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色に恋して。デジタル写真をフィルム風に 「FUJIFILM フィルムシミュレーションの魅力」vol.8 haruna kikuchi

デジタルカメラで撮影した写真を、フィルム写真のようなカラーに。そんな夢のような機能が、富士フイルムのデジタルカメラに搭載されています。その名も「フィルムシミュレーション」。フィルムを交換するような感覚で色再現を楽しめる機能で、その数なんと20種類。フィルム時代から90年以上にわたり、色の表現を研究してきた富士フイルムだからこそ作れる機能です。

「Xシリーズ」「GFXシリーズ」すべての機種で使用できるとあって、この機能に恋して、富士フイルムのデジタルカメラを愛用し続ける写真愛好家やフォトグラファーも多数。

そこで、本連載では「フィルムシミュレーション」の魅力を、全12回にわたってお届け。毎回1名のクリエイターがお気に入りのフィルムシミュレーションで撮影した作品とともにその魅力を語ります。

第8回は、フォトグラファーのharuna kikuchiさん。富士フイルムの「GFX100 II」で撮影した作品とともに、お気に入りのフィルムシミュレーションについて紹介します。

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目次

プロフィール

haruna kikuchi

フォトグラファー 1992年生まれ、北海道出身。東京都在住。趣味で始めたフィルムカメラをきっかけにフォトグラファーとして活動するように。現在はウェディングフォトブランド「MYTHEL」のディレクターも務め、ウェディングやファッションなど人物撮影を中心に幅広く活動している。

質感まで伝わるような繊細な描写

私は普段、ウェディングの前撮りやファッション広告などの撮影をしています。プライベートでも人物を被写体として撮影することが多く、被写体とコミュニケーションを取りながらの撮影スタイルがとても好きです。

以前から、富士フイルムのカメラはビジュアルがとても好きでした。そもそも私が写真にのめり込むきっかけとなったのがフィルムカメラ。それだけに、Xシリーズのフィルムライクなビジュアルにずっと憧れを抱いていました。「次に手にするなら絶対に富士フイルムのカメラ!」と思ってはいたものの、なかなかタイミングや仕事の都合上、手を出せずにいました。そのため今回の「GFX100 II」が、初めて使う富士フイルムのカメラです。

実際に使ってみると、それはもう感動的でした。手触りや質感まで伝わるような繊細な描写が素晴らしく、そのときの温度までも写真から感じられるような写り。光の微細な変化もしっかりと写し出してくれます。今回の作品に写っているのは友人なのですが、久しぶりに会うと髪の毛をとても綺麗に伸ばしていて、会った瞬間にその髪の美しさを写したいと思いました。そして実際に撮ったときの、繊細な描写と光の陰影はとても綺麗で、感動しました。

camera:GFX100 II lens:GF55mmF1.7 R WR
フィルムシミュレーション:モノクロ+Ye
「光の中にいる友人の凛とした佇まいが美しくて、撮影しました。同じ友人と、前にもススキと一緒に撮影したことがあり、そのときの懐かしい気持ちが蘇りました。美しい髪の毛1本1本が繊細に写し出されていて、とても気に入っています。表情がしっかり見えていないのですが、そのときの穏やかな空気感が写真からも出ていてとても温かい気持ちにもなります。モノクロ+Yeはコントラストが柔らかく出て、撮って出しでこの雰囲気が出せることにとても感動しました」。

そしてやっぱり、フィルムシミュレーションが最高です。撮影中に仕上がりイメージを確認しながら設定を試せる点が魅力で、フィルムカメラで作品撮りをする際にどのフィルムを使うか考える過程に近い感覚を味わえます。フィルムカメラが好きな自分の撮影スタイルに、とても合っていると思いました

私は作品撮りをする際、テーマやイメージをある程度考えてから撮影することが多いのですが、イメージ段階でフィルムシミュレーションを設定することで、撮影をしながら、より目指す表現へと近づけていくことができます。「もっとこんな風に撮ってみよう!」など、イメージもどんどん膨らんでいきました。

camera:GFX100 II lens:GF55mmF1.7 R WR
フィルムシミュレーション:SEPIA
「窓から夕陽が差し込む友人の自宅で撮影した1枚。柔らかい光の中で、植物と微笑む友人の表情に強く惹かれました。昔よく、この友人と花や植物を一緒に撮影してきていたので、この日も花屋さんで出会ったグリーンとともに撮ることに。時が経ってもやっぱり好きなものは変わらないなという安心感と、友人と培ってきた信頼関係がこの1枚に表現されているようで、とても気に入っています。フィルムシミュレーションをSEPIAにすることで光の陰影がより美しく柔らかく表現され、友人の表情ともマッチしたことに感動しました」。

普段、プライベートで撮影した写真は編集する時間が取れないことが多いのですが、フィルムシミュレーションは撮って出しでもとても美しい仕上がりなので、プライベートでもどんどん撮影したくなります。と同時に、いろいろなフィルムシミュレーションを使用する中で、自分の作品の幅が広がっていくのを感じました。旅先でのスナップ写真とも相性が良さそうで、いつか旅に持っていきたいと考えています。

camera:GFX100 II lens:GF55mmF1.7 R WR
フィルムシミュレーション:モノクロ+Ye
「撮影に向かう途中、森の中で偶然見つけた光です。光が木々の葉の間から差し込んできて、とても綺麗で思わず足を止めました。モノクロ+Yeにするとコントラストがとても綺麗に出て、光が当たっている場所がキラキラと輝き感動しました。緑の深さを、コントラストと階調で見事なまでに表現してくれていて、さまざまな黒の表現が本当に美しいです」。

