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色に恋して。デジタル写真をフィルム風に「FUJIFILM フィルムシミュレーションの魅力」vol.21 sugar

デジタルカメラで撮影した写真を、フィルム写真のようなカラーに。そんな夢のような機能が、富士フイルムのデジタルカメラに搭載されています。その名も「フィルムシミュレーション」。フィルムを交換するような感覚で色再現を楽しめる機能で、その数なんと20種類。フィルム時代から90年以上にわたり、色の表現を研究してきた富士フイルムだからこそ作れる機能です。

「Xシリーズ」「GFXシリーズ」すべての機種で使用できるとあって、この機能に恋して、富士フイルムのデジタルカメラを愛用し続ける写真愛好家やフォトグラファーも多数。

そこで本連載では、「フィルムシミュレーション」の魅力をお届け。毎回1名のクリエイターがお気に入りのフィルムシミュレーションで撮影した作品とともにその魅力を語ります。第21回は、台湾に生まれ10歳の時から東京で暮らす、旅写真を得意とするフォトグラファーのsugarさん。富士フイルムの「X-H2」で撮影した作品とともに、お気に入りのフィルムシミュレーションについて紹介します。

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目次

プロフィール

sugar

フォトグラファー/会社員 台湾生まれ、東京都在住。2007年のオーロラの旅をきっかけに写真を始める。会社員として働く傍ら、デジタル、フィルム、スマートフォンなど、その時の場面や場所によってカメラを使い分け、それぞれの持ち味を生かし、物語を感じる写真、幻想的な写真、遊び心のある写真を好んで撮影し、発信している。国内外問わず旅することが好き。

写真は、大切な時間を記録していくもの

私にとって写真とは、「記憶の記録」です。人間って忘れっぽい生き物なので、歳をとると記憶を勝手に書き換えてしまうようなことがある。その点、写真が素晴らしいのは、大切な時間をそのまま記録できるところです。また、撮った写真を好きな色味に編集したり、カメラやレンズの描写を楽しんだり、自分なりの作品を作ったりと、写真は平凡な生活の中で楽しいスパイス的な存在にもなっています。

私がカメラを始めたのは旅がきっかけでしたが、その後は花やカフェなどを中心に撮っていました。SNSが流行りはじめ、そこでできたカメラ仲間と写真を撮りに行くようになってからは人物を入れて撮ることが多くなり、今はまた旅写真を撮ることが多くなりました。振り返ると、その時その時でカメラを向けたいものが変化していることを実感します。

camera:X-H2 lens:XF16-80mmF4 R OIS WR
フィルムシミュレーション: CLASSIC CHROME
カラークロームブルー:強
「朝の日差しのある時間帯に訪れた、散策ができる用水路。緑がすごく鮮やかなのにギラギラしていないところは、CLASSIC CHROME特有の落ち着いた色味が緑の鮮やかさを自然にまとめているからだと思います。石畳の奥に小さく立つ人物の赤いアクセントが、緑の世界の中でスッと目に入ってくるのも、全体の色が抑えられているCLASSIC CHROMEだからこそ。カラークロームブルーを加えたことで、空や水の青に透明感と奥行きが出て、涼しさや澄んだ空気をより強く感じました。緑とのバランスもきれいで、爽やかなのに派手すぎない、印象的な一枚になったと思います」。

富士フイルムのカメラを使うのは、実は今回が初めて。SNSなどで他のクリエイターさんが富士フイルムのカメラで撮った写真を見ることがよくあり、独特の色味や質感がずっと気になっていました。デジタルなのにどこかフィルムっぽい温かみがあって、自分の世界観とも合いそうだと思っていました。フィルムが高騰していく中で、泣く泣くフィルムカメラを手放してきた過去があるだけに、フィルムライクな写真が撮れるデジタルカメラは、とても魅力的だと感じます。

