角田明子
写真家 1976年生まれ、東京都出身。多摩美術大学グラフィックデザイン科在学中の写真の授業で、カメラへの興味が芽生える。スタジオマンの経験を経て、独立。広告や雑誌など、さまざまな分野で活躍中。世界のサンタクロース撮影をライフワークにしている。
愛用カメラ:Canon EOS 5D Mark IV/ Mark III
愛用レンズ:Canon EF24-70mm F2.8L II US
サンタクロースへの想い
「コペンハーゲンの賑やかな港、ニューハウンに向かうボートツアーを楽しむサンタさん御一行。楽しそうなサンタさんたちにつられて、自分もワクワクしちゃう大好きな写真」。
サンタクロースを撮り続けて10年。気がつけば、ライフワークに
「今から10年前の2011年に、当時小学生だった息子と娘から『サンタさんって、本当にいるの?』と聞かれて答えることができなかったのが、 自分の中で“サンタクロース”を意識するようになったきっかけです。仕事柄、撮影旅によく行くのですが、その流れで知った“世界サンタクロース会議”を思い出し、写真家としても興味があったので、早速サンタさんに会いに行きました。そこで『日本から写真を撮りに来てくれたよ!』と紹介される機会があり、サンタさんたちが 一斉に『Ho!Ho!Ho!』と大合唱して歓迎してくれました。その時の感動を、今でも覚えています。その後、写真展やフォトブック、イベントへの同行撮影など、気がつけば10年、サンタクロースを撮り続けています」。
「好きだから」はもちろん、「伝えたい」「残したい」という気持ちが強い
「デンマークサンタクロース協会でこの年のベストオブサンタに選ばれた、ミセスサンタさん。旦那さまとの喜びのキス」。
「サンタクロースの皆さんは、自身の活動に誇りを持っている点が本当に魅力的。特に子供たちへの立ち振る舞いは素晴らしく、私は写真を撮りながら温かい気持ちになり、彼らのことを知れば知るほどその魅力を伝えたい、とより強く思います。『好きだから』はもちろん、彼らの活動をポジティブに『残したい』『伝えたい』という気持ちが強くあります」。
被写体を大好きになることが、“伝わる写真”につながる
「佐賀で開催されたサガサンタサミットで、バルーンフェスタの気球を見るために並んで行進。青空にサンタさんの赤い服が映えて、印象的でした」。
「私が写真を撮る際にこだわっている点は、世界をポジティブに感じることができる色や光。そして、“可愛い”を大切に表現すること。被写体を大好きになることが、 “伝わる写真”につながると思っています。サンタクロースは、私にとって憧れの存在。撮影もサンタさんも大好きなので撮ることが楽しく、自分の気持ちを写真に添えて、『いいな、好きだな』 と感じた時にシャッターを切ります」。
優しい気持ち、ワクワクする気持ちを写真から感じてもらいたい
「ノルウェーで、陽気なサンタさんたちが輪になって歌って踊って...大雪の中で幻想的な一枚に」。
「あえて苦労を挙げるとすれば、 サンタさんと一緒にいると常にシャッターチャンスがあるので、気が張ってずっと忙しいこと。でも、心温まる可愛くて素敵なシーンが撮れたり、サンタさんが写真を喜んでくれると、うれしくて疲れも吹っ飛びます。見る人にも、優しい気持ち、ワクワクする気持ちを感じてもらい、懐かしい思い出や想像を乗せて夢や喜びを広げて楽しんでもらえたらうれしいです」。
「スウェーデンのイェリヴァーレに住むサンタさんを訪ねて。子供たちからの手紙を熱心に読む、お仕事中のサンタさん」。
「サガ サンタサミットでは熊の川温泉に宿泊。日本茶でほっと一息」。
「ノルウェー・サバレンのサンタハウスにて、サンタさんのお手伝いをするサンタニッセ。サンタファミリーには、穏やかで優しい光がよく似合う」。
「コペンハーゲンの世界サンタクロース会議。 グリーンランドサンタクロース協会公認サンタクロースであるパラダイス山元さんの本がきっかけで会議を知り、初めてサンタさんを撮影した思い出深い一枚」。
「コペンハーゲン郊外のベルビュービーチで、ビーチバレー対決。よく見ると、リンゴのボール!」。
「コペンハーゲンのストロイエ通りで、世界サンタクロース会議のパレード。建物の上階から撮っていたら、手を振ってくれました」。
GENIC vol.61 【写真家が心に抱く、それぞれのテーマ】
Edit: Satoko Takeda
GENIC vol.61
テーマは「伝わる写真」。
私たちは写真を見て、何かを感じたり受け取ったりします。撮り手が伝えたいと思ったことだけでなく、時には、撮り手が意図していないことに感情が揺さぶられることも。それは、撮る側と見る側の感性が交じり合って起きる化学反応。写真を通して行われる、静かなコミュニケーションです。