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【写真家人生にルールあり!My 5 Rules:1】瀬堀圭世

自分らしさを写真に投影しているフォトグラファーたち。人、街、自然...自分なりの感性で独自の世界観を写す彼らの作品は、さまざまなこだわりや強い想いを込めて切り取られたもの。それぞれの写真に対するマイ・ルールから、彼らの人生観に迫ります。
1人目は、愛おしい瞬間をフィルムで切り取る、瀬堀圭世さんです。

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瀬堀圭世

写真家 1982年生まれ、宮崎県出身。フィルムカメラをメイン機に写真を撮りながら、2007年より全国各地で定期的に作品を展示し発表。現在は東京を拠点に活動中。
愛用カメラ:Canon AE-1、CONTAX T3、Polaroid 690、FUJIFILM GA645Zi Professional
愛用レンズ:Canon FD 28mm F2.8/EF50mm F1.4

自分が見ている世界

「冬の海でマジックアワーと花火という、一瞬の時間。目で見たい思いと写真を撮りたい気持ちで、より刹那に感じました。フィルムのマニュアル機で数回しかシャッターを切れず、花火が高く写っていたのはこの一枚のみ」。

「写真を撮り始めたのは、中学生くらいからでしょうか。当時はカメラ機能付き携帯電話がまだなかったので、“写ルンです”でよく撮っていました。主に友達との記念写真ですが、写真があるからこそ思い出せる風景がそこには刻まれています。本格的なファーストカメラは、21歳の時。とにかくカメラが必要で何もわからないままデジタルカメラを購入したのですが、その後半年ほどでフィルムカメラに移行しました。それからは主に、一枚一枚を大切にフィルムで撮影しています」。

「まだ臍の緒がついている状態の甥っ子を、黒背景をセッティングして撮影。伯母の立場から、家族の素晴らしさを感じながら残せた大切な一枚」。

「これまで膨大な量の写真を撮ってきた中で、自分が撮りたいもの、撮りたくないものがわかってきました。今はフィルムで、大切な人たちをたくさん撮りたいです。特にカメラを向けたくなるのは、愛おしいと思う瞬間。美しいな、面白いな、珍しいな...でもいいのですが、それらを含めて“愛おしい"と思う瞬間に一番シャッターを切りたくなります。撮影で心掛けているのは、とにかくたくさん撮って、一枚一枚をちゃんと見ること。否定的な考えは何も生まないと思うので、肯定する力で自分の写真を見つけていくことが大切。写真を通じて、私から見えている世界を伝えたいです」。

撮りたいものを撮りたい時に撮りたいように撮る

Rule 01:カメラはいつも近くに

「毎朝起きると、まず愛犬ゾーイにご飯をあげます。たまに夫がゾーイとそのままベッドで遊ぶのですが、そのシーンが愛おしくてずっと撮りたいと思っていました。動物は『もう一回やって』なんて通用しないので、撮りこぼさないよう寝る前にベッドサイドにカメラを置き、起きたてで撮影」。

「撮影活動で大切にしているのは、“撮りたいものを撮りたい時に、撮りたいように撮る"ということ。後悔したくないというのが、一番の理由です。撮りたい瞬間に撮れるよう物理的な準備はもちろん、ブレや露出など技術的な面で後悔しないことも大切。撮りたいものに出会う準備を、いつも万全にしておきたいと思っています。常にカメラは持ち歩いています」。

Rule 02:写真以外のことが大事

「幼馴染の友人と、愛犬そら。そらを愛情深く抱える友人の手が美しいと思って撮りました。白毛混じりになったそらと、いろいろなものが刻まれている友人の手。大好きな一枚です」。

「技術は練習すれば習得できますが、センスや個性などは、さまざまな経験によって培われるもの。写真以外で受け取るものが多いほど、それが想像力になって身につき、写真にも影響を及ぼします。大切で貴重な瞬間の写真を見返すと、さまざまな記憶が思い出されて不思議な感覚になります。きっと同じように刹那的に過ぎていった、それまでの経験を感じるのだと思います」。

Rule 03:被写体との関係性は、自然体で

「記念撮影を頼まれた友人親子の、撮影前の何でもないシーン。記念撮影では、何も指示していない自然体のオフショットの方がグッとくることが多いです」。

「横浜にあるヘアサロン『CLAPS』のイメージ撮影にて。光に透ける髪と視線がとてもきれいで、3人並んでいたのですが思わずワンショットも撮っていました」。

「モデルさんを撮る時は、できるだけ自分も相手も自然体でいられるよう心がけています。ポージングなどこちらの好みや要望を伝える場合もありますが、大抵は違和感のある仕上がりになるので、指示は最小限に。モデル本人の癖や仕草がわかるような、自然体を撮る方が好きです。止まってポーズしてもらうより、自由に動いてもらう中で良い瞬間を狙うことが多いですね」。

撮らされるのではなく自分が撮る、という意味を守りたい

Rules 4:自分の感性を信じる

「これも『CLAPS』の撮影。撮影合間にモデル3人がスマホを見ながら話している時、空の高いところで鳥が旋回。どちらかというと、鳥のタイミングでシャッターを切りました」。

「場合によっては撮ってほしいであろう瞬間がわかるのですが、そんな時も自分が撮りたいと思わなければ、シャッターは切らないようにしています。その瞬間にファインダーから見える角度や表情は、私だけのもの。自分の感性を信じて、撮らされるのではなく自分が撮る、という意味を守りたいと思っています」。

Rules 5:ルールは無視してもいい

「思い切り逆光で、ほとんどシルエット。本当はもっといい光で、表情も見えて...もっともっと最高の瞬間があったかも、と欲張る気持ちはあります。でも、友人は愛犬と撮ったこの一枚を、泣きそうになるほど喜んでくれました。細かいルールなんてどうでもよくなるくらい全肯定したくなる瞬間は、日々たくさんあるはず。ちゃんと写っていなくても、さらには写真に残っていなくても大丈夫。そんな気持ちを持って、日々の写真を撮り続けたいです」。

「元も子もないですが、いつだってルールは無視してもいい。写真は自由に楽しむことが一番なので、カメラを忘れたっていいし、違う人の感性で撮ってみるのもいい。ルールに縛られず、自然にやっていることが自分なりのルールになっていけばいいと思います。写真を撮らなくても、撮れなくても、大丈夫」。

瀬堀圭世 Instagram

GENIC vol.64【写真家人生にルールあり!5Rules】
edit:Satoko Takeda

GENIC vol.64

GENIC10月号のテーマは「写真と人生」。
誰かの人生を知ると、自分の人生のヒントになる。憧れの写真家たちのヒストリーや表現に触れることは、写真との新たな向き合い方を見つけることにもつながります。たくさんの勇気とドラマが詰まった「写真と歩む、それぞれの人生」。すべての人が自分らしく生きられますように。Live your Life.

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