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色に恋して。デジタル写真をフィルム風に「FUJIFILM フィルムシミュレーションの魅力」vol.17 Nana*

デジタルカメラで撮影した写真を、フィルム写真のようなカラーに。そんな夢のような機能が、富士フイルムのデジタルカメラに搭載されています。その名も「フィルムシミュレーション」。フィルムを交換するような感覚で色再現を楽しめる機能で、その数なんと20種類。フィルム時代から90年以上にわたり、色の表現を研究してきた富士フイルムだからこそ作れる機能です。

「Xシリーズ」「GFXシリーズ」すべての機種で使用できるとあって、この機能に恋して、富士フイルムのデジタルカメラを愛用し続ける写真愛好家やフォトグラファーも多数。

そこで本連載では、「フィルムシミュレーション」の魅力をお届け。毎回1名のクリエイターがお気に入りのフィルムシミュレーションで撮影した作品とともにその魅力を語ります。第17回は、フォトグラファーのNana*さん。富士フイルムの「X-T5」で撮影した作品とともに、お気に入りのフィルムシミュレーションについて紹介します。

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目次

プロフィール

Nana*

フォトグラファー スティルライフフォトを中心に、広告撮影、動画撮影、アートディレクション、プロップスタイリング、グラフィックデザインなどのクリエイティブ制作に携わる。 パーソナルワークとして2013年から暮らしをテーマに写真を撮り続けている。2018年4月よりNHK文化センター青山教室「AURORA写真塾」講師。2022年、『the moment of SLOW LIVNG 写真で紡ぐ、暮らしの時間』を出版

ディテールや微妙な風合いなどを表現し、魅力を伝える

私にとって、写真は目的ではなく手段。暮らしそのものや、ライフスタイルを表現するための手段であり、また自分が大切にしているもの、好きなもの、良いと思うものなどの魅力を伝えるためのものです。

カメラを向けるのは、日常の中で美しいと感じるもの、感じる瞬間です。対象は主に静物。ものと向き合い、それが持つディテールや微妙な風合いなどを表現し、魅力が伝わるよう、丁寧に切り取るようにしています。

camera:X-T5 lens:XF56mmF1.2 R WR
フィルムシミュレーション: NOSTALGIC Neg.
「透明な色のコーヒーゼリーに仕上げたいときは、浅煎りの豆を使います。こだわって作った透き通るような明るい褐色が写真でも美しく表現できたところが気に入っています。シンプルなスタイリングでありながら、ノスタルジックな色合いのおかげで寂しい雰囲気にならず、アンティークグラスとも自然に馴染んでいるように感じました。コーヒーゼリーの明るい褐色がきれいに表現できていることに加え、シャドウにややアンバーのニュアンスが重なることで、アンティークグラスの佇まいに相応しい、穏やかでノスタルジックな印象に仕上がりました」。

3年前、あるメディアでの記事執筆の際にお借りしたのがきっかけで、富士フイルムの「X-T5」と出会いました。X-T5は軍艦部のダイヤルで素早く露出を調整し、直感的に撮影できる操作性に魅力を感じました。静物撮影では素早い操作は重要ではないと思われがちですが、自然光撮影では一瞬の光の変化が写真の印象を大きく左右します。朝夕に差し込むわずかな光や、雲の流れが速い状況でも、素早く露出を変更できる操作性は頼りになります。

また、防塵・防滴・耐低温構造のため、天候や気温を気にせず使えるところも気に入りました。主にスナップ用のカメラとして使うようになったのですが、雪景色を撮りに行ったときに、深雪の中でも安心して持ち歩け、-10℃に達するような極寒の中でもスムーズに操作できたのが印象に残っています。

そしてやはり、富士フイルムのカメラといえばフィルムシミュレーション。ほんの少しの操作だけで自分らしい色合いを作り出すことができ、何気ない日常のシーンを映画のワンシーンかのような特別なものに仕立ててくれます。そんな風に、作品性を高めることができるのがフィルムシミュレーションの魅力だと感じています。

camera:X-T5 lens:XF56mmF1.2 R WR
フィルムシミュレーション:MONOCHROME
「お気に入りのアイテムを朝の光で。雲一つない快晴だったので、レースカーテンで光を調整して撮りました。大量生産では味わえない魅力を持つ上質なヴィンテージアイテムや、時代を超えて受け継がれるデザインのものが好きでコレクションしています。色や異なるテクスチャーなど、要素が多いと写真としてまとまりにくいことがあります。カラーではまとまりの悪かったものが、MONOCHROMEで撮影することで調和し、さらにヴィンテージの趣も添えることができました。この被写体に色情報はいらないのだと、あとで気づかされました。フィルムシミュレーションを通じて、改めて被写体の美しさを実感できたように思います」。

フィルムシミュレーションは、撮影時にそのシーンに合うものを設定しています。 RAWで撮影してあとで調整するような場合でも、仕上がりのイメージを想像しやすいことから、そうしています。光をコントロールしやすいテーブルフォトでは、好みのフィルムシミュレーションを予め設定しておくことで、光のトーンやコントラストなども撮影時により適切に調整できます。いっそう思い通りの仕上がりに近づけられると感じます。

camera:X-T5 lens:XF56mmF1.2 R WR
フィルムシミュレーション:NOSTALGIC Neg.
「シンプルなトーストですが、美味しさが伝わるように、ジャムやバターの質感を大切に撮影しました。ミッドセンチュリーのアメリカンスタイルにマッチしそうなNOSTALGIC Neg.を選びましたが、想像以上に相性がよく、その時代に撮影したかのようなトーンに仕上がったのがお気に入りのポイントです。ジャムの赤みも自然に引き立ち、より美味しそうに感じられました」。

