片渕ゆり
佐賀県出身・東京在住。大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いからフリーランスに。2019年から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。2021年、『旅するために生きている』を上梓。
Canon EOS R10
バッテリーとSDカードを入れても約429gというEOS Rシステム史上最軽量※となるボディに、上位機種に迫る本格的な機能を凝縮した最新ミラーレスカメラ。APS-Cのセンサーサイズに、高性能オートフォーカスと、どんな被写体も逃さずキャッチできる最高約23コマ/秒の高速連写の機能を搭載。ビギナーにも嬉しい多彩な撮影モードが、写真のさらなる楽しみを提供してくれます。
※2022年7月時点
Canon EOS R10で撮る7つの被写体
その1:【花】瑞々しく咲き誇る、季節の花「紫陽花」を切り取って
動かないので、じっくり角度や画角を検討できる「花」はカメラや写真ビギナーの方にもおすすめしたい被写体です。今回私が撮影したのは、咲いて間もない瑞々しい「紫陽花」。花の中でも紫陽花は、繊細な色合いと形のかわいらしさがとても魅力的だし、街角で出会うことも多くて撮りやすいのも嬉しいポイント。一面に咲いている姿が本当にきれいでした。
【Shooting Point】
紫陽花を見上げるように撮って写真に迫力を出したかったので、バリアングルモニターを使って、低い位置から撮影しました。バリアングルモニターがあると、スマートフォンでは思いつかないような、さまざまな角度にチャレンジしたくなります。使用レンズはRF16mm F2.8 STM。スマートフォンで見慣れている世界より広い範囲を切り取ることができ、新鮮な1枚になりました。
その2:【家にある小物】普段そこにあるものに、ひらめきをプラス
日常的に目にしているものを、あえて「被写体」と捉えてみることで、頭の体操のようなおもしろさを体験できます。見慣れている部屋の中のものでも楽しく撮影できるという体験は、自分の生活の魅力を再発見することでもあります。この薄いガラスのシャーレは、水を張ったような透明感にひと目惚れして購入したもの。今回、「実際に水を入れてみよう」と思い立ちました。それだけだと寂しかったので、ピンクのドライフラワーを浮かべています。
【Shooting Point】
夕方、ベランダに出て撮影しました。少し暗くなりかけていたのですが、優しい雰囲気の光をEOS R10がしっかりとキャッチしてくれて、ガラスの美しさが際立つ1枚になりました。その場でいろんな画角を試しながら試行錯誤できるので、レンズは幅広い焦点距離をズームで調整できるRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMを選択。使い勝手がよく、とても便利でした。
その3:【透明なもの】輝くシャボン玉と背景の木漏れ日を美しく共演させて
スマートフォンでは撮りにくく、なかなかその魅力を写すことができない透明感のあるものは、カメラを手にしたらぜひ挑戦してもらいたい被写体です。中でもシャボン玉は、モチーフとしてかわいらしく、手軽に手に入るのでおすすめ。透明の中に、いろいろな色が見え隠れし、一瞬たりとも同じシーンは生まれないので、さまざまな表現ができることも魅力的です。夕方の西日と木漏れ日が降り注ぐ時間帯に撮影したことで、ノスタルジックな雰囲気の1枚になりました。
【Shooting Point】
シャボン玉は友人に協力してもらい、カメラにかからないよう少し離れたところで吹いてもらいました。EOS R10はオートフォーカスがとても速いので、カメラを向けて連写するだけ。薄暗くてもピント合わせに手こずることなく、簡単に美しい写真が撮れます。後ろの木漏れ日を写し出したいと思い、レンズはRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMの望遠側で撮っています。木漏れ日をきれいな丸ボケとして表現することができました。
その4:【フェアリーライト】前ボケで遊んで日常をファンタジーに
