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【撮影と表現のQ&A】平間至/Q.「写真館」を続ける意味は何ですか?

さまざまな写真家、フォトグラファー、クリエイターが登場するQ&A企画。
「知ることは次の扉を開くこと」。
今回は、カメラをひとつの楽器として写真と音楽をつなぐ、数々の広告やミュージシャンを撮影してきた写真家の平間至さんに質問です。

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平間至

写真家 1963年、宮城県塩竈市生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、写真家・伊島薫氏に師事。タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」のキャンペーンポスターをはじめ、多くのミュージシャンの撮影を手がける。2006年よりゼラチンシルバーセッションに参加。2008年より「塩竈フォトフェスティバル」を企画・プロデュース。2012年より塩竈にて、音楽フェスティバル「GAMA ROCK FES」を主宰。2015年1月、東京・三宿に平間写真館TOKYOをオープン。
愛用カメラ:Nikon D6
愛用レンズ:AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G

Q.「写真館」を続ける意味は何ですか?

A.天職だなと素直に思えたから。

クライアントであり、被写体であり、鑑賞者でもある。そのミニマムな空間が写真館なんです

「平間写真館TOKYOを始めたきっかけのひとつが、東日本大震災。おじいちゃんが宮城県・塩竈市で昭和元年から写真館を営んでいたんです。父の代まであったんですけど、僕が東京に出てきて休業のようになっていたんです。そんなとき震災があって、避難所に行くと片隅にひらま写真館の写真が置いてあったり、あるおばあちゃんがひらま写真館の台紙に入った成人式の写真を持ってきて『これを持って逃げたんだよ』なんて言われたりして。僕はメディアの中でいろんな写真を撮影してきたんですね。ビルボードだったり、化粧品の売り場には、ほぼほぼ僕の写真があったり、街中の自販機に作品があったり。だけどいまひとつ実感が持てないと思っていたんです。僕の名前がそこにあるわけでもないので、誰も僕が撮ったなんて気づきもしないですよね。当たり前のことですけど。大海に石を投げているような。投げても投げても返ってこないというか。そんなときに震災を経験して、写真の大切さに改めて気づいたというか、自分ができることはなんなのかと自分に問いただしたときに写真館が浮かんできたテーマだったんです。あとですね、最も効果的に写真の影響を与えられるのが写真館ではないかと考えたんです。家族の写真を良く撮ってあげたらそれによって家族が仲良くなったりとか、直接的な写真の効果を感じられる。被写体でありクライアントであり鑑賞者である、そのミニマムな空間が写真館なんですよね。去年から僕の今までの作品を展示する回顧展が始まったんですけど、最初の京都の展示を見たときに、僕はこのまま写真館の写真を続ければいいんだなってとても素直に思えたんですね。天職というか、自分のやりたいテーマと写真っていうのが合致したのが写真館なんだって思いました。なるべく死ぬまで撮れたらいいなって思ってます」。

いちばん大切なのはどう撮るかではなくどうやって気持ちをシンクロさせるか

「被写体はね、勝手には動き出さないですよ。普通は固まります。だけど僕が大切にしてるのは被写体の自発性なんですね。『こうしてください』って言われた笑顔ではなく、心から笑っている笑顔を撮るにはどんな環境をつくるか。晴れの日の写真に嘘がない方がいいですよね。それを残してあげたいって思います。そのために撮影前後の時間を大切にしてます。平間写真館の特徴としては『笑ってください』は絶対言ってはいけない言葉なんです。それってお願いじゃないですか。どう撮るかではなく、どうコミュニケーションをとって被写体と気持ちをシンクロさせていくかだと思うんです。その分めちゃくちゃ疲れますけどね、毎回へっとへとです(笑)」。

平間写真間で「笑ってください」は言ってはいけない言葉。だってそれは“お願い”だから

平間写真館 TOKYO

東京都世田谷区池尻2-7-12 B1
☎03-6413-8400
営業時間:10:00~19:00(水曜定休)

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GENIC vol.67【撮影と表現のQ&A】平間至/Q.「写真館」を続ける意味は何ですか?
Edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.67

7月号の特集は「知ることは次の扉を開くこと ~撮影と表現のQ&A~」。表現において、“感覚”は大切。“自己流”も大切。でも「知る」ことは、前に進むためにすごく重要です。これまで知らずにいたことに目を向けて、“なんとなく”で過ぎてきた日々に終止符を打って。インプットから始まる、次の世界へ!
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