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【透明感を追い求めて:6】葵

見る人の心にスッと寄り添う、透き通るような"素肌"の美しさ。
なぜ見る人の心を惹きつけるのか。そこに宿る"透明感"の正体とはいったい何なのか。
第一線で活躍する写真家たちが切り取った、一瞬のきらめきの先にあるそれぞれの透明感。そしてそこにある想いに迫りました。
6人目は、日常の先にある青の世界に誘うZ世代のフォトグラファー、葵さんです。

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21世紀生まれの写真家 2001年生まれ、埼玉県出身。高校一年生の冬からフィルムカメラで学校生活を撮り始めSNSで発信。プールで撮影した青の写真が話題となり、米原康正氏のグループ展に参加。その後も活発に青をテーマに自分の作品を制作しながら広告やPVなど活躍の場を広げる。2021年に写真集『drop』(湖畔)を発売し、東京と京都で個展を開催。10代のためのメディア&コミュニティ『Steenz』にて連載中。
愛用カメラ:PENTAXSP、CONTAX 137MA QUARTZ、Nikon FT
愛用レンズ:Super Takumar 35mm F3.5、Super Takumar 50mmF1.8、NIKKOR 35mm F2.8

光と色と静かさの先に。

「屋上での撮影です。逆光で写し出される肌の質感に魅力を感じシャッターを切りました」。
葵さんのアイデンティティでもある青の世界観を引き出すため、屋外で撮影するときは夕方のオレンジの光ではなく朝や昼の澄んだ光を選ぶようにしているそう。

「実は大きな鏡越しに撮影していて、鏡に空と脚を写してそれを撮影することで、平面的で少し独特な印象をもたせています」。

水色が織りなす透明感と空気感に魅せられて

”透明感”、そして葵さんの写真を語る上で欠かせない”青色”を特に大切にした写真たち。
「人物を撮影するなかでも、肌を撮影するときは、被写体との距離感をとても大切にしています。また青、水色という自分らしさを組み合わせて、透明感のある雰囲気に仕上げています。キーワードは、自然光、青色、(水を使うときは)水のゆらぎと光と肌の関係性。

特に水は、とても興味深くて好きなんです。写真とは自分が愛おしいと思うものの保存方法のひとつでもあるし、自分または自分以外の誰かに何かを伝える表現方法の一つでもある。だからこそ相手と私の間柄、距離感はすごく重要。お互いにどれだけ心を開いているか、興味を持っているか、尊重しているか、どんな気持ちを抱いているか......何もかもが写真には作用すると思うんです。写真を撮る側と写真に写る側が、お互いにある『意味』のようなものを見出せるような写真を撮ることをとても意識しています。撮影中、お互いが楽しいかは大前提ですね。人を魅力的に撮るのに必要なのは、2人で写真というひとつの作品を作ろうとすることだと考えています」。

水、光、青色、そして透明感のある世界

「冬の海での撮影中。光と海の水の関係性、そして衣装の布が澄んだ空気感を醸し出していてとてもよかった」。
青が大好きすぎる故に、生活をしていても常に青系の何かを目で追ってしまうという葵さん。そんな中でも特に水は透明感を引き出す大きなファクターだといいます。

「夏の海に浮かぶ@fleurs_et_rouge1さんを撮影。コミュニケーションをとる中、一瞬の静かさを纏った被写体の姿が美しく理想的で。撮影時に私自身も水に入り被写体の真横から撮影しました。瞳に入った光で、より透明感が増して見えるのかもしれません」。

「自室のベッドでランジェリーの撮影をしているときのワンシーン。足の裏を真上から撮り、後ろに脚やベッドシーツをぼかして入れました」。
基本的にフィルムカメラで撮影をしていることから、レタッチをすることもほぼないため、自然光でいかに肌を綺麗に見せるかを特に意識しているそう。

「自身の部屋で、隣の窓から差し込む自然光で撮影。被写体さんに上を向いてもらったときに浮き出た鎖骨や首のラインが美しかったので」。 

「自宅のベッドで@f_wfireworksさんとランジェリーの撮影。窓からの光を逆光にし、肌の透明感を出しました」。

葵 Instagram
葵 Twitter

GENIC vol.62 【表現者たちのファインダーのその先に、透明感を追い求めて】
Edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.62

テーマは「素肌と素顔を写す」。
人の美しさを大切に写しとった「素肌」と「素顔」の世界をお届けします。「性」ではなく「生」を感じる、神秘的で美しい森に迷い込んでしまったような写真たちと、そこにある撮り手の想いに迫ります。

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