酒井優衣
フォトグラファー 1996年生まれ、 愛知県出身。大学在学中に写真に興味を持ち、卒業後フリーランスに。被写体との密な距離感が生む表情豊かな瞬間を大切に、ポートレートやファッションフォトを中心に活躍中。
愛用カメラ:Nikon F2、Mamiya RZ67 Pro II、OLYMPUS PEN EE-3
愛用レンズ:AI Nikkor 50mm f1.4S、Mamiya-sekor 140mm
映画のワンシーンのような世界
「荒川河川敷にて職種がバラバラな坊主3人を、カラフルなスーツでユニットのような雰囲気で撮影。偶然後ろに写った散歩中のおじいちゃんと犬がいい味を出してくれて、お気に入りの一枚に」。
映画のポスターを見るように物語を想像させる一枚を撮りたい
「小学生の頃から映画が好きで、週末になると父とよくレンタルビデオ屋に行っていました。映画のポスターやDVDのパッケージからストーリーを想像して、作品を選ぶのが好きでした。こういったワクワクする高揚感は、私の写真に対する興味の原点であり、自分の作品でも大切にしたいと思っています。どんなストーリーがあって、どんな関係性があるんだろう...と、見る人に想像してもらえる一枚を追い求めています」。
日常にフィクションのような人物を写すことで違和感やシュールさを楽しんでもらいたい
「可愛らしい衣装とは対照的に、大人びた表情がポイント」。
「写真の解釈は人それぞれで、想像の余地があるところが面白さだと思います。見慣れた日常風景に、あえてフィクションのような人物を写すことで、違和感やシュールさを楽しんでもらいたいです。ネガティブな感情よりも、ハッピーな気持ちや懐かしさなど、ポジティブな感情になってもらえたらうれしい」。
人物の行動や表情は、その人から出るものをそのまま写す
「1組のカップルを撮り続けているシリーズ。最初となる2018年の撮影で、影を効果的に使用」。
「私にとって写真とは、人や場所との出会いをくれるものであり、自分を解放する場所。そして撮影で意識していることは、愛おしい瞬間にシャッターを切ること。日常の中での美しい光の瞬間であったり、友人の無邪気な表情だったり...。より自然で偶発的にいい瞬間を見つけた時には、子供の頃に遊んでいたような感覚になり、夢中で撮影します。写る人が自然体であることも、こだわりです。無意識の瞬間や動きの間を撮ることで想像をかき立て、その前後にある物語性が生まれると思っています」。
「上の写真と同じシリーズ。今年、海外のプロムをイメージして撮影し、イラストレーターの友人に絵を描いてもらいました」。
「国籍も年齢もバラバラな女の子4人を集めた、2019年の作品」。
「鮮やかな色彩と、コントラストにこだわっています。世界観や関係性を濃くするために、あえて同色で配置したり、補色で彩度を意識して衣装の色味と背景を合わせたり...。また、青空や草木、夕日など自然の色はグラデーションがあり、何よりも美しいので積極的に取り入れています」。
「少女から女性へと成長する狭間の儚さを表現しました」。
「暗いニュースが多くなっていた昨年、ハッピーな写真を撮りたいと思い、祝祭をイメージして撮影」。
「上の写真と同様の理由でメキシコの画家、フリーダ・カーロから着想を得た作品」。
GENIC vol.61 【写真家が心に抱く、それぞれのテーマ】
Edit: Satoko Takeda
GENIC vol.61
テーマは「伝わる写真」。
私たちは写真を見て、何かを感じたり受け取ったりします。撮り手が伝えたいと思ったことだけでなく、時には、撮り手が意図していないことに感情が揺さぶられることも。それは、撮る側と見る側の感性が交じり合って起きる化学反応。写真を通して行われる、静かなコミュニケーションです。