写真展 【 emergence × Rin Kataoka 】開催詳細
開催日時
2022年9月6日(火)~9月11日(日) 10:00~19:00
※最終日のみ17:00まで
会場
Nine Gallery
東京都港区北青山2-10-22
入場料
無料
行き方・アクセス
<電車>東京メトロ銀座線「外苑前駅」出口3より徒歩で約3分
武井宏員さんと酒井貴弘さんに「emergence」についてインタビュー
写真展「emergence」は今回で2回目の開催ですね。今回より雑誌GENICも連載で、連動させていただくことになりました!
改めて「emergence」の意味、そこに込めた想いを教えていただけますか?
酒井:まずこのプロジェクトをやるにあたり、僕と武井さんの共通点について考えました。
4、5年くらい前の同時期から写真家を始めて、お互い状況や環境、目指すところは違いながらも、次のステップを目指すためにお互いSNSなどでがんばって、少しずつやってきたというところが一緒だな、と。
これからも新しいことをしながら前に進んでいくために、「羽化=emergence」というテーマがいいなと思いました。
武井:このプロジェクトは完全に自主企画なんです。だからこそ、相当に意味がないと、そもそもなぜやる必要があるの?となる。だからテーマはとても重要視しました。
今までのことを振り返り、今後への意気込みという意味をこめたい。そこで酒井さんが話したとおりのこともあり、「emergence」に決定しました。
2月に開催した「emergence」では過去の写真から展示されましたが、今回は女優の片岡凜さんを撮り下ろしされましたね。
武井:2月にやった写真展「emergence」は、シリ-ズ0(ゼロ)という位置づけです。今後に向けての"決意"というものがゼロには入っていたんです。
環境も目標も自分たち自身も常に変化していく中で、写真も変わっていく。だから、過去の作品を振り返ったとき、今の目標とか考えとか想いという視点から見直すと、新しく生まれてくる写真っていうのがあって。それをゼロの写真展に反映しました。
そして今後の「emergence」は、自分たちだけじゃなくて、同じ「羽化」というテーマで一緒に作品を作れる人を撮っていきたいと思っています。新人だけじゃなくて、何かですでに輝いているけれども、新しく何かにチャレンジするタイミングだったり、という方も含めてです。
今回の片岡凜さんは、武井さんが「大人」、酒井さんが「少女」というテーマで撮影されました。このテーマはどのように決まったんですか?また、どちらがどちらを撮る、という話し合いは?
酒井:19歳という年齢からも、本人の魅力から見ても、大人と少女のはざまにいるのかな、というところを感じて決めました。
どっちが大人を撮るか、少女を撮るか?はどっちでもよかったんですが、いつもの作風からいって、僕が少女のほうがいいんじゃないか?となりまして。
武井:酒井さんが女子高生が好きで、制服が好きというからです(笑)。どこまで本気かわからないですけど。そんな話を、僕的には考慮しました(笑)。
と武井さんはおっしゃってますが、酒井さん、そのお話を聞いていかがですか?(笑)
酒井:いや…(笑)逆に、制服ってあんまり撮ったことがなくて。作品でも仕事でもあまりない。だから少女というテーマで制服で撮ってみたいな、というところは確かにありました。これが今回の僕の「羽化」、チャレンジです。
制服がいつも好きってわけじゃないんですけど。まあ嫌いではないです(笑)。
制服って撮るのがむずかしくて…本当に挑戦でしたね。
武井:お互い割と「まあいいんじゃない?」という感じでやってきてるので、どっちが大人でも少女でもいい、という感じで、2人で柔軟にやってます!
今回、撮影はそれぞれ別日でされたんですね。元から撮影はバラバラで行う予定だったのでしょうか?
武井:同じ日で撮影というプランもあったのですが、少女と大人と2テーマあったので、片岡さん的にも、別日で撮影したほうが気持ちが持っていきやすいということもあって、違う日になりました。酒井さんが先に撮影して、翌日僕が撮影しました。
酒井さんは「少女」というテーマがある中で、どういうことを考えて撮影場所などを選んだのでしょうか?
