高橋さんにとっての日常とは?
「自分にとっての日常は、毎日変化していく日々を過ごしながら、旅をして、好きな時間に起きて、好きなことをしながら過ごすこと。たとえば旅先は、ほかの人にとっては非日常の空間かもしれませんが、たくさん旅をしているうちに、その空間さえも日常になる。普段から”非日常”のなかで写真を撮っていれば、劇的な瞬間をより多く撮れるようになると思います」と高橋さん。ドラマティックな写真や情景ポートレートなど、人物を撮ることが多い高橋さんが、思わずシャッターを切りたくなるのは、「人が構えていない、ふとした自然な瞬間ですね。光景というのは光と影が織りなす景色のようなもの。その中で人のふとした表情だったり、路地裏に1本の光が射し込んでいる様子だったり、何かを感じた瞬間にシャッターを押せば、それは絵になるんだと思います」。見慣れたつもりの光景にもシャッターチャンスはたくさんあるという高橋さんが考える、日常を撮る意味とは?「日常を撮ることに目的や意味を置くのではなく、感じるままに撮ることを習慣にすれば、それは日常になりますよね。本当の目的や意味は後からついてくることかもしれません」。いつしか自然と“撮ることが日常になった”という高橋さんに、PEN E‐P7で感じるままに撮り下ろしていただきました。
写真家・高橋伸哉がPEN E-P7で切り取った日常
夕暮れどきの寂しげなひまわりの”陰”を強調
見る人の感情に訴えるような、ノスタルジーを感じるシチュエーションに惹かれるという高橋さん。「これは夕暮れどきに、愛媛県・下灘駅で見た景色を素直に切り取った1枚。ひまわりは昼間は元気いっぱいに咲き誇っていますが、太陽があたらない時間になると、少ししょんぼりしている感じがします。そんなひまわりの日陰の部分と日が沈む前の夕焼けの色を強調しました。暗くなりかけた夕方の時間帯でも、PEN E-P7には手ぶれ補正があるので安心して撮影できます」。
海風を感じながら自然にほほえむ瞬間を捉えて
高橋さんといえば、シーンと人物のコラボレーションが生み出す「情景ポートレート」が人気の表現の一つ。「四国で撮影旅行をしているとき、船での移動中に撮ったもの。モデルさんにポーズを決めてもらって、風で髪がなびく瞬間を捉えながら、自然なポートレートを意識してみました。露出やシャッタースピード、ISO感度などのマニュアル操作もしやすいので、ふとした一瞬を捉えるような撮影でも、もたつくことがありません」。使用したレンズはM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8。「ポートレートに適したレンズですね。単焦点で解像度もよく、写りにも満足しています」。
レトロなムード漂う純喫茶で日常の退屈感を表現
「四国のとある純喫茶で、メロンソーダを片手に退屈している表情をしてもらいました。見る人からすると喧嘩中のカップルかもしれないし、ひとりで喫茶店にきて時間を持てあましている女の子なのかもしれない、そんな想像を膨らませながら撮ってみた1枚。PEN E-P7はノスタルジックな雰囲気にも撮れるのがすごく魅力的。窓からの外光と屋内のバランスでレトロ感のある写真になりました」と高橋さん。懐かしさのある空間で、より雰囲気が出せたそう。ホワイトバランスの設定はオート、レンズはM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8を使用。「開放F値が1.8と光を多く取り込めるので、室内でも問題なく撮れます」。
ふと振り向いた瞬間の笑顔をすかさずキャッチ
香川にある、かなりきつい坂道で撮影。「モデルと坂道を登っていたのですが、体力のない自分は歩くのが遅くて(笑)。私より先に軽い足取りで歩く彼女が、ふと振り向いて笑顔を見せてくれた瞬間を撮ることに成功しました。軽くてコンパクトなPEN E-P7は、体力が奪われるようなシーンでも、片手でサクッと撮れるのが便利です」。使用したレンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6EZ。「標準レンズも解像度が良いですね。基本は14mmで撮影して、必要となればズームできる申し分のない1本です」。
色のある背景を活かしてドラマティックな情景に
ノスタルジーを感じる場所に出会うと、人を配置したくなるという高橋さん。そこに人を写すことで“風景”が“情景”に変わります。「貨物船の色がとてもカラフルで絵になったので、モデルさんに自然な感じで歩いてもらいながら撮影しました。こういう背景をうまく使うのも、写真のテクニックの一つです。レンズはM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8を使いました」。
人が街に溶け込むような“顔のない”ポートレート