フェアリーライトを用意して前ボケを取り入れると、写真にファンタジーのような雰囲気を作り出すことができます。小物には、その世界観に合うようインドで買ったオイルランプを選びました。思い出が詰まった小物は、それだけで思いを込めて向き合うことができ、撮影がとても楽しくなるものです。EOS R10は軽いので、片手でライトを持ちながらの撮影も楽にできました。三脚がなくても気軽に物撮りが楽しめるのはいいなと思います。
【Shooting Point】
フェアリーライトの前ボケを最大限生かしたかったので、レンズはF値開放(一番小さい値)で撮影。ライトをレンズの前にかざしながら、ピントはランプに合わせ、連写でたくさん撮りました。その中から、もっともバランスのよい1枚を選んでいます。美しいボケを作るには望遠レンズが最適なため、レンズはRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMを使っています。ふわっと優しい光が撮れて楽しかったです。
その5:【空】青空は最高の画用紙。統一感のある爽やかな1枚に
青空は最高の画用紙だと思います。この時は、統一感のある爽やかな1枚にしたいと思い、透明感があり、空の青をそのまま反映させることができそうな、トルコの香水瓶を一緒に写し込むことにしました。青空バックで小物を撮ると、手軽にかわいく撮れるのでなにかと重宝します。また空を背景にした撮影は、特別な機材も必要なく、誰でもすぐにチャレンジできておすすめです。
【Shooting Point】
気持ちのよい空を背景にしたかったので、快晴の日に撮影しました。また三分割構図を意識しながら撮っています。EOS R10は、グリッド線をファインダー内の液晶や背面モニターに表示することができるので、それを活用。ファインダーを覗くと同時に構図を考えられるのはとても便利です。レンズはRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMで、バランスのいい画角を探しながら撮りました。
その6:【結婚式】幸せな瞬間への想像を、一部を切り取ることで膨らませる
ドラマチックなシーンが連続する結婚式。スマートフォンでは撮り切れないような一瞬までを切り取れるのが、カメラならではの楽しさだと思います。この1枚は、新郎が新婦に花束を渡し、改めてプロポーズするというドラマチックなシーン。顔まで入れなくても二人の表情が伝わりそうだと思い、あえて手元に寄った写真にしています。EOS R10は暗めの式場でもオートフォーカスが速く、やり直しのきかない一瞬をばっちり捉えてくれました。
【Shooting Point】
連写、バリアングルモニター、タッチシャッターなどの機能を組み合わせて使うことで、結婚式のあらゆるシーンに対応。サイレントシャッターモードでシャッター音を消して撮影したので、その場の雰囲気を壊さず撮ることもできました。またレンズは、ズームレンズRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMをフル活用。1本で会場全体から手元のアップまで撮れてしまうので、レンズ交換の手間もなし。それでいてコンパクトなので、式に持ち込む際にも邪魔にならず助かります。
その7:【水】目で見るよりも美しい姿を見せてくれる、最高の被写体
身近にありながら、写真に写すと普段見ることのできない美しい姿を見せてくれるのが『水』です。どこでも手に入り、また室内やベランダなどで気軽にさまざまな写真を試せる点も魅力です。雫の動きの描写など、連写機能のおもしろさも味わえます。私自身、実は連写で写真を撮ることがほとんどなく苦手意識があったのですが、いざEOS R10で撮影してみると、おもしろいくらい簡単に撮れることに、ハマってしまいました。
【Shooting Point】
カメラを三脚に固定し、バリアングルモニターを使いながら高速連写モードで撮影しています。外での撮影は、太陽光が反射しモニターが見づらいこともありますが、バリアングルで角度を調整することで解決できます。連写の際、ピントはマニュアルで固定。初めてのチャレンジだったので、画角も試行錯誤できるようレンズはRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMを選びました。水や背景のボケ感がきれいで、撮っていて楽しかったです。
自分が好きだと感じるものを被写体に!
