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【写真家たちの履歴書:1】岩倉しおり

さまざまな分野で活躍する写真家7名に、写真家になるまでの経緯とその後の道のり、そして現在地とこれからをインタビュー。
写真と向き合う人生のヒントがつまった、それぞれのヒストリーを、作品とともにじっくりと味わってください。
1人目は、うつろう季節や眩しい光の中で情景を写す写真家、岩倉しおりさんです。

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岩倉しおり

香川県出身 写真家 おもにフィルムカメラにて撮影。地元、香川県で撮影した写真を中心にSNSで作品を発表する他、写真展を開催。CDジャケットや書籍のカバー、広告写真などを手掛ける。

【BIOGRAPHY】
高校時代に写真を始める
2010年3月 初の写真展「個展-猫とLOMOとヒトと」開催
2013年7月 Instagramを始める
2019年3月 写真集『さよならは青色』(KADOKAWA)出版

ただ、写真が好き。

あの時、写真部に入っていなかったら写真を撮っていなかったかもしれない

「地方で撮った木漏れ日の写真。それが星空のように見えて、見方を変えるだけでいろんな発想が出てくるんだなと、写真が面白くなったきっかけの写真です」。

「何かを表現したいという気持ちが子供の頃からあって、物を作ったり、絵を描いたりすることが好きでした。携帯電話を持つようになってからは、学校の帰り道の夕焼けや、空や海が綺麗だなと思った時に自然と写真を撮っていました。その頃から、写真を撮ることは好きだったのかなと思います。一眼レフカメラを持つようになったのは高校の時、誘われて入った写真部がきっかけです。写真を撮り続けていくうちに自分が表現したいことは、写真でできるんじゃないかなと思うようになりました。撮るのが楽しくて、たくさん撮るようになり、現像の時に印画紙から像が浮き出てくるのを見て、感動しました。写真って、面白いなと思いました。あの時、写真部に入っていなかったら、そもそも写真を撮っていなかったかもしれないので、写真家にもなっていなかったように思います」。

『涼宮ハルヒの憂鬱』著:谷川流(角川文庫)のカバー写真に。

高校卒業後は写真の専門学校に行くことを考えていたそう。
「働いてお金を貯めて、大阪にある写真専門学校のオープンキャンパスに。そこで実際に撮影して現像するというワークショップがあって、担当していた先生に自分の写真を見せたのですが、ここでは技術は学べるけど、センスは学べないと助言をいただいて、独学でやっていくことに決めました。だから今も技術が自分にあるのかはわかりません。自分がいいなと思うもの、美しいなと思うものを本当に自由に感覚で撮っています。頭の中にあるイメージや目に見えているものをどう形にするのかが、いつも自分の中の課題です。今でもずっと試行錯誤しながら写真を撮っています」。

自分が住んでいるところは素敵な場所、SNSの反響で気づいた地元の魅力

写真を始めた頃に地元で撮影した1枚。

「自然が豊かで穏やかな瀬戸内海に住んでいるので、その景色が好きで撮っていたら、自然と季節が写真に写りこんでいました。地元で撮った写真をSNSで投稿していくうちに、たくさんの反響をいただき、自分が住んでいるところは素敵な場所なんだと気づかされました。それから、同じ場所でも季節や天候など、いろいろな条件によって見たことがない一面が見られることにも気づき、この時間に行くとどんな景色だろうと想像しながら行ってみるなど、地元を探索するように。自分が素敵な場所に住んでいることは、皆さんに教えていただいたと思っています。自分が撮りたいから撮っている写真を、たくさんの方に見ていただけるようになったことはとてもうれしいです」。

地元で撮影した「小さくて静かな世界」。

投稿を続けているうちにフォロワー数が増えていき、とても驚いたという岩倉さん。現在Instagramのフォロワー数は37万を超える人気ぶり。
「SNSはどちらかというと得意ではありません。でもSNSがなかったらこんなにたくさんの方に写真を見ていただけることもなかったし、写真で繋がった仲間たちとも出会えなかったなと思っています。また自分自身は表に出ることがあまり好きではありません。作品だけを見てもらいたいです。その点、SNSは自分に合っていたのかなと思います。SNSをやっていなかったら、今の自分もなかったと思いますね」。