構図はここだと思った瞬間、こまかく丁寧に決めているという高橋さん。曇りや雨の日は特に、街に人を入れることで映画のワンシーンのような雰囲気のある写真になるのだそう。「日常を撮るなかで、あえてモデルさんの顔を写さないことも多いです。たとえば少し先を歩いてる背中のように、人が街中に溶け込むような情景写真を意識的に撮っています」。使用したレンズはM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8。「背景がしっかりとボケてくれるので、撮る楽しさが増すレンズだと感じました」。
光と影を丁寧に写し出す情景ポートレート
この写真のテーマは光と影。「マイクロフォーサーズを久しく使ってなかったので解像度の良さが思っていた以上で驚きました。コンパクトなフォルムですが、本格的なポートレート撮影ができますね。この写真は、PEN E-P7が陰影を丁寧に写し出せることを前提に、ポージングしてもらって撮ったものです」。レンズはM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8を使用。「ポートレートに適したレンズですが、単焦点ならではの解像度を活かして、スナップや風景写真などにも適している、万能な1本だと思います」。
浪漫あふれる電車を海の見える駅でノスタルジックに
ドラマのロケ地としても有名な海が見える駅、愛媛県・下灘駅にて。「この駅に住民や観光客を乗せる電車が停まるのは、1~2時間に1本程度。電車はいろいろな人の想いを乗せてるような気がして、浪漫があります。駅に停車してはまた走り出す、その繰り返しでなぜか、少年の頃のようなワクワクした気持ちになるのが不思議だなと思いながら、アングルを決めてシャッターを押しました。このカメラが醸し出すノスタルジーな風合いでより慕情を誘う1枚になったと思います」。レンズはM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8を使用。
高橋伸哉さんが「OLYMPUS PEN E-P7」を使ってみて感じたこと
「初めてカメラを買ったという友人が、PENにしました!という声はよく聞いていたんです。自分は今回、初めて使ってみましたが、デザインもかわいいですし、コンパクトなフォルムだけど写りもしっかり。たしかにこれから写真に力を入れたい初心者の方に、とてもいいカメラだと思いました」と高橋さん。小型軽量ボディーのPEN E-P7は、手軽にスナップできるのが便利だと感じたそう。「露出、シャッタースピード、ISO感度はマニュアルで撮影することが多いのですが、特にストレスもなく、その場に応じた設定をサクサクとできるのにも好感が持てました。AFも早く、被写体に構えさせることなく気楽にポートレートが撮れるところもいいですね」。そんな高橋さんが一番気に入ったのは、ノスタルジーを感じさせる画質にも簡単に仕上がること。「普段、ドラマティックな撮影や情景ポートレートが多いので、そういう意味で、この写りはとても自分と相性が良いと感じました。いつもは一眼レフのフルサイズ高画素機を多用していますが、このカメラでも作品撮りをしてみたいですね」。
高橋伸哉
写真家 1972年生まれ、兵庫県出身。カメラ歴28年。高校時代に写真を撮るようになり、40代になってから会社員を辞め、写真家に転身。著書「写真からドラマを生み出すにはどう撮るのか」(インプレス)は1万部を突破。オンラインサロン「写真喫茶エス」を主宰するほか、shinya写真教室を毎月開催中。1年4ヶ月で生徒数は延べ1000人を超えている。
次は写真家 茶々さんの登場です。
高橋伸哉さんがPEN E-P7をバトンタッチするのは、休日フォトグラファーの茶々さん。高橋さんに茶々さんの印象をお聞きすると……、「直接お会いしたことはないのですが、SNSの投稿は拝見しています。テーブルフォトがとても上手で、美味しそうな写真がいっぱいですね。食べるのが大好きな自分は、ずっと見ていられます。いつかテーブルフォトのコツを教えていただきたいです!」とのこと。次回、その茶々さんがPEN E-P7で切り取った日常写真をお届けします!
茶々
フードフォトグラファー 1994年生まれ、秋田県出身・在住の休日フォトグラファー。普段は会社員として勤務しながら、2018年より地元の風景を撮り始め、2020年4月よりフード写真も手掛けている。
リレーに使用したカメラ「OLYMPUS PEN E-P7」商品情報
「OLYMPUS PEN E-P7 ボディー」
オープン価格
カラー:シルバー/ホワイト
「OLYMPUS PEN E-P7 14-42mm EZ レンズキット」
オープン価格
キット内容:
ボディー(シルバー/ホワイト)
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ
※装着されるレンズはボディー色ホワイトの場合はシルバー、ボディー色シルバーの場合はブラックとなります。