My favorite フィルムシミュレーション

1:モノクロ+Ye

私は写真表現において“柔らかさ”を大事にしているのですが、モノクロ+Yeは締めるところはしっかりと黒で締めることで、表現したい柔らかさの部分を浮き立たせてくれると感じました。また、黒のグラデーションをとても美しく繊細に表現してくれる点も、とてもありがたいと感じました。

camera:GFX100 II lens:GF55mmF1.7 R WR
フィルムシミュレーション:モノクロ+Ye
「木々が生い茂る森の中、木漏れ日をあびる友人がとても神秘的でカメラを向けました。森の一部になるようなイメージで友人には裸足になってもらい、自由に動いてもらいました。そこを、私も自由に撮影しています。この写真には、そんな撮影スタイルをとった現場の空気感が表れていて、とても気に入っています。被写体の存在を際立たせつつも、森の中の植物も繊細に描写されていている点に、GFX100 IIの素晴らしさを実感しました。モノクロ+Yeは黒のグラデーションをとても綺麗に陰影も美しく表現してくれます。撮影しながらフィルムシミュレーションの表現に感動していました」。

camera:GFX100 II lens:GF55mmF1.7 R WR
フィルムシミュレーション:モノクロ+Ye
「美しい光とススキが生い茂る風景に友人が溶け込んでいくようなその瞬間を切り取りました。過去にもこうした風景を撮ったことがあり、懐かしい気持ちを抱きながら撮影していました。ノスタルジックな雰囲気が、そのときの気持ちをより一層引き立ててくれているなと思います」。

2:SEPIA

今までSEPIAで写真を撮影したことがなかったのですが、だからこそ今回、あえて挑戦してみようと思いました。結果、昔の映画を見ているような気持ちになれる、ノスタルジックな仕上がりがとても気に入りました。

camera:GFX100 II lens:GF55mmF1.7 R WR
フィルムシミュレーション:SEPIA
「夕暮れの時間帯、友人の部屋にて。陽が落ちていくにつれて、光の入り方がどんどん変わっていき、その変化を捉えようと思いました。柔らかい光が差し込む中で、静かにシャッターを切ったのを覚えています。レンズGF55mmF1.7 R WRの、絞りF1.7だからこそ表現できる美しいボケ感が、被写体の繊細さを際立たせてくれています。また、SEPIAが表現する、黒髪の陰影のグラデーションが綺麗でとても感動しました。SEPIAは人物を温かく表現してくれると感じます」。

haruna kikuchiさんが恋したフィルムシミュレーションの特徴

1:モノクロ+Yeとは?

「モノクロ」は、モノクロ写真のモードです。通常のモノクロに加えて、コントラストを高める「イエロー(Ye)フィルター」はヒトの眼が眩しいと感じやすい黄色を吸収することができるため、自然にコントラストを強調します。モノクロは少し硬めのほうが好き、もしくはハイライトの冴えを強く見せるためグレーからシャドウがわずかに濃いめのほうがいいという場合に便利なルックです。

camera:GFX100 II lens:GF55mmF1.7 R WR
フィルムシミュレーション:モノクロ+Ye
「真っ直ぐ生えた1本の木と友人を撮影しました。このときは、生命力をとても強く感じる木の幹と友人のかもし出す柔らかく繊細な空気感の対比に惹かれました。神秘的な雰囲気の中で、木の幹から肌、髪の毛1本1本の質感までどれもしっかり表現されていて、とくにお気に入りの写真です。モノクロ+Yeはコントラストがしっかり出ますが、一方で被写体の柔らかさもしっかりと残してくれ、繊細な表現が素晴らしいと感じます」。

2:SEPIAとは?

時間が経ち、色あせた写真を再現したモードです。レトロ感やノスタルジックな雰囲気を演出したい場合に適しています。

camera:GFX100 II lens:GF55mmF1.7 R WR
フィルムシミュレーション:SEPIA
「友人の自宅で撮った花。静かに佇んでいる様子が、友人の姿と重なりました。陽が落ちた時間帯だったため、部屋もだんだんと暗くなり光も少なかったのですが、そのときの静かな雰囲気を残すことができました。SEPIAのノスタルジックな雰囲気は、何気なく撮影した物に特別感を与えてくれるような気がします。日常を映画のような空気感で残すのにとても適していて、何気なく撮った写真も特別な1枚になると思います」。

haruna kikuchiさんが使用したカメラ

GFX100 II

圧倒的な画質とシステム機動性に加え、新たに高速性能と動画性能を手に入れたGFXシリーズのフラッグシップモデル。アルゴリズムの改良により進化した顔・瞳AFに加え、動物・鳥・車・バイク・自転車・飛行機・電車・昆虫・ドローンを検出する。高速連写性能も進化し、従来のGFXシリーズでは撮影が難しかったスポーツ分野においても決定的瞬間を逃すことなく力を発揮してくれる。忠実な色再現性とメリハリのある階調表現を持ち合わせた「REALA ACE(リアラエース)」が加わり、フィルムシミュレーションも全20種にパワーアップ。

FUJIFILM WEB

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