『不純文学 1ページで綴られる先輩と私の不思議な物語』著:斜線堂有紀 (宝島社文庫) のカバー写真に。

まだ発見されていない地域の魅力を探すことが楽しい

地方で撮影した雪の写真。

「いろいろなお仕事をいただくのですが、感性を信じて任せていただけるような、そして自分も自信を持っていいものが納品できるお仕事を、と思っています。おもに自分の目線で素敵な場所を探して撮影させてもらえるお仕事を受けさせていただいています。だから地方での撮影が多いです。まだ発見されていない、地域の魅力を探すことが好き。今はたまたま香川県に住んでいて、瀬戸内海の景色が好きで撮っていますが、きっとどこに住んでいたとしてもその場所が好きな景色になったんだろうなって思っています。美しい光景を見ると、心が救われるような気持ちになります。この世界に、こんなにも美しい瞬間があるんだなって。そんな光景を求めて写真を撮っています」。

美しい光景を見ると心が救われるような気持ちになる

「NICO STOP×山口県長門市 コラボレーション企画」の作品。

「写真家になろうと思っていたわけではありません。写真が好きで、撮り続けていたらいつのまにかお仕事をいただけるようになりました。自分でも想定外の人生でとてもびっくりしています。お仕事をさせていただいているので、肩書きを写真家としていますが、自分の中では今でもただ写真が好きな人です。写真が本当に大好きという気持ちだけです。だから写真家としてのゴールはありません。こうなりたいもありません。ただ写真が好きでずっと撮り続けられたらいいなと思っています。本当に心が満たされたら写真を撮らなくなってしまうのかなとも考えたりします。でも撮りたいと思うものがある限り、これからも続けたいです」。

地方で撮影。「街のあかりが雲に反射してオーロラみたいでした」。

写真以外のものからインスピレーションを得ることが多いという岩倉さん。
「特に映画から影響を受けることが多く、単純に映画が好きというのもありますが、観ていてとても勉強になります。ほかにも絵画や音楽、アニメからもインスピレーションを受けて撮りたいという気持ちが湧いてきたり、わたしが写真で表現したらどうなるだろうと考えたりもします。音楽からイメージが湧いてくることもあり、撮影中にイメージにあった音楽を聴きながら撮ることも。自分にはないものにとても心惹かれます」。

For all a spiring photographers

「満月の夜。海に月明かりでできた光の道」。地元で撮影。

「どうやったら写真家になれますか?」というご質問をいただくことがありますが、写真家になるにはいろんな経路があると思います。
わたしの場合は写真家になりたいというより、写真がとにかく撮りたい!という気持ちだったので、写真家になりたいからなったわけではありません。
好きで撮り続けていたらお仕事を頂けるようになっていきました。わたしは写真の勉強をしたわけでもなく、技術があるわけではないので、偉そうなことは言えないのですが、まずは写真を好きになることが大事な1歩なのかなと思います。
写真の好みはそれぞれにあるとは思うのですが、写真に良い悪いはないと思っています。写真は自由です。白飛びしていても、ピントが合っていなくても、自分が好きならそれでいい。自分がイメージしているものが撮れないというスランプもあると思いますが、それはわたしも一緒です。
今でも自分の目に見えている光景に近づけるために試行錯誤を繰り返しています。だからこそ面白くて写真を撮り続けているんだと思います。
簡単に撮れてしまったら、きっと撮りたいものを一気に撮り終えてしまって、ここまで続けていなかったのではないかな。
ずっと自分の理想を求めて写真を撮っています。
時には写真を撮りたくないなと思うこともあるかもしれません。でもそれもそれでいいと思います。そんな時は写真以外のものに触れてみて。
わたしは絵や音楽や映画、そういったものに触れているとまた写真を撮りたいという気持ちがフツフツと湧いてきます。
お仕事となるともちろん求められているものを撮影しなくてはなりません。でもまずはなにより写真を楽しむことが1番大事なことだと思っています。
自分がきれいだなと思ったもの。好きだなと思う人。撮ってみたいなと思うもの。見つけたもの。なんでもまずは撮ってみる。それでいいと思います。
そうすると自然と自分の写真が好きになっていくのではないでしょうか。写真はとっても自由で楽しいものです。難しくなんてありません。
自分が見つけた光景を残すことができるって、とっても素敵なことだと思いませんか?わたしも自分が見つけたものをこれからも残し続けていきます。

岩倉しおり

岩倉しおり(@iwakurashiori) Instagram
岩倉しおり(@iwakura_shiori)Instagram
岩倉しおり Twitter

GENIC vol.64【写真家たちの履歴書】

GENIC vol.64

GENIC10月号のテーマは「写真と人生」。
誰かの人生を知ると、自分の人生のヒントになる。憧れの写真家たちのヒストリーや表現に触れることは、写真との新たな向き合い方を見つけることにもつながります。たくさんの勇気とドラマが詰まった「写真と歩む、それぞれの人生」。すべての人が自分らしく生きられますように。Live your Life.

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