実際に撮影を始めると、フィルムシミュレーションでその場で色の世界観を決められるのが本当に楽しかったです。さらに、グレイン・エフェクトで粒子を足すこともでき、富士フイルムのこだわりをとても感じました。

camera:X-H2 lens:XF16-80mmF4 R OIS WR
フィルムシミュレーション:ETERNA BLEACH BYPASS
「遊歩道の脇に咲いていたコデマリの花です。天気のよい日、夕暮れ前に撮った一枚です。ETERNA BLEACH BYPASSが表現する黒に感動しました。銀残し的な深く粘る黒。コントラストによる強調とは違って、黒が潰れ切らず、微妙な湿度や空気を抱えたまま沈んでいく感じが素晴らしいです。情報量が少ない構図の中でも大事なポイントは残しつつ、世界を静かに沈降させるようなエモい仕上がりになっているのは、ETERNA BLEACH BYPASSならではの効果だと思いました」。

今回使ったのはX-H2です。旅行が好きなので、軽量でコンパクトなカメラはとても助かるのですが、軽量で長時間撮り歩いていても疲れにくいカメラでした。また、X-H2はシャッター音が控えめでとても可愛く、シャッターを切るたびにとても心地がよかったです。

約4020万画素のX-Trans™ CMOS 5 HRセンサーもとても魅力的です。撮影後のトリミングや構図の修正にも余裕がありますし、望遠が足りないような場面でも、後から大きくクロップして使えます。解像度の高さは単なるスペックではなく、撮影の自由度や表現の幅を根本から広げてくれる大切な要素だと思います。

また、シャッタースピード・ISO・露出補正といった主要パラメーターを専用ダイヤルで操作できる設計は、まるでフィルムカメラを扱うような感覚でした。メニュー画面を掘り下げなくても直感的に設定を変えられるため、撮影のテンポが崩れにくいこともとてもよかったです。

camera:X-H2 lens:XF16-80mmF4 R OIS WR
フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME
カラークロームブルー:強
「港町でフェンス越しに撮った一枚。雲がはけ、ようやく晴れだした午後の時間帯です。CLASSIC CHROMEは、ちょっとハイキーでカラフルな要素を入れて撮ると絵画のようにもなるし、このようにトーンを沈めてローキーで撮ると映画のような質感にもなるのがすごいなと思います。まさにフィルムを再現したような色味で、自分の世界観に一番近いフィルムシミュレーションなのかも知れません。カラークロームブルーを使用すると、本来もっと主張するはずのシアン系の色が一段階落ち着いた彩度で止まっている気がします。CLASSIC CHROMEの“盛らない美しさ”とよく合っていると感じました」。

そして何と言っても、フィルムシミュレーション。普段撮った写真はスマホのアプリで編集しているのですが、毎回結構な編集が必要になります。ところがフィルムシミュレーションを用いると、撮った時点で雰囲気のある色味に仕上がっている。編集作業が減ること自体もそうですし、それだけ撮ることに集中できるのも大きな魅力だと感じます。

普段は「撮ってから編集でどうするかを」考えますが、フィルムシミュレーションがあると、「この光、この空気ならこの色だな」と撮る瞬間に表現を決めることができます。これは、デジタルでありながらフィルムカメラで撮影するときの思考に近い体験だと思います。

シャッターを切るだけで好きな世界観が出来上がるところが、本当に最高でした。

camera:X-H2 lens:XF16-80mmF4 R OIS WR
フィルムシミュレーション:MONOCHROME+ R FILTER
「晴れた日の公園にひっそりと咲いていたタンポポ。一見何を撮っているのかわかりにくいですが、見つけた時の視線がそのまま写っているところが気に入っています。MONOCHROME+ R FILTERの効果によって葉や背景のトーンがやや引き締まり、全体に落ち着いた重さが生まれました。その中で花びらの白さがほんの少しだけ持ち上がって柔らかな光を含んだように見える、この微妙なコントラストが素晴らしいと思いました。さらに印象的なのは、画面全体に薄いベールがかかったような、少し湿度を感じるトーン。前ボケや影の重なりがより滑らかになって、派手さはないけど自分だけが気づいた小さな光景というささやかな発見を誇張せず、でも確かな存在感を与えています」。