写真をはじめた当初は、実は私自身、「被写体を選ぶ」という感覚がほとんどありませんでした。その瞬間に訪れる「シーンを撮る」という感覚が強かったからです。それが少しずつ、撮影機材と共に広がり出してきたように感じます。広角レンズを使うようになったことで建築を撮るおもしろさを知ったり、明るい単焦点レンズを手にしたことでカフェや室内の写真を楽しく感じるようになったり。もしスマートフォンで撮っている方がカメラを手にしたのなら、まずはカメラならではのボケ感や、シャッタースピードの速さを実感できる被写体を撮ってみると楽しいと思います。ポートレートや水など、「カメラで撮っている」、「カメラだから撮れる」という楽しさを味わえるのではないでしょうか。あとはやっぱり、自分の好きなもの、心惹かれるものを撮るのが一番です。私の場合、変わらずに好きで、撮ることが楽しく、またこれからも撮っていくだろうものは、ここでも紹介させていただいたような、木漏れ日やガラスなど、光と影の造形を感じられるものたちです。
Canon EOS R10を使ってみて
EOS R10の第一印象は、「小さい!軽い!」でした。バッグに入れて持ち出しても、家を出た瞬間に「あれ、カメラ忘れたかな?」とつい確認してしまうくらい、軽量でコンパクト。カメラ専用でないバッグにも収まるため、シーンを選ばずいつでも持ち出せるのがいいなと思いました。旅先での撮影では、一日中右手にカメラを持ったままということも珍しくないのですが、EOS R10は軽いため、長時間持ち歩いても疲れにくい。手にすっぽり収まるサイズなので、ボタンを見ずともすぐに感覚だけで操作できるようになりました。
使うほどに素晴らしさを実感するのが、オートフォーカスの速さ。カメラを構えると同時にもうピントが合っているような感じで、「撮りたい」と思ってから実際にシャッターを切るまでの時間がとても短い。そのため光や構図を考えることに専念することもできます。体育館の中で走り回る子どもを一瞬で検出し、さらに連写もできた時は本当に感動しました。また人間だけでなく、動物にもピントを合わせてくれるので、今回は機会がなかったのですが、犬や猫も撮ってみたくなりました。
そして今回、使用した2本のレンズ。RF16mm F2.8 STMは画角が広く、バリアングルモニターを使えば自撮り撮影も楽々。明るいレンズなので、暗いカフェの中や、夜の撮影でも役立ちます。RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMは使いやすい画角で、建物の外観から室内の手元まで、1本であらゆる被写体をカバーしてくれる、心強いレンズだと思います。
EOS R10で、初めての動画撮影にトライ!
高画質で繊細。写真の延長にある、音のある世界
旅先や日常の中で、自分の好きなシーンを撮影しました。スマホの動画と違い、光や影の繊細な動きを写してくれるのが楽しかったです。また、動画を撮りはじめたら、ものの動きやまわりの音に自然と意識が向くようになりました。とくに風の音や鳥の鳴き声など、今までは背景音として無意識に聞き流していた音に耳を澄ませるようになったのが自分でも驚きでした。さらに、写真では撮らないようなシーンでも、動画であれば撮りたくなることもありました。たとえば飛行機の窓からの景色など、動いていることでおもしろさを感じられるシーンが、意外とあるものだなと思いました。撮影後、どんな音楽を合わせようかなと想像するのも楽しかったです。撮れた動画についても、高画質で繊細な表現なので、映像として好みのものでした。動画というと、YouTubeでよく見るような派手な映像のイメージが強く、どこか敬遠する気持ちがあったのですが、EOS R10で撮影した動画は良い意味で写真の延長のような感じ。旅先での動画はもちろん、日常のふとした時間(たとえばコーヒーを淹れる過程など)も残してみたいです。またEOS R10の動画で優れていると感じたのが、モード変更のしやすさです。今まで写真と動画は別々のものという意識でしたが、写真を撮った流れでそのまますぐに、ボタンひとつで動画撮影に移れるのが魅力でした。見ていて心地よいような、清涼感のある映像を作りたい。今後も動画を続けていきたいと思います。
【今回使用したカメラとレンズ】
EOS R10・RF-S18-45 IS STM レンズキット
EOS R10・RF-S18-150 IS STM レンズキット
RFレンズ RF16mm F2.8 STM