酒井:僕は、制服をどこで撮ろうかなというのがまずありました。「少女」だけじゃなくて、「少女=矛盾」みたいなことをテーマにしたいと考えていたので、あまりポップじゃない表現で撮りたいというのがあって。一方で、少女の無邪気さを撮れるようなところも欲しくて、それが両方撮れるように、近くに古民家カフェ的なところがある、夕方の海辺で撮影しました。
撮影日に雨が降ってほしいと思っていたとお聞きしましたが…?
酒井:そうなんですよね。
どしゃ降りの雨に濡れながら涙を流す、というようなことを考えたりしてたんです。緩急がついておもしろいかなと思ったんですけどね。けっこう…晴れてましたね(笑)。
一方で…武井さんの撮影日は、大雨、まさにどしゃ降りでした!武井さんは、酒井さんの作品を見てから撮影を?
見なかった…ですね。もちろん興味はあるんですけど、結局、自分との向き合いだし、もう撮ることは決めていたので。
酒井さんは「少女=矛盾」、武井さんも「大人」だけではなくてさらに深掘ったテーマを持っていたのでしょうか?
武井:事前に、「大人とは?」というアンケートをSNSやまわりの人にとってみたんです。そしたら、自由を手に入れた人、とか、感情をコントロールできること、とか、泣ける人、とか、いろいろおもしろい回答をもらって。そこから自分なりに解釈した文章を、今回GENICの連載ページに掲載したのでぜひ皆さんにも見てほしいんですが。
「大人とは揺らぎ」というのが、けっこう大きなキーワードで、それで撮影を組んでいきました。
大人という中にいる片岡凜、というようなところを考えて、あえて遊園地でも撮影しました。
GENICの掲載写真の中にも、ノイズだらけみたいな写真がありますが、それもそういった「揺らぎ」みたいな理由から選んだものです。
撮影中はすごい雨でしたが、遊園地貸切状態!多分人生において最初で最後の遊園地ジャックな気がします。最高でした!
実際、片岡さんを撮ってみてどうでしたか?
酒井:僕は初めてで、写真でしか見たことがなかったので、「お姉さん」みたいなイメージがあったんですけど、お会いしたら、可愛らしくて、高校生!みたいな感じで意外でした。
実際撮ってみても、少女らしさがしっかり撮れたと思います。まだデビューしたてで、演技を昔からやってたわけじゃないということなのに、感情のコントロールがすごく上手で驚きました。
「涙を流す」という表現も、自然に、すぐにできて、すごいなと思いました。もうすごく「女優さん」なんだなと感じました。
武井さんはいかがでしょうか?
武井:僕は3回目なんですけど、過去の撮影のときから、表現の幅がすごいなと思っていました。強い感情を感じてほしい、と言ったら、一瞬のうちに涙を流したり。そういう感情コントロールができて、演技力のある中であえて、今回の展示のメインの写真は、「素」という感じの写真にしました。
大人というテーマであっても、その中にある少女っぽさというか、一番素の本人が写っているものにしたんです。ぜひ、会場で見ていただきたいです。
お互いの作品を見て、どう思いましたか?どんな感想を言い合ったのでしょうか?
武井:「いいっすねー」って(笑)。安定のヒロさんぽくていいっすねーと。
酒井:同じです(笑)。「いいっすねー」。
シンプルなんですね(笑)。写真展では何点くらい展示されるのでしょうか?展示スタイルはそれぞれが考えたものですか?
