に光があたり、曇りのない眼差しや意志のようなものから、少女感のなかにある芯の強さが伝わってきました。PENTAX SPで撮影」。

思わずシャッターを切りたくなるのは、目の前のすべてを忘れたくない時

「それが人でも景色でも服でも花でも、撮る時の気持ちにほとんど差はありません。忘れたくないと思うほど愛おしいから、というだけです。ただ会話できることは、人を撮る唯一の面白さかもしれません」。

Model/小谷実由

プライベートでも仲良しの小谷さんが引っ越しすることになり、住んでいた部屋の写真を残しておきたいということで撮影。
「彼女に好きだった場所を聞きながら、PENTAX SPで撮りました。引っ越して空っぽになった部屋、もう来ることのない場所で最後の記念に」。

Model/明澄

地方の築約100年の古民家に宿泊し、友人と制作した冊子『noon』の1枚。
「一人の女の子を見つめる中でふと生まれるものや少女から女性になるまでの移ろいをすくい取れたら…という思いで、なるべく自然な形で静かに撮影」。

Model/廣瀬真織

Canon EOS 5D Mark IVで撮影した、YUKI SHIMANEの春夏ルックの写真。
「コロナ渦に製作され、デザイナーさんの”来年は今年の分まで楽しく過ごせたら”という想いが込められていたもの。まだ暗いところからは抜け出せない、けれど未来への期待を込めて…そんなことを思いながら、淡い光の入る窓際に立ってもらいました。バレエを習っていたモデルさんで手先や立ち姿が美しく、その佇まいだけで感じ取れるものがあったので、あえて表情が読み取れないくらいに」。

長田果純 Instagram
長田果純 Twitter
長田果純 公式WEB

GENIC VOL.58 【表現者が人を撮る理由】
Edit: Yuka Higuchi

GENIC VOL.59

特集は「だから、人を撮る」。
最も身近にして最も難しい、変化する被写体「人」。撮り手と被写体の化学反応が、思ってもないシーンを生み出し、二度と撮れないそのときだけの一枚になる。かけがえのない一瞬を切り取るからこそ、“人"を撮った写真には、たくさんの想いが詰まっています。泣けて、笑えて、共感できる、たくさんの物語に出会ってください。普段、人を撮らない人も必ず人を撮りたくなる、人を撮る魅力に気づく、そんな特集を32ページ増でお届けします。

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