プロフィール
本間理恵子
写真家 新潟市在住。2010年より独学で写真を表現手段に作品制作を始める。逃避と境界をテーマに、目には見えない心の内側や、人と世界のあいだにある曖昧な領域を写真によって表現している。代表作に、ガラスの箱を心のシェルターに見立てた「cube」シリーズなど。国内外で作品を発表するほか、書籍装幀への作品提供なども行っている。
昨年に続き、今年も銀座のArt Gallery M84で写真展を開催します。
今回の『此処』では、長く撮り続けてきた「cube」と、人と自然の境界がほどけていく身体を写した「rooted」の2シリーズを展示します。
写真を通して、境界の内側と外側、そのあわいにあるものを感じていただけたら嬉しいです。
今年も七菜乃さんとの同時開催となります。ぜひ会場で作品をご覧ください。
ステートメントと解説、展示作品の一部をご紹介
ガラスの箱の内側と外側。
衣服をまとう身体と、何も身につけず草木の中にある身体。
私はこれまで、人と世界のあいだにある境界を撮ってきた。
cubeは、現実から身を守るための小さな避難所として始まった。けれど撮り続けるうちに、その境界は、閉じるためだけではなく、外へほどけていくためのものにも見えてきた。
いつか死ぬとき、植物になれる道を選べたらと思う。身体の輪郭が失われ、草や土、光や風景の一部になっていく。
ここに写るのは、人であることと自然へ還ることのあわいにある身体。
此処は、閉じこもる場所であり、ほどけていく場所でもある。
── 本間理恵子
写真展『此処』は、「cube」と「rooted」の2シリーズで構成されている。
「cube」では、複雑な内面を持つ被写体と、外側の世界との関わりを映し出そうとしている。この世界には多くの情報が溢れている。ネガティブな感情を引き起こすニュースや、匿名の悪意、言葉の凶器。それらに触れるとき、自分の殻に閉じこもり、現実から逃げ出したくなる。誰かと繋がりたいという願望と、それを叶えられない隔たりから生まれる葛藤。現実からの逃避が、このシリーズの中心的なテーマである。
作品に登場するガラスの箱は、内側を人の心、外側を現実世界とみなし、その二つを隔てる境界を表している。一見すると孤独で閉塞的なこの箱は、同時に、ストレスの多い現実から一時的に逃げ込むことのできる「心のシェルター」でもある。
自分自身の弱さを受け入れることから生まれたこの作品には、もし同じように傷ついた人がいるなら、その心をそっと守る場所であってほしいという願いが込められている。
「rooted」は、人として生きる時間が終わったあとも、別のかたちでこの世界の一部として存在し続けることができたなら——という想像から生まれたシリーズである。人間という輪郭を静かに離れ、ひとつの生命から、より大きな生命の循環へと回帰していくことをめぐる物語でもある。
このシリーズでは、植物、流木、砂、草むらなど、自然の中に裸の身体を置いている。衣服を脱ぎ、社会的な情報を失った身体は、次第にその輪郭を曖昧にし、人と自然を隔てていた境界がほどけていく。
もし人生の終わりに、植物になるという未来を選べるとしたら。土に還るのではなく、そこに根を下ろし、身体は少しずつ土や砂に沈み、枝や葉に覆われ、やがて風景の一部になっていく。それは消滅ではなく、人間というかたちを離れ、かつて自分もその一部であった大きな生命の循環へと還っていくイメージである。
── 本間理恵子 写真展『此処』プレスリリースより
本間理恵子写真展『此処』情報
開催日時
2026年10月20日(火)〜11月1日(日)10:30~18:30
※最終日は17:00まで
入場料
500円(税込)
※成人限定
※同時開催 七菜乃 写真展「unlearn」と共通
会場
- Art Gallery M84
- WEB
- 〒104-0061 東京都中央区銀座四丁目11-3ウインド銀座ビル5階
- Google Map
行き方・アクセス
<電車>
東京メトロ日比谷線「東銀座駅」歌舞伎座タワー(KABUKIZA TOWER)出口から徒歩で1分
東京メトロ銀座線「銀座駅」A2出口から徒歩で2分
都営地下鉄浅草線「東銀座駅」A7出口から徒歩で1分
本間理恵子 写真集『此処』 情報
作品展の会場にて販売