また、青の表現に効果を発揮する「カラークロームブルー」機能を、CLASSIC CHROMEとETERNA BLEACH BYPASSに組み合わせた表現も楽しみました。

どちらもよかったですが、CLASSIC CHROMEは全体の色を落ち着かせてややドライで渋い雰囲気を作ってくれるため、カラークロームブルーを組み合わせることによって色味に深みと立体感がより加わったように感じます。全体の落ち着いたトーンは保ったままで、空や海といった青の部分に奥行きと締まりが生まれてより印象的で空気感のある表現になりました。

青が主役、または青が印象を左右するシーンで特に、カラークロームブルーの使用がおすすめです。空ならグラデーションが豊かになり、水面なら奥行きを与えてくれる素晴らしい機能だと思います。

My favorite フィルムシミュレーション

今回いろいろ試してみて、CLASSIC CHROMEとETERNA BLEACH BYPASS、MONOCHROME+ R FILTERが気に入りました。

1:CLASSIC CHROME

少しだけ彩度を落とした、ちょうどよい塩梅のトーンがすごくお気に入りです。色が主張しすぎない分、写真の空気感が伝わりやすいような気がします。空気感のある写真がとても好きなので自分のスタイルにはとても合っているなと感じました。

camera:X-H2 lens:XF16-80mmF4 R OIS WR
フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME
カラークロームブルー:強
「夕方の自宅のベランダからの景色です。一見晴れているように見えますが、実は時折雨が混じっていて、空の反対側には虹が出ていました。CLASSIC CHROMEの少しくすんだ落ち着いた色味が、夕方特有の柔らかな空気や静かな時間の流れを自然に写していて、とても心地よく感じました。カラークロームブルーを加えたことで、空の青に深みと透明感が生まれ、淡いピンク色の雲とのグラデーションがさらに印象的になっています。青だけが自然に引き締まることで全体の空気感がより澄んで見え、静けさや少し切ない夕暮れの雰囲気までしっかり伝わってきます」。

2:ETERNA BLEACH BYPASS

低彩度でありながら被写体の存在感を消さないところがとても魅力的なフィルムシミュレーションでした。特にグリーンの彩度を落とし、色の情報を減らすことで優しい雰囲気になったりエモくなったりします。苦手な色味もこのフィルムシミュレーションを使うといい感じに仕上がりました。シャドウを強くすることでわびさびのある写真にもなり、表現の幅が広がるとても好きなフィルムシミュレーションでした。

camera:X-H2 lens:XF16-80mmF4 R OIS WR
フィルムシミュレーション:ETERNA BLEACH BYPASS
カラークロームブルー:弱
「偶然通りがかった廃屋。光があたっておらずダークな印象を放っていたのですが、ETERNA BLEACH BYPASSの低彩度な描写が本当に合っているなと思える一枚です。緑が鮮やかでないことで、“生命力”より“侵食”を感じるところと、ガラスの濁った質感も相まって“誰かの気配が消えたあと”のような余韻がある雰囲気を出してくれました。通常、低彩度の青系金属色は現像の過程で簡単にグレーに吸収されてしまいますが、カラークロームブルーをプラスすることによって、青の成分が飽和する手前でかろうじて踏みとどまってくれました。色がそぎ落とされているにもかかわらず青の質感はしっかり残っていて、素晴らしいです」。

3:MONOCHROME+ R FILTER

光と影がキレイに出ている日は、モノクロで遊ぶのも楽しかったです。

camera:X-H2 lens:XF16-80mmF4 R OIS WR
フィルムシミュレーション:MONOCHROME+ R FILTER
「日差しが最も強い時間帯、ビルの屋上で撮影しました。真ん中の出っ張ったコンクリートにも影がくっきりと落ちていて、無機質なのにどこか有機的なリズムを感じられるところが気に入っています。MONOCHROME+ R FILTERを使うと、青系が落ちる分、影の面がしっかりと締まりました。明るいコンクリートとの分離が明確になり、素晴らしいと思いました」。

sugarさんが恋したフィルムシミュレーションの特徴

1:CLASSIC CHROMEとは?