My favorite フィルムシミュレーション

今回の撮影では、ヴィンテージのモチーフを、その時代らしい表現で写すために、「MONOCHROME」と「NOSTALGIC Neg.」を使いました。

1:MONOCHROME

どちらも素晴らしく、どちらがよりいいかは言い難いですが、MONOCHROMEは色よりもテクスチャーの美しさを表現したいときに使いたくなるフィルムシミュレーションだと感じます。

NOSTALGIC Neg.も同様ですが、MONOCHROMEはヴィンテージのものと調和します。それらが生まれた時代へと誘うような、当時のフィルム写真のように仕立ててくれる印象があります。色という要素を省くことで、より被写体のテクスチャーに意識を向けさせられることに魅力を感じました。

camera:X-T5 lens:XF56mmF1.2 R WR
フィルムシミュレーション: MONOCHROME
「上質な紅茶に合わせて、ヴィンテージのシルバーのティーポットとティーカップを使って撮影しました。シルバーの質感と、よりヴィンテージらしさを表現するために、ストロボを使っています。モノクロームは、古い時代のものとの相性が良く、それらが生まれた時代のフィルム写真のような表現へと昇華させてくれると感じました。また色を排除することで、シルバーやチョコレート、テーブルクロスなどの質感が引き立ち、素材そのものの表情がより印象的に写りました」。

2:NOSTALGIC Neg.

NOSTALGIC Neg.は、私の好きなミッドセンチュリーのデザインや古いものと調和し、それらが生まれた時代の空気感を表現できるところに惹かれました。またNOSTALGIC Neg.が見せる白や黒の絶妙なニュアンスも気に入っています。白や黒を基調とした背景でも冷たい印象にならず、温かみを感じさせてくれます。個性的な色合いのため料理には使いにくいかもしれませんが、温度感が美味しさに繋がるようなものとはマッチしやすいと思います。

camera:X-T5 lens:XF56mmF1.2 R WR
フィルムシミュレーション: NOSTALGIC Neg.
「一つ前の写真と同じ被写体です。まずはMONOCHROMEで撮影しました。試しにNOSTALGIC Neg.でも撮ってみると、こちらも自然にヴィンテージらしさが伝わる色合いに仕上がりました。NOSTALGIC Neg.では、シルバーの繊細な質感を表現できた点が気に入っています。シルバーとステンレスを一緒に写すと質感が似て見えることが多いと感じていますが、それぞれの素材感が分離され、別の材質であることが分かるほど美しく表現できたように思います」。

camera:X-T5 lens:XF56mmF1.2 R WR
フィルムシミュレーション:NOSTALGIC Neg.
「滅多に淹れないのでなかなか上達しないラテアートですが、この日はたまたまいつもよりもきれいに描くことができたので写真に残してみました。黒は重く無機質な印象になりやすく、黒い大理石のサイドテーブルは写真に登場する機会が少ないのですが、NOSTALGIC Neg.の色合いと相まって、漆黒にならず、趣のある印象に仕上がったところがお気に入りです。黒のトーンの中にも階調を感じ、少し柔らかな印象を持たせることができたように感じています」。

Nana*さんが恋したフィルムシミュレーションの特徴

1:MONOCHROMEとは?

PROVIAの階調を流用して、グレースケール化したのがMONOCHROME。フィルターでコントラストを調整するところなど、「フィルムで得た知識がデジタルでも活かせる」と多くの人に支持されました。 銀塩プリントのような手触りが感じられるACROSに対して、デジタルらしいスムーズなテクスチャーを持っていて、今でもファンが多いフィルムシミュレーションです。

camera:X-T5 lens:XF56mmF1.2 R WR
フィルムシミュレーション:MONOCHROME
「朝の光を受けた古いグラスをMONOCHROMEで。雲の流れが速い日で、雲の隙間から光が差し込むタイミングに合わせてシャッターを切りました。雲によって生まれた柔らかなコントラストがMONOCHROMEの特性と重なり、より昔のフィルム写真を思わせる空気感を纏った写真になったと思います。自然光とグラスの組み合わせは、私にとって定番のモチーフです。この日撮影した小さな脚付きグラスには、繊細なエッチングが施されていて、光によってその模様が美しく際立っていたのが印象的でした」。

2:NOSTALGIC Neg.とは?

1970年代、カラー写真を芸術として定着させた「アメリカンニューカラー」の代表作を想起させる色再現が特徴。ハイライト部を柔らかくアンバーに描写する一方で、シャドウ部も色乗りのよさでディテールを残します。

camera:X-T5 lens:XF56mmF1.2 R WR
フィルムシミュレーション:NOSTALGIC Neg.
「自宅での朝食風景を切り取りました。この日はヴィンテージのテーブルウェアを楽しむ朝食にしようと思ってコーディネートしています。光が軟調になりすぎないよう、自然光にライティングを足して撮影しました。朝らしい光を活かしながら、料理を美味しそうに表現できる拡散光をミックスさせています。NOSTALGIC Neg.は、ハイライトにもややアンバーのニュアンスがあり、その白の表現が気に入っているポイントでもあります。自分の描きたかったテーブルコーディネートと相まって、目指したかった爽やかでありながら温かみのある朝食風景に仕上げてくれました」。

Nana*さんが使用したカメラ

X-T5

Xシリーズの原点である「小型・軽量・高画質」にこだわり、写真を最優先に設計されたモデル。5軸・最大7.0段のボディ内手ブレ補正機能や、ファインダー倍率0.8倍/369万ドットの高倍率EVFを搭載。カメラの軍艦部には、ISO感度/シャッタースピード/露出補正をコントロールする3つのダイヤルを搭載。操作感を最適化したことで、従来機より小型/軽量化した557gのコンパクトボディの実現と操作性の高さを両立した一台です。

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