酒井:展示は2人それぞれです。僕は額装するものがあったりなかったり、で20点くらい。
武井:僕は全部額装で、50点ほど展示します。
展示はそれぞれに考えていますが、GENICの誌面に掲載した写真や、写真展告知のバナーなどの写真は、バランスだけ相談しました。抽象的な表現同士にならないようにとか、寄りがあったほうがいいよねとか。
来場者の皆さまに見ていただきたいポイントを教えてください。
酒井:矛盾があるからこそいろいろな感情になる、だからこそ生きてる感じがあるのかな、少女の頃は。そんな風に感じていたので、いろんな感情を通して、普段見えないような、片岡さんの表情とか見え方が出せたらいいなと思って撮りました。
「少女」という解釈から見える、いろんな側面からの片岡さんを見てもらえたらなと思ってます。
一部見させていただいているだけでも、本当にいろんな表情があってワクワクします。武井さんはいかがでしょうか?
武井:羽化というテーマでもあるし、片岡さんにとっても自分にとっても、新しいチャレンジをしなきゃ意味がないなと思って撮っているので、うまくいかなかったこともあったけど、それも踏まえて、それごと見て欲しい、と思ってます。
うまくいかなかったこととは?
武井:個人的には新しいチャレンジだからこそ、このプロセス自体に慣れてない部分もあった。
今回は、写真集を作るような気持ちでやったんです。展示も、ページをめくるように。だからこそ50点という展示数になりました。
でも、写真集って、僕にとってはすごくむずかしい。ただいい写真を数枚撮るだけではなく、いい写真+バリエーション、さらに物語、と全部考える。限られたタイミングやリソース問題もあります。
酒井さんは写真集も撮影されてて、ほんとリスペクトしてます。
だから、ある意味不完全、というか、新しいところへ挑戦した想いも感じてもらえたら、嬉しいです。
こういうことやったんだ、見たことないな、みたいなことを想像しながら見ていただくと、見え方が変わるのかもしれないなと思っています。
今後もGENICの発売とあわせながら、年4回、写真展を行っていくという企画になっています。将来に向けての展望をお聞かせください。
酒井:新人さん、などに限らず、「emergence」という可能性の幅を広げていきたいです。撮ってみたいと思う人と出会うことも楽しみだし、これに出たいと思われるようにプロジェクトになっていったらいいな、と思っています。
出演してくれた人が、これもひとつのきっかけとなって、より大きな場所に出ていけたり、数年後にすごい場所に立っていたりしたら嬉しいですね。
武井:出演してくれた人にも、出演してよかったなと思ってもらうことが大前提にあります。そして、GENICの誌面での連載は形として残っていくし、挑戦者たちの登竜門的な連載になっていくと嬉しいなと思っています。
もう一つ、自分視点で話すと、「emergence=羽化」というのがそもそものテーマなので、自分自身が納得できるものを出していけたらいいな、というか、自分がそれに納得できるようになれたら嬉しいな、というのがあります。
今回のように自分自身も新しいチャレンジを続け、「emergence」が、自分がいいものを作れたなと思える場所になったらいいなと思っているし、参加してくれる人にとっても、羽化や飛躍の場所になったらいいなと思っています。
今後、連載を続けるごとに、出演者、そして作品が増えていくのが本当に楽しみです!毎回の2人のチャレンジにも期待してます!
武井:写真展の会場では「emergence×片岡凜」の作品集も販売しています。GENIC 10月号も販売しているので、よろしければ手に取ってみてください。
武井宏員 プロフィール
写真家・事業家 大阪生まれアメリカ育ち、東京在住。NYCでスタジオを立ち上げ、ファッションフォトグラファーとして活躍。2018年の春に、広告代理と委託撮影を主な事業とする写真家プラットフォーム株式会社CURBONを設立。現在も、経営者でありながら、人物や広告写真を撮影する写真家として活動中。写真集『...and after』が発売中。
酒井貴弘 プロフィール
フォトグラファー 1986年生まれ、長野県出身。「私が撮りたかった女優展」への参加や、NGT48本間日陽1stソロ写真集の撮影など、俳優やアイドルの撮影に強みを持った活動を行いながら、これまでの形に囚われない新たなフォトグラファーキャリアを模索している。
GENIC vol.63
GENIC10月号(vol.64)のテーマは「写真と歩む、それぞれの人生」。
新連載「emergence」は4ページで掲載しています。