20世紀のグラフジャーナル誌に使われた写真のような色再現を目指したフィルムシミュレーション。彩度は低め、暗部の階調は硬めに設計されており、ドキュメンタリータッチでリアリズムを求める写真を撮る際などに最適です。

camera:X-H2 lens:XF16-80mmF4 R OIS WR
フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME
カラークロームブルー:強
「港町のバス停から、目的地に行く途中に通りかかった場所で、四角いフレームに収まっているシルエットと、その先にある港の抜け感が気に入っている一枚です。CLASSIC CHROMEの落ち着いた色味と硬すぎないコントラストが、港の静かな空気や光と影の雰囲気を映画っぽく見せています。暗部も黒く潰れず、空間の深さがしっかり残っているのが印象的。カラークロームブルーを加えたことで、港の水面の青がぐっと引き締まり、暗い室内との対比がよりドラマチックになりました。青が派手になりすぎず、少しノスタルジックな空気をまとっているのもカラークロームブルーの魅力だと感じました」。

2:ETERNA BLEACH BYPASSとは?

動画用フィルムシミュレーションETERNAに、多くの映像作家に支持されている“銀残し”のフィルム現像効果を適用。高コントラストでありつつも彩度は低く仕上げられた画は重厚感があり、ドラマチックな映像の撮影に適しています。

camera:X-H2 lens:XF16-80mmF4 R OIS WR
フィルムシミュレーション:ETERNA BLEACH BYPASS
「クロマツの木々の中で、ダークな雰囲気で撮りたかったので、あえて日が隠れた時間帯を狙って撮りました。ETERNA BLEACH BYPASSは色を抑え込みますが、完全に色を消すわけではないので、赤い傘が主張しすぎず、静かな存在感を与えているところがこのシーンにとても合っているなと思いました。コントラストは硬質なのに感情は柔らかい、色は抜けているのに濃い空気感を残してくれるところがとても優れていて、とてもお気に入りのフィルムシミュレーションです」。

3:MONOCHROME+ R FILTERとは?

通常のモノクロに、コントラストを高める「レッド(R)フィルター」を使ったような仕上がりになるフィルムシミュレーション。ほかに、表現意図に合わせた画質調整として、同じくコントラストを高める「イエロー(Ye)フィルター」と、緑色を明るく、赤色を濃く表現する「グリーン(G)フィルター」もあります。

camera:X-H2 lens:XF16-80mmF4 R OIS WR
フィルムシミュレーション: MONOCHROME+ R FILTER
「日が落ちる前の海に反射した柔らかい光の中で、小さなガラス瓶をかざしてみました。MONOCHROME+ R FILTERは、光の階調の出方がとてもドラマチック。R FILTERによって空や遠景のトーンがわずかに沈み、その分水面のハイライトと被写体のコントラストがより際立ちました。色がないことで光そのものに意識が集中するので、反射の強さやグラデーションの美しさが純粋に伝わってきます」。

sugarさんが使用したカメラ

X-H2

Xシリーズ第五世代となるX-H2は、スピードと高解像という2つの進化を遂げたXシリーズのフラッグシップモデル。新開発となる裏面照射型約4020万画素「X-Trans™ CMOS 5 HR」センサーと、高速画像処理エンジン「X-Processor 5」を搭載し、Xシリーズ史上最高画質を実現している。高画素を生かしたハイクオリティな写真のみならず、高精細な8K/30Pの映像を撮影可能。Xシリーズの静止画・動画撮影の領域をさらに拡大し、幅広いニーズに応えてくれる。高剛性ボディに5軸・最大7.0段のボディ内手ブレ補正機構も採用している。写真と映像両方で、APS-Cというフォーマットを超えた圧倒的な高画質を提供し、表現を追求するクリエーター達に新たな可能性を切り開く。

FUJIFILM WEB

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