Focal Length
今回のテーマは「その瞬間にしか撮れないもの」。
普段人物を撮影する際、「その人、その瞬間しか撮れないもの」を撮影させていただいている。と思っている。
その人の年齢や経験によって写真に出る雰囲気は異なるからだ。
そして、それがさらにポートレートに深みを出してくれると思っている。
それは景色でも同じで、その季節や時期でしか撮影できないものには、どこか特別な美しさがある。
春は桜。


今までポートレートに比べるとランドスケープに対して、それほど撮影意欲がなかった。
自分はファッションが好きで、人を撮影することが好きだったから。
風景を撮るときも自分に思い入れのある場所や、ゆかりがある場所以外は、あまりカメラを向けることがなかった。だからこそ今回は、新鮮な気持ちで桜とじっくり向き合ってみようと思う。


NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 SそしてNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sを借りて夜の桜を探しにいく。
たくさんの方が観に行く桜より、静かに美しく咲く桜。


夜の桜は引いて撮影しても寄って撮影しても面白い。
レンズの焦点距離を変えて撮影すれば、色々見えてくるものがある。


満開に見える桜も枝によってはまだまだ蕾があったり、一枚一枚の花びらの色の濃淡に差があったり。引いて見たときに、木々によって枝の伸び方が全然違っていたり。
ポートレート撮影をしているときと同じように、レンズを通すと、見えていなかった情報がたくさん溢れてくる。


人生で初めて、しっかりカメラを持って夜桜を撮影する経験はまた自分に違う景色を見せてくれた。
カメラを通じて知らない自分に出会う。
好きなZfを通じてまた新しい好きを見つける。
レンズを変えればまた面白さが変わって、知らない間に桜の沼にどっぷり浸っている。
花の美しさを、カメラを通じて再確認する。

自分が知らなかった楽しさがまたここにはあった。
次はもっと花一つ一つと向き合って撮ってみたくなった。
プロフィール

古屋呂敏
俳優・フォトグラファー1990年、京都生まれ滋賀/ハワイ育ち。2016年より独学でカメラを始める。NikonZfを愛用。父はハワイ島出身の日系アメリカ人、母は日本人。MBS/TBS「恋をするなら二度目が上等」(2024年)などに出演。俳優のみならず、フォトグラファー、映像クリエイターROBIN FURUYAとしても活動。2022年には初の写真展「reflection(リフレクション)」、2023年9月には第2回写真展「LoveWind」を開催。
古屋呂敏「MY FOCAL LENGTH」写真展のお知らせ

ニコンプラザ東京、ニコンプラザ大阪にて「MY FOCAL LENGTH」写真展が開催されます。
古屋呂敏がNikon Zfで撮影した本連載の掲載作品に加え、新たに撮り下ろした作品も展示されます。
写真展の入場は無料です。是非、お誘い合わせの上ご来場ください。
ニコンプラザ東京 THE GALLERY
2025年6月17日(火)~6月30日(月)10:30~18:30 ※最終日は15:00まで
休館日:日曜
ニコンプラザ大阪 THE GALLERY
2025年7月10日(木)~7月23日(水)10:30~18:30 ※最終日は15:00まで
休館日:日曜